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第5回 人の移住に関する世界社会フォーラム

開催期間:平成24年11月26日(月)~30日(金)


「第5回人の移住に関する世界社会フォーラム (World Social Forum on Migration, 以下WSFM)」がフィリピン共和国のケソンシティーで開催され、会館からは研究国際室職員と「地域の男女共同参画の取組を核とした移民女性のエンパワーメントと支援に関する研究」(基盤研究B、研究代表者 中野洋恵)の連携協力者と研究協力者、計4名が参加しました。
WSFMはグローバリゼーション下での公正な社会の実現に向けて、市民社会で活動をおこなう多様な主体が、政策や変化のための取組みの情報交換をおこない、ネットワークを構築する機会と議論の場を提供してきました。アジアで初の開催となる第5回WSFMは、「人の移住、人権、グローバルモデル:あらたな方策の構築(Mobility, Rights, Global Models: Looking for Alternatives)」をテーマとして2012年11月26日~11月30日の会期で開催されました。労働移民、難民、国内避難民や人身取引等、多様な形態の移住がもたらす様々な問題について、延べ26のワークショップやポスターセッションが企画され、約800名が参加しました。

11月27日のポスターセッションで、会館の人身取引に関する調査結果について報告をおこないました。ポスターセッションは、日本国内で外国籍市民への支援をおこなっている2団体(人身売買禁止ネットワーク=JNATIP、移住労働者と連帯するネットワーク)の協力を得て、台湾で人身取引被害者の支援に従事している3団体との共催で実施しました。会館からは日本政府の人身取引対策の実態と課題を、台湾の3団体からは、それぞれ、人身取引被害者の労働搾取の実態や公的機関とNGOが連携して女性の立場でおこなっている支援活動、救世軍の国際ネットワークを活用した送り出し国と受け入れ国の連携について報告がなされました。ポスターセッションにはオーストラリア、米国、カンボジア、ネパールなどから約55名の参加があり、活発な質疑応答からは人身取引への関心の高さがうかがわれました。

WSFM3日目には、マニラ首都圏、パンパンガ州、バタンガス州の3か所へのスタディーツアーがフォーラム事務局により企画されました。マニラ首都圏では国策として海外就労を推進しているフィリピンの行政機関担当者より海外就労政策や帰還移民の帰国後の再統合支援についての説明がされ、移住労働者の主要な送り出し地域であるパンパンガ州、バタンガス州(いずれもルソン島)では、残された家族や子供たちへの支援についての具体的な取組みが地元の教育機関NGOや教会関係者から報告されました。

WSFM会期中の11月29日にはフィリピンの国内本部機構であるフィリピン女性委員会(PCW)を訪問し、Verzosa局長と面談しました。PCWは1975年に設立された、開発とジェンダー予算の導入など、同国のジェンダー平等政策をリードする政府機関のひとつです。また、会館と連携協力協定を締結している国立フィリピン大学女性学研究センターが、WSFMで主催した社会運動としてのフェミニズムの可能性に着目したワークショップに参加しました。さらに、会館が実施した人身取引に関する調査研究の協力団体である、バティス女性センター(ケソン市)とドーン(マニラ市)の事務所を訪問し、海外就労から帰国した女性たちの経済的エンパワーメントにつながる両NGOの最新の取組みについて情報収集をおこなうなど、会館の関係機関等ともネットワークの構築をはかりました。

1. WSFMのポスター

2. WSFM開会に先立っておこなわれた参加者によるパレード

3. 会館の人身取引に関する調査研究の報告

4. 会館主催ポスターセッションでの活発な質疑応答

5. ポスターセッションは台湾の三組織    (Taiwan Women’s Rescue Foundation, New Immigrants Labor Rights     Association, The Salvation Army Taiwan Region, )と共催で実施した

6. フィリピン政府の海外移住に関わる政策に関するスタディーツアーに参加     写真はフィリピン海外雇用庁

7. フィリピン女性委員会Emmeline Verzosa局長(左から2人目)を訪問

8. 国立フィリピン大学     女性学研究センターエストラーダ・クラウディオ教授が主催するワークショップに参加

9. バティス女性センター 帰国女性の支援を長期的に継続している    当事者女性達の経済的自立に向けたクリーニングやケータリング事業も行われている

10. WSFM参加メンバー : 写真左より、吉田容子 立命館大学教授、渡辺(NWEC)、     橋本ヒロ子 十文字学園女子大学教授、越智(NWEC)

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