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男女共同参画関連イベント等参加報告

【JST】JST公開シンポジウム「Gender Equality 2.0からSDGsを展望する—架け橋—」~GS10フォローアップ2019~(開催:2019.7.4)

 ジェンダーサミット10アジア太平洋からの取り組みを振り返り、今後の課題解決を考える本シンポジウム。
 さまざまな知見から語られた講演、討論の様子をお伝えします。

 まずJST副理事 渡辺美代子氏より、2017年に行われたジェンダーサミットからの取り組みの振り返り、今後の課題解決のための展開計画が語られました。ジェンダーサミットでは男性参加者は3割に満たなかったものの、本シンポジウムは男性参加申込者が4割とのお話があり、ジェンダーの問題は女性の問題だけではなく、社会全体で向き合っていく問題であることが再確認されました。

 さらに講演として、JSTの女性研究者支援事業や、株式会社サキコーポレーション 秋山咲恵氏による経営の場での男女共同参画の変化、放送大学 伊藤昌子氏による職場での生産性を上げワークライフバランスを充実させるための取り組み、東京大学物性研究所長 森初実氏による大学での取り組み、科学技術・学術政策研究所 藤原彩乃氏によるresearch mapのデータによる統計分析の結果(女性であることが教授昇進可能性に有意に負の影響がある等)、NHK 山口芳氏による性差技術革新(開発時に男女の違いを考慮しなかった結果、性別によって薬の適量が違うことが長年分からなかった等)の報道など、たくさんの興味深い内容が語られました。

 続くパネル討論「文理、タッグを組む」では、文系理系という分け方はなぜ生じたか、どのように協力していくべきか、などが議論されました。また、パネル討論「科学の多様性が日本を創り直す」ではジェンダーとセクシュアリティを研究されLGBT当事者でもある三橋順子氏らが登壇し、この15年ほどでLGBTに対する社会のあり方が変わってきていること、研究内容の多様性は進んでいるものの、”人”の多様性についてはまだ進んでいないこと、社会の変化にすぐ対応できるのはと学術研究と経済界であることなどが討論されました。

 シンポジウムの総括となる有識者らのコメントでは、Generation(若い世代)とGenderで社会を変えていくこと、産業界では学び直しができる仕組みが求められていること、今後は学校現場でのマイノリティ教育の普及や、若い世代を巻き込んでいくことの必要性などが語られました。

 NWECの事業でも参加者は女性が多く、かつ若い世代の参加が少ない傾向があるので、今後若い世代を中心に、より一層様々な人にアプローチできるような事業を展開していきます。