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コラム

「 学校に男女共同参画の景色をつくろう 」村松泰子(2018.2.1)

村松泰子 東京学芸大学前学長/公益財団法人日本女性学習財団理事長

東京学芸大学前学長/公益財団法人日本女性学習財団理事長 村松泰子氏の写真

 昨年12月に開催されたNWECグローバルセミナーで、ドイツ女性協議会のウルリケ・ヘルワースさんが、ドイツでは「男でも首相になれるの?」と聞いた子どもがいたというエピソードを紹介された。2005年以来、メルケルさんが首相を務めているから、生まれてから国のリーダーは女性という景色しか見たことのない子どもの素直な疑問なのだろう。
 日常的な景色で、女性と男性がどのような姿を見せているかは、ことほど左様に子どもが社会のあり方をどのように認識し、自分の未来にどのような可能性があると考えるかに影響する。
 では、子どもたちが日々過ごしている学校は、どのような景色を提供しているだろうか。小学校では、男性より女性の先生のほうが多いが、校長先生はまだまだ圧倒的に男性が多い。子どもたちは、女性の先生はおおぜいいても、上に立つリーダーは男性という景色をあたりまえと思いかねない。
 子どもたちは、先生が学んでもらいたいと思っていることだけでなく、学年による担任の配置・担当教科・管理職などの男女教員の構成、先生が授業などで女子と男子に示すなにげないことばや態度、学級生活や運動会など学校行事での生徒自身や先生の男女の役割分担の仕方その他、さまざまなことからも学習している。
 学校教育の力は大きい。以前から学校生活が、ほんとうに男女平等であったなら、今日の日本社会全体がもっと男女平等で、男女共同参画が進んでいたのではないだろうか。ジェンダーギャップ指数の順位が世界114位と年々低下し続けるなどということはなかったのではなかろうか。
 学校は、男女平等について教育することも大事だが、まず男女平等に教育することが必要なことを、多くの先生にわかってほしい。学校でこそ男女共同参画の進んだ景色を、子どもたちに見せてほしいものだ。

                                      2018年2月

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