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2020.02.15

男女共同参画関連イベント等参加報告

【東京都社会福祉協議会婦人保護部会】シンポジウム「女性自立支援法(仮称)制定に向けて」参加報告(開催:2020.1.27)

 2020年1月27日、標記シンポジウムが都内で開催されました。
 シンポジウムの副題は「~生まれ変わる『婦人保護事業』、今こそ!~」。主催した東京都社会福祉協議会婦人保護部会の意気込みが感じられます。

 「婦人保護事業」は、困難に直面した女性の拠り所となる我が国唯一の公的制度ですが、その制度を定めた売春防止法は女性を「措置」し「保護更生」するという処罰的な差別観に立っており、問題視ながらも放置されてきました。しかし昨年ようやく厚生労働省で「困難な問題を抱える女性へのあり方に関する検討会」が設けられ、昭和31年の施行後初めて、売春防止法の根本的な見直しと社会福祉的観点による新しい制度の制定が政策課題として提言されたのです。

 シンポジウムでは、婦人保護施設長や相談員らが、現在の婦人保護事業が、売春に追い込まれたり、DVや性暴力被害などに遭ったりした女性たちの生活再建ニーズからかけ離れている厳しい現状について述べ、フロアに詰めかけた相談員らからも十分な職員配置もなく支援者のギリギリの努力によって保たれている事業の実態が明らかにされました。
 コーディネーターの堀千鶴子氏(城西国際大学福祉総合学部教授、検討会の座長)は「徹底的に利用者の立場に立つ支援制度を構築するべき」「人権の擁護と男女平等の実現を図ることの重要性から、性差に起因した社会的困難に直面する女性に対しては包括的な支援制度が必要だ」と強調。会場で発言を求められた戒能民江氏(お茶の水女子大学名誉教授)も、「婦人保護事業を定めた売春防止法第4条廃止の方向性を打ち出したことは検討会の大きな成果だが、今後の政策スケジュールは未だ示されていない。この機運を確かなものにしていくために現場の声を集め、必要な支援の具体像についてスピード感を持って明示していく必要がある」と力強く呼びかけました。

 来月2月29日には、本シンポジウムと同じ会場で「女性自立支援法(仮称)に向けて Kick Offミーティング」が、全国婦人保護施設等連絡協議会・全国婦人相談員連絡協議会の主催で開催予定です。