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コラム
「 女性アスリート支援をめぐる日本の現状と課題 」小笠原悦子(2016.11.15)
小笠原悦子 順天堂大学女性スポーツ研究センター センター長
リオデジャネイロ五輪・パラリンピック大会では日本の選手は男女ともに好成績を収め、特に女性オリンピアンは2000年のシドニー五輪以来5大会連続で金メダルの数では男性を上回った。
文部科学省が女性アスリートに焦点を当て、本格的な調査研究を開始したのは5年前の2011年である。2年後には女性アスリート支援の課題を3分野(①身体・生理的課題、②心理・社会的課題、③組織・環境的課題)に整理し、「女性アスリート戦略的強化支援方策レポート」にまとめた。
1.身体・生理的な課題
特に、女性アスリートの三主徴(Female Athlete Triad)は、まだまだ知られていない重要な女性アスリート独特の兆候である。必要とされるエネルギーが摂取できていない(摂食障害の有無を問わず)女性アスリートは、視床下部性の無月経や骨粗鬆症を起こす可能性が大きい。
2.心理・社会的な課題
部活を辞めたいという女性アスリートに対して、その保護者が男性アスリートに比べるとあっさりと辞めさせる(継続に対する支援が少ない)傾向がある。また、指導者のハラスメントも原因で辞める場合もある。さらに、結婚、出産、育児というライフイベントを伴う選手のドロップアウトはかなりの数に上る。
3.組織・環境的な課題
スポーツ界における日本の女性の指導的立場(コーチや役員)の少なさ、特にスポーツ組織の意志決定者の少なさ(約10%)が顕著である。この5年間に倍増したものの、世界的に見ると、この10%は2000年(16年前)の目標数値に達しただけである。現在の世界の目標は、2014年の世界女性スポーツ会議の決議文の中で定められた40%という目標に引き上げられている。日本でも、女性活躍促進法が制定されたが、2020年までに指導者的な立場の女性を30%にする目標が存在する。日本はこの現状に甘んじるのではなく、スポーツ界は、2020東京大会までに、この世界基準(40%)および日本全体の目標(30%)に達するための努力を迫られていると考えられる。
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