NWECについて

コラム

「 女性の活躍促進を阻む要因は何か — 仕事や職場の要因から考える必要性 」大槻奈巳(2016.9.1)

大槻奈巳 聖心女子大学教授

 周知のことではあるが、日本の女性の就業継続率は低い。第一子が1歳以上15歳未満の子どもを持つ初婚同士の夫婦について、妻の第一子出産前後の就業状況をみてみると、妊娠前から無職が24.1%、出産退職の割合は43.9%、出産後の就業継続率は26.8%である(2005年~2009年)。出産後も就業を継続している割合は、この20年間ほとんど変わっていない。
 なぜ女性は仕事を辞めるのか。この要因を女性が育児や家事を担うために求めるのが、家族重視モデル、職場のあり方にその要因を求めるのが職場重視モデルである。政府は育児休業の充実や保育園の拡充を行っているが(もちろん家族責任から考えて施策を行うことは重要である)、女性が「活躍」できない要因、仕事を辞める要因を、仕事や職場のあり方自体から考えることも必要である。コース別雇用管理制度を導入している企業では、総合職の多くは男性、エリア総合職や一般職のほとんどは女性である。また同じ職種でも、職場で男性と女性の職務の割りあてが異なること-性別職務分離-も多い。女性に割りあてられる仕事は、男性の担当する仕事より、知識やスキルが身につかなかったり、キャリアの階段がいきどまりの場合が多い。
 不透明な時代ではあるが、男性も女性も仕事とキャリア、自分の将来がある程度みとおせるから、仕事をやっていこう、がんばっていこうと思えるのではないか。女性の就業継続意識が与えられた仕事によってかわること-責任があり、やりがいのある仕事を任された場合、就業継続の気持ちは強くなる-は指摘されている。女性の「活躍」や女性の就業継続を考えたとき、職場のあり方、特に仕事の割りあてやコース別雇用管理制度についてもっと踏み込んで考える必要があるだろう。

NWECとは