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コラム
「 知人に誘われて仮想通貨を買った? 」中野和子(2018.4.1)
中野和子 弁護士
2014年にビットコインが流出して大騒ぎになり、2018年2月にもNEMという仮想通貨が580億円も流出して、TVでCMも流していたコインチェックという仮想通貨取引所が賠償する騒ぎになっています。
仮想通貨とは、英語でcrypto-currencyといい、国の信用で流通している法定通貨(円やドル)とは全く異なり、金融商品の一つです。日本の仮想通貨取引所に上場している仮想通貨は現在14種類だそうです。
数年前から、国民生活センターでも、知人に儲かるからと誘われて仮想通貨を購入した例が、投資被害の相談事例として挙げられています。
投資被害では、誘われて断り切れずに契約する例が多く、そもそも仮想通貨とはどのような仕組みなのか、理解せずに購入する方がほとんどです。契約は全て自由意思で行うとされるのが民法の原則ですが、現物でなくバーチャルなものの正体を見抜くことは、消費者には難しいことです。この場合は、消費者の自己決定権を保障する情報提供が不可欠といえます。また、知人から何を言われようと自己の頭でわからないものには手を出さないことも重要です。
今年3月に閣議決定された消費者契約法の改正案では、「不安をあおる告知」と「人間関係の濫用」がある場合について、契約の取消権を認めることにしました。「社会生活上の経験が乏しいこと」という要件があり、高齢者等の被害への適用を除外することになると懸念されていますが、消費者は、プロの勧誘者に取り込まれやすいので保護が必要です。
大事なことは、勧誘を断るときに理由を言う必要がないということです。勇気をもって、私はいらない、買わない、と自己主張することが、断る理由を全て論破してくるプロに対抗する手法なのです。「私の判断の理由をあなたに説明する必要はない、私は買わない、もうこの話は終わり」知人だとしても自己の意思を貫いてこそ、大切なお金を守ることができるのです。
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