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コラム

「スポーツ推薦入試制度を問い直す」高峰 修(2019.2.1)

高峰 修 明治大学教授

明治大学教授 高峰修氏の写真

 文部官僚の子どもを不正に入学させていたことを発端とする東京医科大学の不正入試事件は、性別や浪人回数によって得点操作をしていた事実の判明に至った。さらに、そうした入試における性別による得点操作は東京医科大学だけにとどまらず、他の多くの医学系大学・医学部においても行われていたのである。
 この問題をめぐっては、一部に男性を優遇する操作に理解を示す意見も散見される。NHKが女性医師を対象に行ったアンケート調査によれば、各大学におけるこうした対応に何らかの理解を示す人は6割を超えたそうである。この調査結果について日本女性医療者連合のある理事は、長時間労働が当たり前となっている医療現場に女性医師たちがあきらめを感じていることの表れだと指摘している1)。

 一方で、私の専門分野であるスポーツに関しても、多くの大学がスポーツ推薦入試によって学生を入学させている。企業スポーツの地盤が揺らいだ日本のスポーツ界において、大学スポーツは競技力向上という役割の一端を担っている。しかし、スポーツ推薦入試において学力試験を課していなかったり、入学後の勉学軽視の傾向に対して批判されるようになったことも一因として、大学横断的・競技横断的な大学スポーツの統括組織(UNIVAS)の設立が2018年度内に予定されている。
 ところが、大学スポーツが抱える課題について議論する際には欠かせないはずの体育会所属者の基本的データを、所轄省庁であるスポーツ庁は把握できていない。体育会所属者にはスポーツ推薦入試による入学者も含まれるが、その男女比もわかっていないのが実態である。スポーツ推薦入試による入学者の男女比に偏りがあれば、それは日本のトップアスリートにおける大学卒業者に男女の偏りをもたらすことになる。
 日本のスポーツ統括組織では、意思決定の場における女性の割合が低いことが指摘されている。意思決定をする立場に立つことに学歴が影響を及ぼすのであれば、その背後にはスポーツ推薦入試制度が存在していることになる。大学におけるスポーツ推薦入試制度については、男女共同参画という視点からも検討する必要があるだろう。
1) http://news.livedoor.com/article/detail/15127384/

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