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第56回 国連女性の地位委員会出席

開催期間:平成24年2月27日(月)


 「第56回国連女性の地位委員会(Commission on the Status of Women, 以下CSW)」が2012年2月27日(月)から3月9日(金)まで、国連本部(ニューヨーク)で開催され、会館からは研究国際室と情報課より計2名が日本政府代表団(橋本ヒロ子代表)の一員として参加しました。
 今年のCSWは「農山漁村女性のエンパワーメント及び貧困・飢餓撲滅、開発、今日的課題における役割」をメインテーマとして、各国代表や国連の関係機関、NGO代表らによるステートメントの実施、ハイレベル円卓会合や対話型専門家パネルが開催されました。

 橋本日本代表は3月2日にステートメントをおこない、冒頭で、平成23年3月11日に発生した東日本大震災に際し、各国から寄せられた支援への謝意を表明されました。続いて第3次男女共同参画基本計画において、第56回CSWのメインテーマでもある「活力ある農山漁村の実現に向けた男女共同参画の促進」を15の重点分野の一つとして掲げていることを述べられました。同計画では、女性が対等なパートナーとして農業経営に参画できるようにするため、家族経営協定の締結数の拡大と有効活用の促進、女性の起業活動への支援を推進することや農山漁村の経営の多角化を推進していることを強調されました。

 今年は、日本政府代表団より「自然災害とジェンダー」に関する決議案が提出され、防災、発災後、復旧・復興におけるすべての局面で、ジェンダーの視点を取り入れた政策立案の必要性と復旧・復興に係る女性の意思決定過程への参画を確保することの重要性が提起されました。この決議案は、最終日に日本を含む50カ国が共同提案国となり採択されました。

 3月7日にはUN Women主催による国際女性デー(3月8日)を記念したイベントが開催され、記念イベントに出席した潘 基文(パン・ギムン)国連事務総長は「農山漁村部において、女性は主要な労働力の担い手であるにも関わらず、差別的法律や慣行によりその潜在能力を発揮することが妨げられており、こうした状況は女性だけでなく、社会全体と国家にも悪影響を与えている」と述べられ、各国政府、市民社会および民間企業に対し、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに全力を注ぐよう求める挨拶をされました。続いて行われたパネルディスカッションでは、世界各地から農山漁村の女性のエンパワーメントのための取り組み事例が紹介され、農山漁村の女性のエンパワーメントのためには教育が要である旨、確認されました。

 また、第52回CSWで採択された合意結論「ジェンダー平等及び女性のエンパワーメントのための資金調達」に関して、国別及び国際機関による取り組みの進捗状況がレビューパネルで討議されたほか、若者を対象としたジェンダー平等推進プログラムについてのパネル協議や、第57回CSWのメインテーマである「女性に対する暴力」に関する準備会合も開催されました。

 日本の市民社会からも活発な情報発信がおこなわれました。NGO3団体(国際婦人年連絡会、国連NGO国内婦人委員会、日本女性監視機構)が、3月1日に「災害復興とジェンダー」と題するサイドイベントを開催したほか(国連日本政府代表部後援)、北九州アジア女性フォーラムや農山漁村女性・生活活動支援協会、ヒューマン・ライツ・ナウらが期間中にパラレルイベントを実施し、いずれも定員を上回る参加者がありました。

 CSWは国立女性教育会館にとって、アジア・太平洋地域におけるナショナルマシーナリー等とのネットワークを構築、強化する貴重な機会となりました。CSW期間中には、協力・連携協定を締結しているカンボジア王国女性省のパビー大臣や平成21年度に開催した会館主催の国際研修に参加したインドネシア女性エンパワーメント省職員のチプット・エカ・プルウィアンティさんに再会し、両国におけるジェンダー平等施策について最新の情報を交換することができました。

 なお、第56回CSWでは参加国間の協議がまとまらず、合意結論は採択されませんでした。最終日の3月9日(現地時間)、日本が提出した「自然災害とジェンダー」決議案が、コンセンサスで採択されました。採択された決議案は外務省に掲載されています。

 今回のCSWの詳細については、UN Womenに資料や動画が掲載されています。(英語を含む国連の公用語での掲載)

 また、国立女性教育会館では、平成24年度の主催事業の中で、第56回CSW参加職員による報告を行う予定です。日程等については、決定次第、会館ホームページでお知らせ致します。

関連リンク

国連本部(NY)での開会式に臨む日本政府代表団

一般討論で日本政府のステートメントを発表する橋本ヒロ子代表

盛況だった日本のパラレルイベント

国際女性デー記念イベントで挨拶する潘基文

インドネシア女性エンパワーメント省に勤務する会館の国際研修(平成21年度)修了生と  CSWの本会議場で再会しました(左から2人目)

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