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コラム
「優生保護法は国民の常識だった」野田 正彰(2018.8.1)
野田 正彰 精神病理学者
法治国家では多数の法律が国会で制定される。おそらく矛盾した法律もあるであろう。法律は制定したらそれで出来あがる(終わる)というものではなく、熱心に施行しようとする勢力、拡大解釈によってさらに適用範囲を拡げようとする職種、無視する者などに振り回されて歳月を経ていく。
優生保護法もまた提案制定、静かな潜行期(1949年9月~54年)、推奨キャンペーン期(1955年~67年頃)、その後の衰退失念期を経て、母体保護法(1996年)にすり替えられてきた。誰が法案提案したのか、どのような人々と組織が促進したのか、実施者はどの様な人だったのか、すべて隠されてきた。これほども医学の専門領域にかかわる法律が、精神科医抜きで推進されるはずがないのに、肝心のことは忘れられている。
今回のマスコミの優生保護法キャンペーンで隠されていた重要な資料が出てきている。そのひとつ、『優生手術(強制)千件突破を顧みて』(1956年、北海道衛生部、北海道優生保護法審査会)と題する小冊子では、こんな恐ろしい遺伝家族がいる、と統合失調症の優生手術を煽っている。この小冊子にかかわった諏訪望・北海道大学教授の書いた『最新精神医学』は、1960年代から70年代末まで20年間、北海道大学だけでなく全国の医学生のほとんどが購入した教科書だった。こうして、日本の医師全体に統合失調症の遺伝説が注入されていったのであろう。
優生手術を正しいものと信じた医学生は、医師になり、看護学校などで教え続けてきた。さらに、中学、高等学校の「家庭科」、「保健・体育」の教科書の精神衛生の章には、優生保護法を強調する文章が大きな比重を占めて載っている。精神科医から一般医師へ、さらに国民全体の偏見へ、優生保護法の思想はしっかりと教育されてきたのであった。
私は、1973年2月、「偏見に加担する教科書と法—精神科医は訴える」(朝日ジャーナル/朝日新聞社 [編])を書き、さらに翌74年9月にも「偏見改まらぬ教科書—再び精神科医の立場から」(同誌)を書いて、統合失調症を優生手術でなくそうとする思想が、いかに非合理か述べた。有病率が0.7%とされる統合失調症、つまり100人に1人弱が発症する可能性のある病気を優生手術でなくせるはずがないではないか。これだけの有病率なら、そんな遺伝子があるとして、ほとんどの人は統合失調症の遺伝子をもっていることになる。
この論文の反響は大きく、文部省(当時)、教科書会社は精神病の優生手術の記述を部分的に削っていった。ところが何故か、1970年代末から80年代初めにかけて、「家庭科」、「保健・体育」の教科書から精神衛生の章がなくなり、今に至っている。ややこしい問題には触れるな、ということだったのか。
優生保護法は、日本の精神医学のイデオロギーだった。30数年かかって国民の常識となったものは、積極的な啓蒙によって改められない限り、改まらない。今、手術された人への補償の裁判が始まっているが、被害者への補償問題だけでなく、統合失調症への誤った常識を問い直す動きになってほしい。
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