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実施報告

令和5年度「新たな課題に対応した課題別研修」①男女共同参画の視点による災害対応研修

開催期間:令和5年9月27日~11月13日(集合形式は10月27日~10月28日) / 定員:300名(集合形式は50名)

開催場所:国立女性教育会館 /


◆お知らせ◆

・ 9月12日 申込みは終了しました。

趣旨

 防災・減災、災害に強い社会の実現には、女性が防災の意思決定過程や現場に主体的に参画し、性別によって災害から受ける影響やニーズの違いなどに十分に配慮された災害対応が行われることが必要です。
 しかし、その実践は未だ不十分であり、災害が頻発する今日、実質的な取組を加速させていくことは、全国共通の急務です。
 本研修では、地域における多様な主体との連携に焦点を当て、意思決定や対応現場への女性の参画促進や男女共同参画の視点による地域防災力強化のポイントを、事例等を踏まえながら具体的に学んでいきます。参加された方々が、男女共同参画の視点からの防災や災害対応について、地域をつなぐハブの役割を担って活躍されていくことを期待します。

テーマ

災害に強いまちづくり~多様な主体をつなぐ地域防災~

主催

独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)

共催・後援

共催:内閣府男女共同参画局
後援:内閣府政策統括官(防災担当)/独立行政法人教職員支援機構

日程・方法

  • 【基礎研修】

     (YouTubeによるオンデマンド配信動画視聴及びZoomによるライブ配信)
     令和5年9月27日(水)~11月13日(月)

  • 【ステップアップ研修】

     (集合形式による実習、会場:国立女性教育会館)
     令和5年10月27日(金)~10月28日(土)1泊2日

対象・定員

自治体の防災・危機管理担当部署/男女共同参画担当部署/地域総務担当部署/福祉担当部署等の管理職・職員、男女共同参画センター等女性関連施設の管理職・職員、地域防災委員、自主防災組織/女性団体等で地域防災を担うリーダー、防災士、学校関係者(管理職・教職員・コミュニティスクール担当者・PTA)等

  • 【基礎研修】

     300名程度

  • 【ステップアップ研修】

     50名

*応募多数の場合は選考により参加者を決定します。選考にあたっては、同一自治体の防災・危機管理担当部署と男女共同参画担当部署がセットで申し込んでいる場合、研修での学びを具体的に反映、実践できる場を持っている場合を優先します。

内容

【基礎研修】

 男女共同参画の視点に立った防災体制づくりにおいて、基本となる考え方と実践情報を提供します。このテーマを初めて学ぶ方、改めて学びを確認したい方にお勧めします。


(1)オリエンテーション

(20分)

 主催者あいさつ    萩原なつ子 国立女性教育会館理事長
 共催者あいさつ    岡田 恵子 内閣府男女共同参画局長
 趣旨説明・事務連絡  国立女性教育会館事業課専門職員


(2)事前学習

(研修受講までに、下記リンクから各自で視聴)

災害から受ける影響は、女性と男性で異なります。災害対応に女性が主体的に参画することは地域の防災力向上につながります。内閣府男女共同参画局が作成した「災害対応力を強化する女性の視点」実践的学習プログラム(セッション1・セッション2)を視聴し、災害の各段階において自治体職員が男女共同参画の視点に立って取り組むべきポイントや事例を学びます。


(3)講義1「わたしたちの日常に男女共同参画の視点を組み込む」

(20分)

 発災時、被害を最小限にし、速やかに復興段階に移行するためには、平常時からの性別役割分担意識をはじめとするジェンダーバイアスの解消と男女共同参画推進の取組が欠かせません。
 そこで、男女共同参画社会の目指すビジョンに向かって視点を共有し、日常のあらゆる場で、多様な人たちが意見を出し合い、意思決定に参画することの意義を理解するとともに、すべての人の人権とウェルビーイングが尊重される社会の在り方を考えます。

講師  萩原 なつ子 国立女性教育会館理事長


(4)基調講演「災害対策に求められる“多様な視点”とは~誰ひとり取り残さない社会のために」

(60分)

 災害が起きるたびに、女性や子ども、高齢者といった社会の周縁に置かれた人たちが同じ困難に直面するという現実が繰り返されてきました。これは、平常時から潜在的に存在する男性主導の習慣や不平等な制度、性別役割分担などが災害時には増幅して顕在化するためです。災害という緊急時であっても、誰もが等しく尊重されるためには、女性を含む多様な人々が地域の担い手となり多様な視点を反映した防災・減災の体制づくりが不可欠です。
 そこで、性別等によって受ける影響やニーズの違いに配慮し、すべての人の人権を尊重して安心安全を確保する意味を理解するとともに、担い手となる地域の各セクターの皆さんが協働で実践していくための方策を学びます。

講師  斉藤 容子 関西国際大学客員教授


(5)情報提供1「内閣府における防災人材育成の取組と、男女共同参画の取組との連携」

(20分)

 内閣府の防災人材育成に関する最新の取組と、男女共同参画の取組との連携等について説明を受け、防災分野における地方公共団体職員(特に女性職員)の活躍推進に向けた知見を得ます。

講師  菊池 正彦 内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(地方・訓練担当)付参事官補佐


(6)情報提供2「地方公共団体における男女共同参画の視点からの取組について」

(20分)

 「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」に基づく地方公共団体の取組状況調査結果を踏まえ、防災の意思決定及び現場における女性の参画促進に向けた各団体の取組事例についての情報を得ます。

講師  藤田 昌子 内閣府男女共同参画局総務課専門職


(7)講義2「事例に学ぶ災害対策~“多様な視点”からのまちづくりに向けて」

(45分)

災害に強いまちづくりを進めていくためには、地域の一人ひとりが地域の安全を担う当事者として無理なく参画できる土壌が必要です。地域で暮らす多様な人々が協働しながら、男女共同参画の視点に立った防災活動に取り組む工夫と事例を通じて、地域の現状と課題に即した実践の方策を学び、一人ひとりが自分事として、実践していくためのヒントを得ます。

講師  小山 真紀 岐阜大学流域圏科学研究センター准教授


(8)情報交換会(ライブ配信90分・希望者のみ)

10月19日(木)10:30~12:00
*定員30名(希望者多数の場合は選考)

 トピックごとに分かれて、参加者同士で情報交換を行います。申込時に参加を希望するトピックをお知らせください(希望するトピックに入れない場合があります)。

*このプログラムでは、参加者名簿(氏名・所属機関・都道府県)を共有します。

 A:防災会議等、意思決定の場への女性の参画に向けての課題・工夫
 B:男性中心の地域防災の仕組みを変革していく上での課題・工夫
 C:計画や施策に男女共同参画の視点を反映していく上での課題・工夫
 D:多様性に配慮した避難所づくりの課題・工夫

【基礎研修受講に必要な環境】

 ・インターネットに接続できるパソコン(推奨)またはタブレット、スマートフォンが使用できること


「情報交換会」に参加する場合
 ・インターネットに接続できるパソコンまたはタブレット(スマートフォン不可)にwebカメラ・マイク機能があること(外付けも可)

 ・使用する端末に、最新版のZoomアプリがインストールしてあること

 ・通信が遅延、途切れることのない安定したネットワーク環境があること

 ・話しやすい静かな環境であること


【ステップアップ研修】

 基礎研修の内容を踏まえ、今日的課題に則した、より実践的な内容を学習します。受講には、「基礎研修」の受講が必須です。

■ スケジュール

■ 1日目:10月27日(金)

(1)開会

13:00~13:20(20分)

主催者あいさつ    萩原なつ子 国立女性教育会館理事長
共催者あいさつ    内閣府男女共同参画局        
趣旨説明・事務連絡  国立女性教育会館事業課専門職員


(2)事前学習

(研修受講までに、各自で行ってください)

    *ワークシート「多様な組織・団体とのつながりチェックリスト」を作成いただきます。
     詳細は参加決定通知とともに御連絡します。


(3)事例報告「女性の参画と地域の連携で進める災害に強いまちづくり」

13:20~14:40(80分)

 行政と地域・民間団体が日頃から信頼関係を築き、協働しながら地域の特性に合った仕組み作りを進めている大阪府泉大津市の事例、平常時からのネットワークを活かして被災地のNPOによる支援活動をサポートしてきた日本NPOセンターの取組について、それぞれ報告を伺います。

報告者  政狩 拓哉  泉大津市危機管理監
     金原 美穂  泉大津市災害ボランティアセンター防災女子部長
            泉大津市消防団(女性分団副分団長)
     千代木ひかる 特定非営利活動法人日本NPOセンター事務局スタッフ
助言者  斉藤 容子  関西国際大学客員教授 ※オンラインによる中継


(4)ワールドカフェ「男女共同参画の視点を踏まえ、多様な主体と連携・協働していくためには?」

14:55~16:55(120分)

 災害対策における男女共同参画の実践をテーマに、ワールドカフェの手法でディスカッションします。多様な立場の参加者が、課題解決に向けて共にテーマを探求し、アイデアや気付きを共有する中で、実践に向けての方策を見出します。

進行役  国立女性教育会館事業課専門職員
助言者  浅野富美枝  元宮城学院女子大学教授/埼玉県吉川市防災会議委員


(5)懇親会(夕食を兼ねる)

18:30~20:00(90分)

 全国からの参加者同士での情報交換とネットワークづくりを行います。


■ 2日目:10月28日(土)

(6)実技「誰もが安心できる避難所づくり~すべての人の人権を尊重した防災・復興の実践」

9:30~12:20(170分)

 青森県を中心に、地域住民や中学生への防災教育として展開している「男女共同参画の視点による避難所運営訓練プログラム」を体験します。
 参加者は、運営者・避難者の役割を通じて、多様性配慮とは何か、すべての人の安心安全を確保するとはどういうことかを考えながら、実際の動きを確認し、誰もが等しく尊重される避難所づくりと運営のポイントを学びます。
 あわせて、自分の地域で実践するための行政・学校・関係団体との調整・連携の手法、参加者の主体性を引き出しながら円滑に進行するコツや力量を養います。

講 師  小山内世喜子 一般社団法人男女共同参画地域みらいねっと代表理事
助言者  岩本 ヤヨエ 一般社団法人男女共同参画地域みらいねっと理事


(7)閉会・アンケート記入

12:20~12:30(10分)


所要経費

  • (1)参加費

     
     無料

  • (2)宿泊費

     
     研修期間中:1名1泊 1,800円 
     前泊(10/26)も同じ料金で宿泊できます。
     未就学児ベッドパッド代:1名1泊 814円

  • (3)食費

     
     朝食 1,100円
     昼食 600~880円(会館レストランを御利用できます)
     夕食(27日懇親会) 1,500円

申込方法等

  • (1)申込方法

     
     当ページ上部に掲載している専用申込フォーム(基礎研修・ステップアップ研修共通)からお申込みください。

     *申込フォーム送信後、5分以内に申込完了の通知メールが届きます。

     *同じメールアドレスで複数名の参加者を登録することはできません。

     *参加決定通知や資料等はメールで送付します。外部からのメールが受信できるアドレスを入力してください。


  • (2)申込期間 

     
     令和5年8月7日(月)9:00 ~ 9月11日(月)17:00

  • (3)参加決定

     
     申込フォーム記載のメールアドレスに通知します。

     *9月20日(水)を過ぎても連絡がない場合は、事業課までお問合せください。


  • (4)キャンセル

     
     都合により申込後に参加をキャンセルされる場合は、必ず事業課まで御連絡ください。

     *ステップアップ研修で宿泊される方は、10月17日(火)以降キャンセル料金が発生しますので、御注意ください。


  • (5)無料託児  

     
     おおむね0歳(3か月)以上~小学6年生のお子さまを対象に、以下の時間帯で行います。御希望の方は、申込フォームにてお申込みください。

     ①10月27日(金) 12:00~17:30 ※18時以降は利用できません。
     ②10月28日(土)  9:00~13:00

10その他

  • (1)プログラムの変更・中止


     感染症、気象状況、天災、官公庁からの指示、その他主催者が研修を安全かつ円滑に実施することが困難と判断した場合、やむを得ずプログラム内容の変更又は開催を中止する場合があります。
     なお、これらの情報は随時、NWECホームページでお知らせします。

  • (2)広報

     
     研修期間中に職員が撮影した写真を、事業記録や広報(ホームページ、SNS、ちらし等)に使用することがあります。あらかじめ御了承ください。

  • (3)フォローアップ調査の実施

     
     研修終了4か月後を目途にフォローアップ調査を実施します。研修成果が実際の職務や活動に、どのように役立てられているかを伺うものです。御協力をお願いいたします。

11問合せ先

独立行政法人国立女性教育会館事業課
〒355-0292 埼玉県比企郡嵐山町菅谷728
TEL:0493-62-6724/6725 (平日9:00~17:00)
メール:progdiv@ml.nwec.go.jp

* お問合せはなるべくメールでお願いします。

令和5年度「新たな課題に対応した課題別研修」①男女共同参画の視点による災害対応研修 実施報告

基礎研修

 国立女性教育会館では、令和5年9月27日(水)~11月13日(月)までの約1か月半の期間、「災害に強いまちづくり ~多様な主体をつなぐ地域防災~」をテーマに「男女共同参画の視点による災害対応研修」を実施し、地域防災の中心的な担い手となる自治体職員をはじめ、女性関連施設や地域の取組主体から466名が受講しました。
 プログラムでは、多様な主体の協働を軸とした災害対応について考える基調講演や国からの情報提供、事例に基づく講義や、ライブ配信での意見交換を通じて、基礎知識から課題解決への効果的なアプローチまでを段階的に学び、地域の現状を踏まえて、今後どのように実践していくかを探る機会となりました。
 参加者からは、研修全体を通して「男女共同参画の視点による平時の取組について、具体的な実践方法を知ることができた。」「いろいろな機関の方のお話から、多角的に考えることができた。」等の声が寄せられました。

事前学習

 内閣府男女共同参画局が作成した「災害対応力を強化する女性の視点」実践的学習プログラム(セッション1・セッション2)を視聴し、災害の各段階において自治体職員が男女共同参画の視点に立って取り組むポイントや事例を学びました。

講義1「わたしたちの日常に男女共同参画の視点を組み込む」

 当館理事長萩原なつ子より、ジェンダーの視点からの災害対策の必要性について、東日本大震災での経験から具体的な実践の方策が示されました。特に、災害時には性別や立場により被害や被災の困難が違っていることを前提とした体制・支援の仕組みづくりが求められること、そのためには、平時からの男女共同参画推進に根差したまちづくりが不可欠であることを改めて考える機会となりました。

基調講演「災害対策に求められる“多様な視点”とは~誰ひとり取り残さない社会のために」

 ジェンダーの視点から災害と復興を研究している関西国際大学客員教授の斉藤容子さんから、一人ひとりの異なる視点、立場を尊重した質の高い支援を行っていくための方策が提示されました。特に、過去の大災害時の検証から、災害関連死や避難所での性暴力をなくすための取り組みも紹介され、平時からの人権意識に基づいた計画や“多様な視点”導入が、公平な支援には不可欠なこと、そのためには、危機管理部局と男女共同参画部局、多様な主体の協働で進めていかなければならないというメッセージが改めて投げかけられました。

情報提供1「内閣府における防災人材育成の取組と、男女共同参画の取組との連携」

 内閣府の防災人材育成に関する最新の取組と、男女共同参画の取組との連携等について、避難所開設と運営に関する講義動画の紹介を交えて、内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(地方・訓練担当)付参事官補佐、菊池正彦さんから説明いただきました。

情報提供2「地方公共団体における男女共同参画の視点からの取組について」

 内閣府男女共同参画局総務課専門職の藤田昌子さんからは、「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」に基づく地方公共団体の取組状況調査結果を踏まえ、防災の意思決定及び現場における女性の参画促進の実態と課題について説明いただきました。

講義2「事例に学ぶ災害対策~“多様な視点”からのまちづくりに向けて」

 岐阜大学流域圏科学研究センター准教授の小山真紀さんを講師に、地域で暮らす多様な人々が協働しながら、無理なく参画できる仕組みづくりについて、岐阜県の「清流の国ぎふ防災減災センター」の人材育成の実践事例を中心に、取組のポイントを解説いただきました。特に養成講座終了後の長期にわたるサポートや活動の場づくりを通じて、いかに地域で信頼される人材として防災分野でポジションを得るのか、その過程から多くの知見を得ることができました。

情報交換会(ライブ配信90分・希望者のみ)

 双方向の主体的な学びの場として、「情報交換会」を初めて実施し、43人が参加しました。プログラムでは、4つのトピックに分かれてグループトークを行い、本研修で企画委員を務めた小山内世喜子さん、斉藤容子さん、百合田真樹人さん、吉田尚史さんが助言者として、各グループに加わりました。地域や所属が多様な初対面同士にも関わらず、日頃の悩みや課題を語り合う中で、多くのアイデアや知見が交換され、活発な意見交換の場となりました。

ステップアップ研修

 ステップアップ研修は、基礎研修の内容を踏まえ、今日的課題に則した、より実践的なプログラムとしました。国立女性教育会館を会場に、10月27日(金)・28日(土)の1泊2日の集合研修とし、全国から参加した50名が、実践に役立つ力量を養うとともに、ネットワークづくりを行いました。
 参加者からは、「事例紹介が多く、非常に参考となった。女性が多い環境での防災の取り組みに参画できる機会が少ないので、非常にいい経験となった。」「実際に様々な立場で防災に関心のある方、活動をされている方とたくさんのことを語り合い多くのことを学ばせていただく機会になった。実際に体験すること、人の意見や現場を想定して聞くことはすごく大きな成果があると感じた。」等の感想が寄せられました。

■ 1日目:10月27日(金)
事例報告「女性の参画と地域の連携で進める災害に強いまちづくり」

 はじめに、行政と地域・民間団体が日頃から信頼関係を築き、協働しながら地域の特性に合った仕組み作りを進めている大阪府泉大津市の事例を報告いただきました。泉大津市危機管理監 政狩拓哉さんからは、現在どのような施策で女性参画と地域連携を図り、“災害に強い”まちづくりを進めているのか、「さまざまな境界線をなくす」というお話から、一歩踏み出す実践のアイディアをいただきました。防災服の男女統一や、妊産婦専用避難所の設置、世代や性別を超えた訓練の実施等、この3年間の取組もご紹介いただき、現状を打破するチャレンジの数々を共有していただきました。泉大津市災害ボランティアセンター防災女子部長 金原美穂さんからは、防災女子部の結成経緯や公的機関との連携、地域団体ならではのフットワークを活かした取組のポイントをご説明いただき、あわせて、行政と市民の協働のコツとして、常にアンテナを高くして情報収集すること、信頼関係を作ることの大切さをご教授いただきました。

 次に、特定非営利活動法人日本NPOセンター事務局スタッフ 千代木ひかるさんからは、平常時からのネットワークを活かして被災地の支援活動をサポートしてきた日本NPOセンターの取組について、報告をいただきました。ジェンダーと多様性の視点を取り入れた防災・減災の取組を行う場として、地域の児童館の機能に着目し、「つながる防災プロジェクト」の協働から形成された多様な組織とのネットワークや、地域の相互支援の輪が広がった過程をご紹介いただきました。

 最後に、オンラインでご参加いただいた、関西国際大学客員教授 斉藤容子さんからまとめの助言をいただき、「女性が活躍している姿を社会の様々な場面で見せていくこと、異なる特性を持つ人から必要に応じて意見を聞くこと」等、常に当事者と一緒に考えていくことの重要性が語られました。

ワールドカフェ「男女共同参画の視点を踏まえ、多様な主体と連携・協働していくためには?」

 災害対策における男女共同参画の実践をテーマに、ワールドカフェの手法でディスカッションを行い、多様な組織、立場の垣根を越えて、活発な話し合いが行われました。
 3回のセッションを通じて、日頃どんな組織とどのように連携・協働しているかについて情報交換をしたり、多様な主体と連携・協働していくためにはどうしたらよいか互いにアイディアを出し合ったりしながら、締めくくりとして、まず課題解決に向けて何をしたいか、各自が具体的なアクションを考え、実践への意欲を高めました。
 また、埼玉県吉川市防災会議委員の浅野富美枝さんに助言者として、冒頭では「連携・協働」の意義や参考事例についてお話しいただき、ディスカッションの視点や実践のヒントを共有しました。最後にまとめとして、「『防災』とは何なのかを改めて考えてみること、連携の第一歩として、手始めに『男女共同参画課』との連携を円滑に進めるためにも互いに声を掛け合っていくことが大切だ」というメッセージが、励ましの言葉とともに送られました。

■ 2日目:10月28日(土)
実技「誰もが安心できる避難所づくり~すべての人の人権を尊重した防災・復興の実践」

 一般社団法人男女共同参画地域みらいねっとから、代表理事 小山内世喜子さんと理事 岩本ヤヨエさんを講師にお迎えして、「男女共同参画の視点による避難所運営訓練プログラム」を体験しました。はじめに、男女共同参画の視点からの防災の理解について講話を受け、その後、地域の多様な人たちを想定した避難者受入訓練を行いました。さらに、運営者・避難者の役割を通じて、多様性配慮とは何か、すべての人の安心安全を確保するとはどういうことかを考えながら、実際の動きを確認し、誰もが等しく尊重される避難所づくりと運営のポイントを学びました。班別の避難所づくりでは、総務・情報班、施設管理班等5つのグループに分かれ、各班で試行錯誤しながら力を合わせ、創意工夫を凝らした避難所空間を作り上げました。実際に、段ボールベッドやテント等の防災物品を使って手を動かすことで見えてくることがあり、参加者は、自身の地域で訓練を行う際の具体的なイメージや、日頃からの積み重ねの大切さなどの気付きを得ていました。講義の後に訓練を体験したことで、より内容の理解が深まりました。

研修・イベント