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韓国女性政策研究院(KWDI)とのウェビナー開催報告(オンライン)

開催期間:2022年9月30日(金)


 9月30日(金)、NWECと韓国女性政策研究院(Korean Women’s Development Institute, 略称KWDI)はウェビナーを開催しました。KWDIとは平成18年に交流・協力協定を締結して以降、調査研究や人的交流が続いています。本ウェビナーは「ジェンダー平等を実現するためのジェンダー研修:知識の共有とこれから(“Gender Training as a Tool for Achieving Global Gender Equality: Sharing Knowledge and Suggestions for the Future”)」と題し、KWDI、韓国両性平等教育振興院(KIGEPE)、淑明女子大学校、国際協力機構(JICA)からの登壇者を招いて、コロナ禍におけるオンライン研修について情報共有や意見交換を行いました。また、第67回(2023年)国連女性の地位委員会(CSW)の主要テーマである「ジェンダー平等と女性と女児のエンパワーメントのためのイノベーションとテクノロジーの変化及びデジタル時代の教育」にあわせて、デジタル時代における研修のあり方について話し合いました。

 ウェビナーでは、まずKWDIのYOON Jiso氏から、KWDIの設立の背景や団体概要、韓国国際協力団(KOICA)とともに実施している研修についての説明がありました。KWDIでは2020年よりネパールの地方行政官を対象としたジェンダー研修を行っていますが、2020年はコロナ禍の影響で来韓研修を中止し、2021年と2022年はオンライン研修を実施しました。オンライン初年度は講義動画を含む研修モジュールを用意し、Google ClassroomやFacebookページを活用して意見交換が行われました。2年目はライブセッションでの交流に重点を置きました。オンライン研修の課題として、参加者のやる気をいかに引き出すかや、個々人の状況に合わせたきめ細かい対応の重要性が共有されました。

 次に、NWEC渡辺研究国際室長より、NWECの概要と国際協力機構(JICA)からの委託事業として実施している課題別研修「アセアン諸国における人身取引対策協力促進」について報告がありました。2019年度の来日研修とオンラインで実施した2020年度と2021年度の研修を比較し、それぞれのメリットとデメリットについて話がありました。今後は対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド研修モジュールの開発が課題であることが共有されました。

 続くディスカッションでは、KIGEPEのCHO Haelim国際協力センターディレクターと淑明女子大学校のPARK Joung准教授が登壇し、それぞれの団体におけるオンライン研修の課題が共有されました。KIGEPEでは、アジア市民社会のジェンダートレーナーを対象とした研修を行ってきましたが、コロナ禍では、オンライン研修を行いました。CHO氏はポストコロナ期における研修の効率やコミュニケーションの向上の必要性について言及しました。

 淑明女子大学校では、KOICAと協力してオンライン研修を実施しており、ジェンダー研修に男性を巻き込むことの重要性についても強調されました。韓国におけるジェンダー研修の強みの一例として、韓国内でも対策を進めているジェンダーに基づく暴力への対応があげられました。

 NWECの越智客員研究員は、コロナ禍においてNWECが実施したオンライン研修とコロナ禍以前に実施した対面研修について比較し、2021年度のオンライン研修では、利便性が向上したことで、より多くの男性や管理職が研修に参加したことを報告しました。他方、オンライン研修では、対面研修に比べて満足度が若干低い点もあげられました。

 最後に、JICAのガバナンス平和構築部 ジェンダー平等・貧困削減推進室の齊藤氏より、JICAのメコン地域における人身取引対策プロジェクトや8月にタイで行われたメコン地域ワークショップ「コロナ後の『新しい日常』に向けた取組」(Preparation for and Response to the ‘New Normal’ after COVID-19 Pandemic”)について報告がありました。人身取引の入口としてオンラインゲームやチャットが悪用されている一方、人身取引対策でもITが活用できることを強調されました。

後半のディスカッションでは、研修参加者の選定方法の違いや研修の期間や実施方法の違いとメリットやデメリットについて活発な意見交換が行われました。また、ジェンダー研修に男性を巻き込むためには、募集要項を工夫する点もあげられました。ディスカッションでは、NWECが行っている調査研究等に対する質問もあり、互いの活動について学び合う機会にもなりました。
 
 ポストコロナ期における研修のあり方については、コロナ禍で得られた知見に基づき、オンライン研修の強みを活かしていくことの重要性を確認しました。最後に、参加者同士の今後の協力を確認し、ウェビナーを終了しました。

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