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実施報告

平成18年度 国別研修(アフガニスタン)

開催期間:平成19年2月5日(月)~23日(金)


アフガニスタン国別研修

平成19年2月5日(月)から2月23日(金)までのアフガニスタン国別研修は、アフガニスタン政府職員8人を対象に、「ジェンダーと情報」というテーマで行われました。情報を効果的に発信することにより省内職員および国民に対して有効なジェンダー政策を立案できる技術を養成する研修というのが今回、JICA(国際協力機構)から要請された研修目標でした。 当初は4週間で計画されていた研修ですが、現地の都合から研修期間が3週間になったため、内容と目標はそのままに研修期間を短縮したため、タイムマネージメントと体力との勝負だった研修でした。

「ヌエック神田理事長、上田理事、鈴木局長、中野研究国際室長を囲んで」 「ヌエック神田理事長、上田理事、鈴木局長、中野研究国際室長を囲んで」

アフガニスタンは女性の非識字率が90%、妊産婦死亡率は10万人中1900人(UNFPA, 2005)、そして幼児死亡率が161人(UNFPA, 2005)と、世界の中で最も数字の高いワーストグループに属し、ジェンダー分野での課題は多大にあると言われている国です。 2001年にタリバン政権が崩壊し、様々な外国からの援助が入り、国の再建を目指している中、経済の発展と国の開発を男女がともに行っていかなければ良い国は作れないという認識を研修員全員が強く持っていました。ヌエックとしてもそのようにやる気のある研修員の一助になればと、神田理事長をはじめ職員総出で研修にあたりました。
まったく異なるように見えるアフガニスタンと日本ですが、例えば国民の大半を失った戦争からの復興という点では共通点が多くあります。日本での戦後の栄養不足や妊産婦死亡や幼児死亡率が抑えられ、女性の政治参加が行われのはそう遠い時代の話ではなく、現在においても農村の高齢化、過疎化、花嫁不足、少子化、そして男性の自殺の増加などジェンダー不均衡のために起こる問題がたくさんあり、そのような問題点へどのようなアプローチを取ったか、それによりどのような問題点が残されているか、ということを視察や農村の人々と直接話をすることで感じ取ってもらいました。復興が始まったばかりのアフガニスタンの研修員にとっては「経済の復興が可能になればジェンダーの平等も確立される」という考えを持っていたようですが、研修が進むにつれ、そうとも言えないのではないか、と考え始めました。農村では国の発展に関わらず、女性のほうが労働時間が多いこと、女性の識字率を上げると家族やコミュニティーの生活の質の向上や病気を防ぐことができるようになること、そして復興期だけに女性の参画を促し、復興したら女性の人権が話題に上らなくなるというのはいろいろな国でよく見られる現象ですが、そうではなく人口の半分の女性をサポートすることが良い国を作っていく鍵となること、などを考えるようになったようです。

今回の研修では研修の中心となった、良いコミュニケーションを行うためのメッセージの作り方、政府の啓蒙メッセージを伝えるための良いポスター作りのキーポイントが研修員の間では好評で、自分の仕事上での利点や活用法なども見出してくれたようで、これらは情報とジェンダーがテーマの今回の研修の中心課題でしたのでそれを身に着け、やる気になってもらえた点は非常に良かったと思います。これも先生方を始め関係者の皆様に多大なご協力と温かいご支援を頂くことができたお陰だと思っております。本当にありがとうございました。さらに今回は研修日程の関係でヌエックボランティアの方々との直接の交流は実現しませんでしたが、最後まで温かく迎えようとしてくださったヌエックボランティアの方々、本当にありがとうございました。研修仕上げの評価会、成果発表会では達成感を感じさせ、非常に満足な様子で帰途につきました。今回の研修成果はアフガニスタンのジェンダーワーキンググループ(国連や関連省庁のジェンダー担当官の定期会議)で4月10日にグループ発表を行う予定とのことです。今後も研修員たちがどんどん活躍して行って欲しいと願っています。

「愛媛県内子町道の駅「からり」訪問、三味線演奏の後からりのみなさんと」 「愛媛県内子町道の駅「からり」訪問、三味線演奏の後からりのみなさんと」

アフガニスタン国別研修概要
日程:2月5日-2月23日
研修テーマ:情報とジェンダー
参加者:アフガニスタン政府における、女性課題省(2名)、外務省(1名)、商業産業省(1名)、中央統計局(1名)、農業灌漑省(1名)、農村復興開発省(1名)、労働社会犠牲障害者省(1名) より計8名。

研修目標:アフガニスタン行政官の基礎行政能力向上のためジェンダー視点に基づいた情報収集・分析能力を身に付け、ジェンダー・ネットワーカーとして情報発信できるようになる。

JICA(国際協力機構)の委託により企画実施。同様のジェンダー分野研修としては「カンボジアジェンダー統計」に続く。

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