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第58回 国連婦人の地位委員会出席

開催期間:平成26年3月10日(月)〜21日(金)


 「第58回国連婦人の地位委員会(Commission on the Status of Women, 以下CSW)」が2014年3月10日(月)から3月21日(金)まで、国連本部(ニューヨーク)で開催され、会館からは研究国際室と総務課より計2名が日本政府代表団の一員として参加しました。
「女性及び女児に関するミレニアム開発目標の実施における課題と成果」をメインテーマとして、各国代表や国連の関係機関、NGO代表らによるステートメントの実施、ハイレベル円卓会合や対話型専門家パネルが開催されました。
 本会議では、ポスト2015のミレニアム開発目標について、ジェンダー平等を独立した課題として取り扱うべきである(Stand Alone Goal)という考え方が広く共有されました。加えて教育や環境保全、保健医療等の分野の開発目標や施策の中に、男女間の格差に配慮した数値目標を組み込むこと、目標値の設定にあたっては各国や地域間でのジェンダー統計の整備が必要であることも強調されました。各国政府代表のステートメントでは、早婚や女性性器切除(FGM)、人身取引、ドメスティック・バイオレンス等の女性に対する暴力が依然として重大な社会課題であるとの意見が繰り返し述べられ、対話型専門家パネルにおいても、女性の人権の視点に立ち戻りジェンダー平等について議論することの重要性が提起されました。

石原宏高外務大臣政務官は3月11日に日本政府のステートメントを述べ、我が国が女性のもつ力を発揮することができる「女性が輝く社会」の実現に向けて取組みを進めていることが報告されました。また、日本政府はグローバルな課題に対応するため政府開発援助に30億ドルを拠出し(2013年度)、途上国への支援を推進することや、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの促進を通じて、女性や女児の医療アクセスの向上を目指していることも強調されました。上記に加え、東日本大震災等の教訓をふまえ、減災、防災、災害復興の全ての局面における女性の意志決定部門への参画の重要性についてもステートメントの中で言及されました。

CSW開催中には、約470のサイド・イベントやパラレル・イベントが行われました。日本のNGOも国連代表部との共催で、3月14日に「自然災害のリスク削減と女性のエンパワーメント」をテーマにサイド・イベントを実施しました。各国の政府やNGO関係者が参加し、この問題に関する関心の高さが伺われました。

 日本が一昨年に続き2度目となる「自然災害におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメント」の決議案を79ヵ国の共同提案で提出し、採択されました。東日本大震災の際に、避難所に授乳や着替えをする場所が無いなど、女性が避難生活に困難をきたすことが多かったことが明らかとなり、その背景に、防災・災害救援、復旧・復興のあらゆる段階の意思決定に女性がほとんど参画していなかったという問題がありました。この決議案は、自然災害の発生は防ぐことができないが、(女性の視点や女性の意志決定への参画を増やすことで)被害は減らすことができるとの考え方に基づいています。この決議は災害に負けない社会を男女共同参画にも配慮して作ることの重要性を訴え、2015年3月に仙台で開催される「第3回国連防災世界会議」の開催を見据えて、防災・復興における男女共同参画の視点や女性の役割の重要姓について国際社会が認識を共有するものです。

 合意結論については、連日、深夜まで議論が続けられました。会場の外では、多くのNGO関係者も同様に深夜まで会議の様子を見守っていました。その結果、最終日の夕方から中断されていた議論が24時頃再開され、合意文書が採択されました。

 第58回CSWの詳細や合意結論については、UN Women に資料や動画が掲載されています。(英語を含む国連の公用語での掲載)

 また、国立女性教育会館では、平成26年度に実施予定の主催事業の中で、第58回CSW参加職員による報告を行います。詳細については会館ホームページに掲載予定です。

 国立女性教育会館では、CSWの仕組みについて解説したリーフレットを作成しました。
関連リンクの 国連婦人の地位委員会(CSW)早わかり をご覧ください。

関連リンク

CSW本会議場の国連本部

開会

日本政府とNGO共催のサイド・イベント

対話型専門家パネル

国際連携