NWECについて

コラム

「 開館40周年記念メッセージ 」内海房子(2017.11.1)

内海房子 国立女性教育会館理事長

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 国立女性教育会館(NWEC)は、本年、開館40周年を迎えました。こうして無事に40周年を迎えられますのも、多くの女性関連施設や女性団体のみなさまの力強いご支援の賜物と心より感謝申しあげます。
 NWECは、1975年開催の国際婦人年世界会議から2年後の1977年に設立されました。この頃の日本の状況は、メキシコで開かれた国際婦人年世界会議をきっかけに、国内の婦人運動が高まり、女性の社会進出の機運が強まってきたところです。
 当時、日本は高い婚姻率、低い独身率ということで知られていました。結婚適齢期という考え方がまだ一般的で、何を求めて結婚するのかという調査によれば、「結婚は女の幸福だから」が最も多く、ついで「結婚するのが当たり前だから」「精神的に安定するから」が続いています(1972年の総理府意識調査より)。しかし、この頃から婚姻率は低下傾向を示すようになります。「夫は外で働き妻は家庭を守る」伝統的立場を支持するかどうかの調査でも、1972年では、支持する人は男女ともに8割を上回り、その反対でもよいという人は1割に満たなかったのが、1976年の調査では、その考えに「同感する」が49%、「同感しない」は40%と、大きく変化しました。1977年頃は、このように日本の女性たちの意識の変化の兆しが見えてきた時期だったと言えるでしょう。
 開館40周年を迎えるにあたり、この40年間をふり返ってみると、変わろうとする日本の女性たちの飛躍のために、NWECは女性教育や男女共同参画に関する様々な学習の機会を提供してきたのではないかと思います。緑の木々に囲まれた自然豊かな環境の中で、熱く議論を交わし、にぎやかに交流し、あるいは、静かに沈思黙考し、穏やかに心身を休めるなど、学習と出会いに最適な場を提供できたのではないかと自負しています。日本の女性を取り巻く環境は、この40年間に大きく変化しました。女性の社会参画も確実に進んでいます。しかし、世界水準にはまだまだ遠く及ばないのが現状です。
 これからもNWECは「男女共同参画の推進機関」として、さらなる充実した事業の展開に尽力するつもりです。あらゆる分野において男女が共に参画し、その利益を享受し、責任を担う男女共同参画社会の形成を目指して、一歩一歩前進してまいります。

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