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【NPO法人日本女性技術者科学者ネットワーク 男女共同参画学協会連絡会】第9回日中韓女性科学技術指導者フォーラム

開催期間:2019年10月11日(金)

開催場所:お茶の水女子大学国際交流留学生プラザ /


日中韓3国間で女性科学者・技術者の増加、活躍できる環境の整備およびリーダーシップ育成等について議論する日中韓女性科学技術指導者フォーラムが、お茶の水女子大学国際交流留学生プラザで行われました。この会議は2008年に韓国ソウルで開催して以来、今回が9回目になります。
各国の理系の女性科学者団体が中心的役割を果たしており、日本ではNPO法人日本女性技術者科学者ネットワーク(JNWES)がそれを担っています。
今回は、Gender Equality for Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標がめざすジェンダー平等)をテーマに3つのセッションから各国の現状や取組等の発表がありました。

ポスターセッションの様子

各国からの参加者

第1セッション:ジェンダー平等評価システム

各国におけるジェンダー平等の現状や評価システムについて発表がありました。日本からは、お茶の水女子大学の「お茶大Index」の紹介がありました。
「お茶大Index」は研究教育機関における雇用環境の自己評価指標で、女性研究者が働きやすい雇用環境を整備する手法がまとめられた「COSMOS WORK BOOK」と併せて使用することで、女性の雇用環境の改善に取り組むことができます。
日本では女性研究者の雇用や環境整備は進んできているものの、上級職につく女性の数はまだ低く、特に役員は少ないのが現状です。「お茶大Index」は大学において実際にジェンダー平等を推進している好事例として取り上げられました。

第2セッション:次世代キャリア開発プログラム

日本の取組事例として育休後コンサルタントの山口理栄氏より、働き方改革と女性活躍推進を図るため、育休後に仕事に復帰したい女性に向けた復職セミナーの他、企業の経営者や管理職向けセミナーの実践報告がありました。

続いて中国からは、上海では共働きが当たり前という考えが一般的であり、若手女性技術者の80%は結婚し、70%は子供を持っていること、自身のキャリアアップも家庭生活も両立できる社会的な仕組みが整っているとの報告がありました。

韓国では韓国女性科学技術連合(KOFWST)が中心となり、理工系分野への女性の進出や社会のリーダーとなる女性科学者の育成を支援しているというもの。具体的な取組として、科学者が学校を訪問してブックトークを行い、女性科学者のロールモデルを示す、若者向けにリーダーシッププログラムといった研修を行うといった活動が紹介されました。

日本でも理工系女子中高生の進路支援の一環として、NPO法人女子中高生キャリアパスプロジェクトが率いる夏学実行委員会とNWECが協力し、「女子中高生夏の学校」を開催しています。全国からNWECに集まった女子中高生たちを対象とした2泊3日の合宿形式による体験型の本研修は、理系の研究者や技術者、大学生・大学院生との交流を通じて、理系選択の魅力を知り、進路選択やキャリア形成について考えを深めることを目的としており、毎年多くの参加者から好評をいただいています。

後ほど行われたポスターセッションでは国内外のこうした取組が紹介され、今年の夏学で学生実行委員を務めた大学院生が夏学について各国の方々と熱心に話す姿も見られました。

第2セッションでのディスカッション

韓国における次世代キャリア開発プログラムの紹介

ポスターセッションでの夏学紹介

第3セッション:持続社会のための化学の役割

SDGsの達成に向け、化学がどのように貢献できるのかについて、各国の女性研究者たちがそれぞれの専門分野の研究を踏まえて発表しました。
日本化学会の取組や韓国の法化学の研究、中国のグリーンケミストリーなど、どの発表も興味深いものでした。

閉会の挨拶では、後援団体でもあるNWECの内海房子理事長が、「理工系分野では男性の分野とされるアンコンシャスバイアスがまだ残されているが、今日のフォーラムでは理工系分野で多くの女性たちが活動していることを改めて実感した。理工系分野でも女性は活躍できる。このフォーラムはそんな人たちに力を与えているものだった。」と結び、盛会のうちに幕を閉じました。

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