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2016年12月15日

「女性の立場からの環境改善を目指して」 

有限会社森谷ファーム(北海道北見市)取締役 森谷 裕美

 家長制度が色濃く残り、妻は夫に従うことが当たり前の農村社会で私は育ちました。
 その昔、農家の嫁が休めるのは唯一、盆と正月といわれていました。
 が、本家であった私の家は盆と正月に親戚一同が集まる場となっていました。
 祖母や母にとって気の安まる日は片時もなかったであろうこと、想像に難くありません。
 日常生活においても、農作業はもとより家庭内のことは当然として、高齢となった夫の両親の介護もしなくてはいけない、そんな境遇にも祖母や母は不満を言うことなく、明るく振る舞っていた記憶しかありません。
 通常、農家では農作業を補助してくれるパートの女性従業員を雇用しています。
 その昔、パート従業員は上出面(じょうでめん)と呼ばれていて、私の家(森谷ファーム)では5名ほどに来ていただいていました。
 収穫作業で忙しい10月ともなれば、上出面さんが休めるのは月に1,2日程度です。
腰をかがめる作業等が続く中、「今月休んだのは1日。稼がせてもらった~」と屈託のない笑顔で話すベテランの上出面さんたちと一緒に作業する日々は、いろいろなことを学べる機会でもあり、今日ある自分のもととなっています。
 30年近く森谷ファームに来てくれた、そんな上出面さんたちも高齢となり、新しいパート従業員にきてもらうことを契機に、農家で働く女性のあり方を私自身が考えるようになりました。
 上出面さんたちの団塊の世代から、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)を大切にする現代へと移りゆく中で、自らが、いったいいつが休みなのだろう、どこまで頑張れば良いのだろう、長時間の重労働に耐えること、それだけが良いのか...私は自らが経営者となった時を考えつつ、一つ一つのことを働く女性の視点から改善することにしました。

 現在までに森谷ファームで実施した具体的な改善は以下のとおりです。
①1日の大半を立ったままだった業務に椅子を取り付けて身体的な負担を軽減、同時に小まめに休憩をいれてリフレッシュできるようにしました。
②忙しい収穫時期でも気兼ねなく休みが取れる雰囲気をつくり、交代要員として実習生や住み込みの短期バイトを雇用しました。農福連携にも取り組みました。
③農作作業機の操縦から事務作業まで、従業員それぞれが得意とする分野で力を発揮できるよう、人員配置を考えました。

 今後も、作業工程を誰もが正しく把握できる作業マニュアルを作成すると同時に、自身の経験を糧として、女性従業員が輝ける森谷ファームとなるよう、一層の努力をしていきます。