国際連携

国際協力機構との連携

実施報告

平成28年度 課題別研修「アセアン諸国における人身取引対策協力促進」

開催期間:平成28年10月24日(月)~11月4日(金)


国立女性教育会館は、平成28年10月24日から11月4日まで、国際協力機構(JICA)からの委託事業として課題別研修「アセアン諸国における人身取引対策協力促進」を開催しました。参加したのはアセアン地域から、JICAが人身取引対策プロジェクトをこれまで実施してきたタイ、ミャンマー、ベトナムの3か国およびフィリピン、カンボジア、マレーシアの6か国13名の人身取引対策担当者です。

平成28 年度課題別研修「アセアン諸国における人身取引対策協力促進」 意見交換会/成果発表会

セミナーでは日本及び参加国相互の人身取引対策や女性に対する暴力を防止するための方策について、官民の取組や事例に関する講義や意見交換を行います。具体的には、日本政府の人身取引対策行動計画を基盤とした取組み、官民の婦人保護事業や人身取引被害者支援の活動、カントリーレポートなどを通じて、各国の状況や相違点を理解し、課題や好事例を共有しました。セミナーを通して、当事者の視点に立った人身取引撲滅と被害者保護について、参加者相互の理解を深め、アセアン地域における協力関係の促進を図りました。

1. 研修フォトハイライト

10月24日 オリエンテーション、各国のカントリーレポートの発表

10月25日 内閣官房において日本の人身取引対策行動計画について説明(左)東京入国管理局の見学(右)

10月26日 厚生労働省の人身取引対策及び婦人保護事業についての講義と意見交換(左)東京都女性相談所の見学   

10月27-28日 国立女性教育会館における男女共同参画講義とワークショップ 理事長挨拶 各国の男女共同参画に関する意見交換会     

在住外国人ネットワークの取組みや諸外国における被害者支援活動についての講義と意見交換

日本の文化 響書院において茶室見学と茶道の体験

ケース検討:岐阜県警、IOM、シナピスの報告と、保護福祉関係者グループと法執行系のグループ別に分かれたグループ別討議

10月29日 よりそいホットライン見学と講義

10月31日 社会福祉法人一粒会訪問

11月1日 外国人労働者の保護についての講義

国別に分かれて人身取引被害者保護と支援プロセスやリソースについてグループワークと発表

2.成果発表と意見交換会

11月4日(水) JICA本部会議室にて、関係省庁、国際移住機関や駐日大使館員、民間支援団体、有識者を招き、各国の人身取引対策の取組みや研修を通じて得られた成果について発表しました。

3.修了式

4.参加者の感想(抜粋)

研修を通じて参加者は、日本および各国の人身取引対策について理解を深めました。

・有意義なディスカッションを行なうことができ、女性の権利擁護の講義も印象深かった。
・全ての講義が有益であったが、特に、一粒会、東京都女性相談所、ホットラインが素晴らしかった。一粒会のグループホームから学べることが多くあると感じた。また、被害者支援のために様々なサービスを提供していた。東京都女性相談所では、シェルターが併設されており、心理カウンセリング室、医務室等が整備され、ワンストップサービスを提供できる体制が整っていた。
・提供しているサービスは多岐にわたっており、スタッフ一人一人が責任を持って仕事を行なっていることに感銘を受けた。よりそいホットラインでは、自国のホットラインを改善するために役立つ情報を得ることができた。
・政府機関による講義、東京入管、一粒会、よりそいホットラインから多くの知識・経験を学んだ。東京入管は、外国人に対して体系的なサービスを提供しており、目的毎に窓口が分かれていて分かり易いシステムになっていた。
・研修を通して、多くのコンセプトや経験を学ぶことができた。特に、社会福祉の専門家として、今後、自らのキャリアを構築していく上で、日本の社会福祉サービスの経験は大変参考になった。今後、自国のホットラインを改善させるためのヒントを得ることができた。
・自国の情報センターのサービスを改善させる必要性を感じた。
・NWECでのケーススタディーは大変有意義であった。IOMや様々な分野の講師とディスカッションができたことも良かった。
・コミュニティーと一体となった福祉サービスを見ることができ、有益であった。
・研修で網羅されたプログラムは全て役立つ内容であった。TIPやDVの防止・被害者保護について理解を深めることができた。多くの経験を学ぶことができ、帰国後に取り入れられることがあると感じた。
・これまでは、人身取引を法執行の視点でしか見ておらず、保護や社会福祉サービスがどのように実施されているかいうことを知らなかったので、当研修から保護の重要性について学ぶことができ、視野が広がった。また、自国の参加者を含め、保護の分野の参加者からも学ぶことが多く、参加者との交流は大変有益であった。
・自国では人身取引被害者のためのホットラインに関わっているため、日本から学べることが多くあった。自国のカウンセラーの能力向上の必要性や他機関との連携の重要性について理解した。
・講義や視察が充実しており、新しい知識や経験を学ぶことができた。参加者から学ぶことも多く、研修員間で相互理解を深めることができたことも貴重であった。



本セミナーの実施にあたり講義や意見交換、見学受け入れで多大なるご協力をいただきました関係省庁(内閣府、外務省、法務省、厚生労働省、警察庁)、都道府県(東京都、岐阜県警察)、大使館、国際機関、民間団体、有識者および支援活動に携わるネットワークの皆様に心よりお礼を申し上げます。


*平成21-23年度の3年間は、タイの人身取引の被害者保護と自立支援のために、関係機関の連携協働を促進するプロジェクトとして国際協力機構(JICA)から委託を受けて本邦研修を実施してきました。
*平成24年度から平成26年度までの3年間は、アジア諸国における人身取引対策協力促進セミナーを実施するとともに、ミャンマーやベトナムの国別研修も実施しました。
*タイの人身取引及びプロジェクトに関するDVD(日、英、タイ語)および報告書を、情報センターで貸し出しています。

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