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男女共同参画関連イベント等参加報告

【国際ジェンダー学会】「国際ジェンダー学会2019年大会」(開催:2019.8.31-9.1)

 国際ジェンダー学会2019年大会が、2019年8月31日~9月1日に立教大学で開催されました。

 大会一日目は、シンポジウム「SDGsにみる生産・消費とジェンダー」とラウンドテーブル「当事者・ケア・政策を考える:産み・育てを素材として」「MDGsとSDGsにおけるセクシャル・リプロダクティブ・ヘルスの課題:移住女性の出身国と日本での経験から」「ジェンダー視点によるメディア・コンテンツの評価指標の検討」が行われました。

 筆者は、大会二日目の個人報告とシンポジウム「AIとジェンダー」に参加しました。
 学際的・国際的な学会にふさわしく、個人報告では、中東、中国、カンボジア、タイ、台湾といった多様な地域でのフィールド調査の成果が報告されました。取り上げられたテーマも女性教員のキャリア形成、全国の防災施策、ケア・出産・保健、家族など幅広く、様々な領域でのジェンダー問題について議論されました。

 シンポジウム「AIとジェンダー」では、AIの開発にたずさわる技術者とジェンダー研究者が登壇し、AI開発の世界におけるマイノリティの必要性、ドイツにおけるデジタル化とジェンダーの議論、日本におけるジェンダー格差とICTの進歩について報告されました。
 現在、AIはさまざまな分野で応用されています。しかしデータにもとづく開発モデルには既存の価値観が反映されることから、ジェンダーをはじめとする様々な社会的偏見がAIによって再生産されることが懸念されています。また、これまで人々が担っていた職業、とくに女性が比較的多く従事してきた職種(コールセンターなど)が代行されるのではないか、といった危惧がある一方、産業構造や人々の働き方を変化させ、マイノリティ(女性や移民など)に社会参画の機会を提供する可能性も指摘されています。
 これらをふまえ、AIはジェンダー平等に寄与するのか、寄与するためには何が必要であるのか、といった観点から議論が深められました。