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平成30年度 NWECグローバルセミナー 女性の活躍促進に向けた取組み アイスランドの経験から学ぶ
開催期間:平成30年12月7日(金)
開催場所:一般財団法人主婦会館 プラザエフ地下2階 クラルテ /
国立女性教育会館は、平成30年12月7日(金)に「女性の活躍促進に向けた取組み—アイスランドの経験から学ぶ」をテーマとした平成30年度NWECグローバルセミナーを、主婦会館プラザエフ(東京都千代田区)において開催し、内外からの100名を超える参加者があり、活発な議論が行われました。
第Ⅰ部基調講演は、アイスランド女性権利協会事務局長 ブリュンヒルデ・ヘイア・オグ・オマースドッティル氏による「ジェンダー平等な未来に向かって—アイスランドの取組みから」と題する詳細な活動報告です。
ブリュンヒルデ氏は、ジェンダー平等に関する法案や政策の監視を担うアイスランド女性権利協会(IWRA)の事務局長を務めておられます。IWRAは最も古い市民団体で、女性の参政権を求めて闘うために、1907年に設立され、ジェンダー間の格差を縮めるべく、長い道のりを歩んできました。今日では、政党で活躍する女性と連携するほか、ジェンダー平等について高等学校で使われる教材の編纂など、幅広い活動をしています。IWRAの歴史と活動の報告から始まり、アイスランドでジェンダー平等を達成しつつある多様な動きが詳細に報告されました。
平等な社会を構築することを可能なものにしたジェンダー行動計画・育児休暇取得・男女同一賃金基準などの具体的な政治運動について、「社会変革は法改正からもたらされるものではなく、政治活動からもたらされるもの」と明確に結論づけたうえ、女性が団結し行動で示し公職選挙に立候補することなくして、何も変わらない、権力の座に就く男性は容易にその権力を分かち合わないのだから、変化を求めること、平等を求めることは、私たち有権者にかかっている、と強調されています。
今後の問題点として、教育・女性の労働・男女賃金格差のさらなる是正などをとりあげ、平等は努力してつくるもの、草の根組織なくして進歩はないと強調されました。そしてこれからはフェミニスト教育によってジェンダー平等の未来を築いていく、という力強いメッセージを発信されています。アイスランドを今日のようなジェンダー平等の国に変えられたのは、強固な女性運動が大きな要因であること、また教育によってのみ世界を変えることができる、という結論は、会場に大きな感動を呼ぶものとなりました。
第Ⅰ部基調講演(ブリュンヒルデ・オマースドッティル氏)
第Ⅱ部のパネルディスカッションは、「アイスランド専門家との対話—ジェンダー先進国を目指して」をメインテーマにした熱気あふれる報告と議論です。アイスランドの現状と歴史は、日本社会にとっても多くの示唆に富むものであり、特に次の3つのテーマが取り組むべき問題として浮かび上がってきます。労働におけるジェンダー平等、意思決定部門における女性の参画、男性問題にとってのジェンダーの3つです。3人の専門家から具体的な状況と課題について、詳細な解説がなされました。
第Ⅱ部 パネルディスカッション
労働政策研究・研修機構経済社会と労働部門研究員 高見具広氏は「雇用労働における女性活躍のために—日本が取り組むべき課題」として、詳しいデータに基づき雇用労働におけるジェンダー平等の問題を取り上げました。最大の問題点は、女性管理職比率の低さです。女性活躍推進法の制定(2015)などジェンダー平等に向けて法令の整備が進むものの、まだ状況は道半ばであり、女性管理職比率は国際的にみて依然低く、企業における職務経験の男女差はかなり大きいものとなっています。特に、女性は管理職の業務につながる企業の基幹的職務を経験する割合が低いことがはっきりわかります。では、なぜ日本企業では、女性管理職が少ないのか。その理由としては、必要な知識や経験等を有する女性がいない、女性自身が希望しない、管理職に就くための在職年数を満たしていない、などがあげられます。こうした状況を変えるには、男性も含めて働き方の見直しが必要なこと、残業のない企業では女性活躍が進む可能性が大きいことが示され、課題の解決のための方向が明らかになりました。
高見具広氏
第2のテーマ「意思決定部門への女性の参画・政治参加をめぐる課題」について、市川房枝記念会女性と政治センター常務理事 久保公子氏から日本の女性の政治参加の現状の詳しいデータに基づく報告がありました。女性国会議員数比率が10%で、世界162位であること、女性議員が一人か二人という地方議会が多いことなどの現状が示され、女性の政治参画が何によって阻まれているのかが分析されます。女性の政治参画を促すものとして、次の結論が提示されました。①政治意識を高める(政治教育・主権者教育)、②経験(トレーニング)、③ロールモデル、④地域の女性センターを拠点に、⑤「推進法」をツールに、の5点です。最後に、若い女性にリーダーシップを任せ、高齢者と対等の役割を担わせて活性化し、組織をオープンにして参加することが強調されました。女性の政治参画に長年にわたって取り組み、強力に進展させてきた立場からの提言、とりわけ若い女性への視点は多くの示唆に富む指摘でした。
久保公子氏
京都大学名誉教授 伊藤公雄氏による「日本における男性・男子にとってのジェンダー平等」は、1970年にはOECD諸国でも第2位の女性の労働力率を誇っていたのに、2000年には多くの国に追い越されたまま停滞してしまった日本社会の現状を指摘し、この時期に確立したジェンダー構造はどうなっていたのか、という観点の分析から始まります。男性の長時間労働の拡大、男性中心の労働慣行の定着、幸福感を得られない男性たちの状況とこれに対応する女性の家事・育児負担、労働条件の悪い非正規の女性労働の深化など、男性に「下駄」をはかせる一方で、女性の潜在的力を活用せずに進められてきた問題点が指摘されました。合わせて、女性のエンパワーメントに向けた政策の一層の充実の一方で、もうひとつのジェンダーである男性向けのジェンダー平等政策の必要性が強調されます。男性対象のジェンダー政策の課題としては、男性向けのジェンダー平等意識啓発・男性のかかえている問題の分析・男性の性暴力等の加害者向けの非暴力トレーニングなどがその対応策としてあげられます。一方、男性主導社会の矛盾に気がつき始めた男性たちは、①シングル・ファザー問題、②ファザーリング・ジャパンの運動、③ホワイトリボンキャンペーン・ジャパンの結成、でこの問題に対応していることなど、新しい大きな波がおきはじめ、現状を変えつつある最新の状況が報告されました。
伊藤公雄氏
後半のディスカッションでは、第Ⅱ部の報告者からアイスランドの状況についての質問「アイスランドでは賃金格差をどう是正したのか」に対して、粘り強い労使交渉や労働運動の成果であるという回答など、いっそう具体的な討議となりました。そのほか会場から多くの熱心な質問が続出し、活発な議論が交わされました。講演と議論を通して、ジェンダー平等や男女同一賃金をつくりあげてきたアイスランドの地道な取組みがよく理解でき、これからの日本に何が必要なのか、何をすべきなのかが見えてきた、意義深いセミナーになりました。
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