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2016年11月14日

大阪府立大学工業高等専門学校女子学生有志団体「ROSE」

大阪府立大学工業高等専門学校 総合工学システム学科メカトロニクスコース 中谷敬子

 「自分らしい生き方」聞き慣れた表現である。「自分らしい」って何?人間、特に、短期間に多様な複数のライフイベントを抱える女性にとって、この課題はなかなかに難しい。自らの価値観を見つめるだのにすら努力が必要なのに、状況が変わるたびに、その新しい状況に直面して初めて気づく新しい自分と向き合いながら、新しい環境に日々適応しながら、自分のこれまでの価値観との融合に取り組みながら、自らのアイデンティティを探しながら、、、。心身ともにながらながらで突っ走る。
 自律型キャリア発達とは、自己の価値観に基づく主体的なキャリア発達である。この実現のためには、「『課題に取り組む場』で『仲間との相互作用』を持ちながら、実践的に自らを見つめる」ことこそが必要、というのが私の持論である。
 これを実現している場がある。大阪府立大学工業高等専門学校(以下、本校)女子学生有志団体「ROSE」の活動は徹底した学生主導主義を貫き、支援チームは、これを「自律型キャリア発達の場」として位置づけ、自律的にキャリアを醸成する実践の場の設計を試みている。
 被支援者(学生)のニーズからスタートする支援活動であり、この実現のため、支援者(教員)は、支援者の立場や所属によって異なる「させたいこと(シーズ)」を一方的に提供するのではない、被支援者(学生)のニーズとウォンツが中心となる「自律的」な「キャリア発達」の考え方とその支援方法を共通認識として持つ。
 学生達は、当然のことながら、組織や社会のカテゴリーの枠を超えたニーズやウォンツを持っている。「進学を決めるカギは何か?」「仕事を辞めた女性技術者OGの話を聞きたい」「化学分野の仕事って何があるの?」。知りたいことが見つかると、その目的・達成目標・進め方のもととなる価値観・行動計画を話し合う。話し合いの中で、相互刺激が成長を促進する。その熱意と行動力に感服する。課題に取り組むプロセスそのものが彼女達を成長させる。
 女性が自分らしく生きるという課題に向き合うことは、最初に言った通り大変なことだ。しかし、強制的に自らを振り返り、自問自答し、成長するチャンスを多く得ているともいえる。「自分らしい生き方」。人生を通じて取り組む素敵な課題。「取り組んでいる」「悩んでいる」、その時点で、既に能動的に自分らしく生きている、そういうことだと思う。正解も結論もないのだから。