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NWECグローバルセミナー

実施報告

令和6年度NWECグローバルセミナー ジェンダー平等とケア

開催期間:令和7年2月28日(金)~3月28日(金)


今年度のNWECグローバルセミナーは、海外調査・事例報告をオンデマンド配信、
パネルディスカッションをライブ配信と見逃し配信にて開催します。

令和6年度NWECグローバルセミナーチラシの表

令和6年度NWECグローバルセミナーチラシの裏

1. 趣旨

 多くの国において少子化や高齢化といった社会変化に伴い家族形態やライフコースが多様化する中、家事、育児、介護等ケアの担い手は依然として女性に偏っています。ケア分担の不均衡は女性の経済的自立の阻害要因ともなっており、その解消は喫緊の課題です。
 本セミナーでは、男性とケアをめぐる各国の現状や構造改革に向けた取組についての海外報告を踏まえて日本におけるケアに関する課題を共有し議論します。

2. 主題

ジェンダー平等とケア
Gender equality and care

3. 主催

独立行政法人国立女性教育会館

4. 実施期日

①海外研究報告・海外事例報告(オンデマンド) 
 令和7年2月28日(金)~3月17日(月)
②パネルディスカッション (ライブ配信) 
 令和7年3月6日(木)14:00~15:30
③見逃しダイジェスト(海外報告とパネルディスカッションのオンデマンド配信)
 令和7年3月17日(月)10:00~3月28日(金)17:00

5. 使用言語

英語(海外研究/事例報告、日本語字幕付き)、日本語(パネルディスカッション、日英同時通訳付き)

6. 対象及び定員

全国の男女共同参画センターの職員、自治体職員、女性団体職員、研究者、学生など300名程度
(オンデマンド視聴・ライブ配信視聴・見逃し配信視聴)

7. プログラム

◇海外調査報告、海外事例報告

「男性とケア役割 ”State of the World’s Fathers 2023”からの示唆」

 講師:ウェッセル・ヴァン・デン・バーグ エクイムンド上級アドボカシー担当 

「韓国におけるチャイルドケアサービス ~政策動向と課題~」

 講師:ウンジ・キム 韓国女性政策研究院(KWDI)上級研究員(専門)

「ジェンダー規範に対するナミビアの男性の取組」

 講師:ジェームス・イタナ リゲイン・トラスト代表

◇パネルディスカッション  第6次男女共同参画基本計画策定に向けて、ケアについて考える

 パネリスト:ケアと男性性~男性主導社会からの脱出に向けて~
       伊藤 公雄 京都大学名誉教授・大阪大学名誉教授(コーディネーター・報告者)

       ケアの協働とジェンダー平等
       山根 純佳 実践女子大学人間社会学部教授

       多様なケアとキャリア:人的資本経営時代に求められる企業の支援とは
       寺西 知也 株式会社 wiwiw 常務執行役員 コンサルティング部長

8. 申込方法(お申込みを締め切りました)

下記フォームよりお申込みください。
※ライブ配信・オンデマンド配信視聴ともに当日まで申込可能です。
※ライブ配信視聴のお申し込み多数の場合は選考します。先着順ではありません。
※Googleフォームでのお申込みが難しい場合は、rese3@ml.nwec.go.jpまでご連絡ください。

9. 参加費

無料(通信料は参加者負担)

10. その他

(1)セミナー終了後、オンラインページ上のアンケートに回答をお願いします。   
(2)主催者がセミナーを安全かつ円滑に開催することが困難と判断した場合には、やむを得ずプログラム内容の変更または開催を中止する場合があります。最新情報は、NWECウェブサイトでお知らせします。
(3)セミナー中に職員が撮影した写真を広報(ウェブサイト、SNS等)に使用することがあります。あらかじめ御了承ください。

問合せ先
独立行政法人国立女性教育会館 研究国際室 NWECグローバルセミナー担当
〒355-0292 埼玉県比企郡嵐山町菅谷728
Eメール:rese3@ml.nwec.go.jp
TEL:0493-62-6437 (平日9:00~16:00)
※お問合せはできるだけメールでお願いいたします。

「ジェンダー平等とケア」をテーマに令和6年度NWECグローバルセミナーライブ配信とオンデマンド配信の形式で開催し、国内外から400名弱の参加がありました。

開催期間
①海外研究報告・海外事例報告(オンデマンド) 令和7年2月28日(金)~3月17日(月)
②パネルディスカッション (ライブ配信) 令和7年3月6日(木)14:00~15:30
③見逃しダイジェスト(海外報告とパネルディスカッションのオンデマンド配信) 
 令和7年3月17日(月)10:00~3月28日(金)17:00

〇海外調査報告1「男性とケア役割 ”State of the World’s Fathers 2023”からの示唆」 ウェッセル・ヴァン・デン・バーグ(エクイムンド上級アドボカシー担当官)

 ヴァン・デン・バーグ氏の所属する“エクイムンド”は米国のワシントンDCに本部がある団体で、69カ国119の組織にメンバーがおり、女性の権利とジェンダー平等の実現に向けた「男性ケア・グローバルキャンペーン」のプログラムの提供・調査・アドボカシー活動を行っています。世界17カ国、約1万2,000人を対象とした調査”State of the World’s Fathers 2023”では、男性は育児を肯定的な経験とみなしており、ケアを担うことで男性のメンタルヘルスが向上することが分かりました。この結果から、育児にかかわる男性のウェルビーングが向上し、非暴力的な子育てを実践することで被虐待児の親子間に生じるトラウマや暴力の連鎖を断ち切れると考え、エクイムンドでは男性がより育児に関われるよう、男性の育児休暇と手当の取得のために政府機関と雇用主に働きかけているそうです。
 また、オリジナルプログラム「ジェンダー平等のための男性の関与」において、医療従事者向けのガイド、グループ教育カリキュラム、地域社会でキャンペーンを展開するための手引きなどを提供しています。このプログラムは労働者の大半が男性である業界において成果を出しており、これらの取り組みが奏功すれば、女性は経済分野で能力を発揮することができ、男性は子どもや家族と深く満足のいく関係を築くことができる、とお話しいただきました。

ウェッセル・ヴァン・デン・バーグ氏写真 ウェッセル・ヴァン・デン・バーグ氏

〇海外調査報告2「韓国における放課後ケアの拡大政策 ~その現状と課題~」 ウンジ・キム (韓国女性政策研究院(KWDI)上級研究員(専門)、韓国)

 キム氏には、韓国政府が進めるチャイルドケア政策の改革背景と詳細をご報告いただきました。
 韓国の出生率は2015年の1.24から2023年の0.72まで継続的に低下し、世界最低レベルです。KWDIの調査によると男女ともにパートナーや子どもより仕事やプライベートを優先しており、女性にはキャリア指向の傾向が強く出ています。
 しかし韓国では育児期の女性のキャリア中断がいまだに続いており、政策に求めるものは男性片働きモデルからの脱却です。若い母親はキャリア指向の人生観を持ち、育児の責任をひとりで負いたくはないと考えています。女性のキャリア中断を阻止して就業を促進するには、チャイルドケアサービスの量的拡大だけではなく、質の高さを保証するチャイルドケアサービスが不可欠であることをお話しいただきました。

ウンジ・キム氏写真 ウンジ・キム氏の報告

〇海外事例報告「ジェンダー規範に対するナミビアの男性の取組」 ジェームス・イタナ(リゲイン・トラスト代表、ナミビア)

 イタナ氏が代表を務めるリゲイン・トラストは、「性暴力やジェンダーに基づく暴力の根絶とジェンダー平等社会の推進」をミッションに掲げている団体です。ナミビアの社会背景と団体の取事事例についてご報告いただきました。
 ナミビアは、グローバル・ジェンダー・ギャップ指数で世界8位を記録しているものの、経済的理由で学校に通えない女性、性暴力やジェンダーに基づく暴力もあることから、少女や若い女性の間では望まない妊娠も珍しくなく、10代で妊娠したために学校を中退する女性が少なくありません。
 この様な背景から、リゲイン・トラストでは暴力のサバイバーに向けた経済的自立支援・取組を行い、また男性や少年に対する意識を変えるための働きかけを行っています。イタナ氏は活動を行う中で、男性を問題視した介入の仕方では反発を生むことに気付いたといいます。そこで、男性の育児参加にポジティブなイメージを共有することによって、社会にジェンダー・トランスフォーマティブな変化の動きを生み出しているそうです。

ジェームス・イタナ氏写真 ジェームス・イタナ氏

〇パネルディスカッション「第6次男女共同参画基本計画策定に向けて、ケアについて考える」

登壇者 伊藤 公雄 京都大学名誉教授・大阪大学名誉教授(コーディネーター/報告者)
    山根 純佳 実践女子大学人間社会学部教授
    寺西 知也 株式会社 wiwiw 常務執行役員

 「第6次男女共同参画基本計画策定に向けて、ケアについて考える」をテーマに、日本のケア課題を議論するパネルディスカッションを3月6日(木)にライブ配信をしました。この動画は、開催後にオンデマンドでの視聴も可能としました。
 山根純佳氏は「ケアの協働とジェンダー平等」と題して、仕事も育児も完璧さを求める新自由主義的個人からの解放を求め、男女がケア責任を分有するために男性ケアワーカーの増員と保育所・学童等の公的サポートの更なる強化を求めました。
 寺西知也氏は「多様なケアとキャリア」と題して、従業員一人ひとりがケア役割や自身のケアと仕事を両立できるような、人的資本経営が企業価値を高めることの重要性を解説いただきました。
 伊藤公雄氏は「ケアと男性性」と題して、男性自身がケアの実践不足を補って、女性によるケアに依存している自覚をもつべきであると、歴史的背景を踏まえた報告をされました。
 パネルディスカッションの後半は、参加者から次々と寄せられる質問にパネリストが答えることで、リアルタイムで双方向のコミュニケーションが取れ、臨場感や一体感を感じられるイベントとなりました。

パネルディスカッション写真 パネルディスカッション

 

 

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