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男女共同参画推進中!(全国の団体・機関の取組紹介)

2017年11月06日

「ジェンダーに気づく人権教育出前授業の普及をめざして」

NPO法人SEAN(シーン)事務局長 遠矢家永子

 SEANは1997年保育サポートを主軸に結成し、2001年に法人格を取得したNPOで、大阪高槻を拠点に活動しています。自分の力を信じ、なかまと一緒に一歩踏み出そうという願いを込め、Self-Empowerment Action Networkの頭文字をとってSEANと名づけました。活動に取り組み始めた頃は、専業主婦となった多くの女性たちは、無償の愛情労働として家事育児をこなし、主婦としての自分の経験を低く見る傾向があったので、会員相互支援の有償保育としました。現在もベビーシッターや家事支援、一時預かり保育など、高槻と東大阪で活動を続けています。

 子育てに悩むママたちと出会う中で、ジェンダー問題の深刻さに気付き、2002年より教育部門「G-Free」を立ち上げ、ジェンダーと暴力をテーマとした出前授業に取り組み始めました。男女共同参画社会基本法が制定された1999年の頃、ジェンダーに取り組むNPOも公的機関も勢いがありました。ところが、2002年くらいから、いわゆるバックラッシュといわれるジェンダーフリー教育や性教育バッシングがおこり、様々な取り組みは自粛傾向に追い込まれ、活動の縮小を余儀なくされていきました。
 にもかかわらず、子どもたちの購買欲を駆り立てるためにジェンダー規範を再生産するメディア、ネットの普及によって子どもも簡単に情報にアクセスできるようになり、特に「少女性」の商品化や、「男子力」として支配する「強さ」の奨励などによって、昨今ジェンダーバイアスはきつくなってきています。
 子どもが育ちの中でジェンダー規範を取り込むと、将来の職業選択が制限されるだけでなく、「男(女)らしく」なれないと親や友だちから否定され自尊感情が低下したり、強くなければいけないと暴力の加害者に、優しくなければいけないと被害者になってしまったりもします。それを予防するために、バックラッシュの最中も立ち止まることなく人権教育出前授業の普及と人材育成に努めてきました。
 現在は、未就学児から小中高大学生を対象に、ジェンダー規範への気づき、「強さ」「優しさ」の定義の見直しなど、子どもたちと一緒に考えるデートDV予防教育出前授業の普及に力を入れており、新たな事業として2015年からは若年層のポルノ被害相談事業にも取り組み始めました。

 大阪枚方市で取り組んでいるDV予防「みんな活き活きプログラム」の終了後の、小学4年生の児童の感想をご紹介します。
・なぐられたら、やりかえさずに、誰かに話を聞いてもらうとわかった。家事や子育てやお金をかせぐのは女じゃなく、男も女もどっちもやると初めて知った。学校に行くのは義務じゃなくて権利だと知った。人権学習がおもしろかった(男子)。
・本を貸したりするげきやお話で、友だちだけにやさしくするんじゃなくて、自分にもやさしくしてあげるということがわかりました。だから、わたしはこれから、友だちだけでなく「自分」にもやさしくなって、友だちとなかよしになりたいです(女子)。
・男、女だからといって、男は泣かない、女はおこらないと決めつけるのはダメだと思った。人には、だれでも生きる権利はあるし、これはいい、これはダメというのはなく、嫌なことはかかえるんじゃなくて、誰かに相談するのがいいと分かった。げきもしてくれて、友だちとか、自分は大切にしないとなーと思った(男子)。

 小学生対象デートDV予防「みんな活き活きプログラム」は、全国的な普及をめざしています。興味のある方は、SEAN事務局までお問い合わせください。
また、近畿圏でのポルノ被害等もご相談ください。
連絡先:SEAN/station@npo-sean.org