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CSW

第63回 国連女性の地位委員会参加報告

開催期間:2019年3月11日(月)~22日(金)

開催場所:国連本部(ニューヨーク)


「第63回国連女性の地位委員会(Commission on Status of Women、以下CSW)」が国連本部(ニューヨーク)で2019年3月11日(月)から3月22日(金)まで開催されました。今年のCSWでは「ジェンダー平等と女性と少女のエンパワーメントのための社会保護システム、公共サービスならびに持続可能なインフラへのアクセス」を優先テーマとして、各国代表や国連の関係機関、NGO代表らによるステートメントの実施、閣僚級ラウンドテーブル、対話型専門家パネルが実施されました。過去のCSWの議題の進捗状況をはかるレビューテーマは、「女性のエンパワーメントと持続的な開発の関連性」です。

CSW4日目の3月14日(木)に開催された「一般討論演説」で、田中由美子日本代表がSDGsの達成に向けて女性のエンパワーメントを推進し誰一人取り残さない社会の実現に貢献する旨、日本のステートメントを発表しました。田中代表は国内の取組みとして、女性がその大半を担っている無償労働の貨幣評価額の公表や、男性の家事労働や育児への参画を促進するためのキャンペーンについて言及した他、日本が支援したインドやパキスタンにおける安全で快適な公共交通機関の整備事例等を紹介しました。

CSWの会期中は国連ビルの内外で、優先テーマやレビューテーマに関連する多数のイベントが開かれます。日本政府はG20のエンゲージメント・グループ*であるW20と、国内NGO3団体との共催で実施したサイド・イベントを2本開催しました。いずれも大変盛況で、日本のジェンダー平等をめぐる課題と現状への関心の高さがうかがわれました。

[注]G20では、エンゲージメント・グループという国際社会におけるステークホルダーにより形成された政府とは独立した団体が関連行事を主催します。
経済団体(B20)、市民社会(C20)、労働組合(L20)、科学者(S20)、シンクタンク(T20)、都市(U20)、女性(W20)、ユース(Y20)などの各国団体の代表から構成され、G20で議論される各関心分野について、提言を発表するなどの貢献を行っています。

CSWでは、その年のテーマについて討議した結果を「合意結論」という形でまとめることが経済社会理事会により定められています。例年深夜、ときには明け方まで各国代表団による協議が行われ、内容や文言のひとつひとつまで細かいコンセンサスを得る作業を経て、最終日に決議されます。
合意結論協議は2週目から本格的に行われます。第2週初日の18日から第1週に引き続き協議が行われましたが、性と生殖に関する健康・権利、移民、家族などの分野で合意形成が難航しました。そのため、項目ごとに関心のある代表団が集まってのグループ討議と、全体での討議を交互に繰り返す形で協議は進行しました。20日の時点で合意に至ったパラグラフが少なかったため、21日には翌朝5時まで協議が続きました。会期最終日である22日は、11時から合意結論協議が再開され、19時過ぎに全てのパラグラフについて合意形成が終了しました。

合意形成が終了し拍手する代表団 合意形成が終了し拍手する代表団

同じ会場で引き続き行われた閉会式で合意結論が正式に採択され、CSW63は終了しました。プムズィレ・ムランボ=ヌクカUN Women事務局長は閉会式で、CSWの勧告は、女性を政策対話に参加させ、女性と少女の声とエンパワーメントの最大の障壁に働きかける構想を目標とする、政府の取り組みや投資に新たな道を開くだろう、と述べました。合意結論はA4で23ページ、51項目にわたりました。

閉会式 閉会式

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