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第57回 国連女性の地位委員会出席

開催期間:平成25年3月4日(月)~15日(金)


 「第57回国連女性の地位委員会(Commission on the Status of Women, 以下CSW)」が2013年3月4日(月)から3月15日(金)まで、国連本部(ニューヨーク)で開催され、会館からは研究国際室と情報課より計2名が日本政府代表団(橋本ヒロ子代表)の一員として参加しました。
 「女性及び女児に対するあらゆる形態の暴力の撤廃及び防止」をメインテーマとして、各国代表や国連の関係機関、NGO代表らによるステートメントの実施、ハイレベル円卓会合や対話型専門家パネルが開催されました。また、第53回CSWで採択された合意結論「HIV/AIDSのケア提供を含む男女間の平等な責任分担」に関して、国別及び国際機関による取組の進捗状況がレビューパネルで討議されたほか、第58回CSWのメインテーマである「ポスト2015のミレニアム開発目標に盛り込むべきジェンダー平等問題」に関する準備会合も開催されました。本会議ではVAW根絶のための重要分野として、関連する法律と暴力被害者への支援の実態のギャップや、セクター横断的な包括的なサービス提供体制の構築が議論されました。またポスト2015のミレニアム開発目標に関連して、質的評価も含むあらたな評価指標の開発の必要性や、新たな課題のひとつとして気候変動がジェンダー関係に及ぼす影響について活発な議論が行われました。

 橋本日本代表は3月7日に日本政府のステートメントを述べ、我が国が第三次男女共同参画社会基本計画及び配偶者暴力防止法に基づき、女性と女児に対する暴力の撤廃のため、さまざまな取組みを実施している点が強調されました。国内での取組としては「女性のための暴力撤廃キャンペーン」(平成24年11月12日から11月25日)や、暴力を受けた女性被害者の保護の観点から、女性警察官の増員や被害者支援の仕組みの明確化が好事例として紹介されました。また、会館が本邦研修を受託しているメコン地域における人身取引防止プロジェクトが、被害者支援の好事例としてステートメントの中で言及されました。

 3月8日には、潘基文国連事務総長臨席のもと「国際女性デー」のイベントが国連本部で開催され、ミチェル・バチェレUN Women事務局長からは「女性に対する暴力の撤廃は2年前のUN Women設立時の最優先課題のひとつであり、そのために世界各地で変化は可能であり、変化は起きています。」とのメッセージが寄せられました。このイベントではUN Womenのテーマソングである”One Women”がリリースされました。

 CSW開催中にはサイドイベントやパラレルイベントも行われ、「女性及び女児に対するあらゆる形態の暴力の撤廃及び防止」に関する様々な取組が紹介されました。

 Guidelines to measure violence against women と題するサイドイベントでは、国連統計局による策定中の女性に対する暴力の実態調査のガイドラインについての報告と、太平洋地域における実態調査の事例発表が行われました。その中で、女性に対する暴力の実態調査は非常にセンシティブなものであり、質問項目の設定に注意しなければいけないこと、また質問者に対するケアも重要であることなどが報告されました。国連統計局が策定するガイドラインは5月頃に最終版が刊行される予定です。

 こうしたイベントの参加を通じて、各国やNGOが作成したそれぞれの地域における女性の状況がまとめられた資料の積極的な収集を行いました。収集した資料は整理・登録をして、女性教育情報センターの所蔵資料として提供する予定です。

 合意結論については、昨年はCSWの歴史の中で初めて合意結論がまとまらなかったこともあり、合意に向けて連日遅くまで議論が続けられました。最終日は進捗の遅れを心配するNGOが廊下から見守るなか、協議が行われました。夕方になっても議論はまとまらず、当日中の合意は難しいと思われましたが、議長の強いリーダーシップと各国代表の努力により、午後8時前には無事採択されました。

 第57回CSWの詳細や合意結論については、UN Womenに資料や動画が掲載されています。(英語を含む国連の公用語での掲載)

 また、国立女性教育会館では、平成25年度に実施予定の主催事業の中で、第57回CSW参加職員による報告を行います。詳細については会館ホームページに掲載予定です。

関連リンク

日本政府代表団 橋本ヒロ子日本政府代表

サイドイベントでは最新の調査結果が報告された
「国際女性デー」

合意結論の採択を喜ぶ各国代表
合意結論採択後に挨拶をするUN Women のバチェレ事務局長

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