研修・イベント

研修

実施報告

平成28年度「女子大学生キャリア形成セミナー」

開催期間:平成29年2月18日(土)~19日(日)

開催場所:1日目 霞が関ナレッジスクエア/2日目 国立女性教育会館 /


事業内容

自らのキャリアを模索する女子大学生を対象に、自主自立、ライフ・プランニング、社会を変える・支える志の3つを学ぶ機会を提供することで、将来、社会や組織を支える女性リーダーを育成し男女共同参画の推進を図ります。

1.趣  旨

 日本における女性を取り巻く状況は、以前よりはるかに改善されていますが、男女平等は未だに実現されていません。働く女性及び担当者レベルでの女性リーダーは増えてきましたが、組織における意思決定に関わる女性の割合は極めて低いままです。しかし、我が国が男女共同参画社会を実現するためには、女性が職業活動に参加するだけでなく、様々な組織において管理的地位に就き、その意思決定に関わるなど、組織活動へ参画することが必要です。
 そこで国立女性教育会館では、自らのキャリアを模索する女子大学生を対象に、
 ①仕事をもち、自らの人生の選択権をもつことが豊かな人生設計に重要であること
  (自主自立)
 ②女性の人生設計に関わる様々な出来事をあらかじめ知っておくこと
  (ライフ・プランニング)
 ③キャリアの構築が単に個人の自己実現にとどまらず、よりよい社会づくりにつながるという視点を持つ
  こと(社会を変える・支える志)
の3つを学ぶ機会を提供することで、将来、社会や組織を支える女性リーダーを育成し、我が国の男女共同参画の推進を図ります。

2.主  題

「キャリアを考えることは、人生を考えること」

3.主  催

独立行政法人国立女性教育会館

4.共  催

リーダーシップ111
★リーダーシップ111(ワンワンワン)は、各分野を代表する女性たちが、よりよい 社会の実現を
 目指して、助け合い、学び合い、情報交換をするネットワークとして、1994年に設立されました。
 グローバル社会に向けて提言を発信し、自らも実践することをモットーとしている団体です。

5.会  場

2月18日(土) 霞が関ナレッジスクエア
       〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-2-1霞が関コモンゲート
                 電 話 03-3288-1921

2月19日(日)国立女性教育会館
       〒355-0292 埼玉県比企郡嵐山町菅谷728
       電 話 0493-62-6724・6725
       FAX 0493-62-6720

6.期  日

平成29年2月18日(土)~2月19日(日) 1泊2日

7.対象

女子大学生

8.日  程

(各プログラムの間に10分程度の休憩があります)

9.内  容

第1日 2月18日(土)

(1)受付                            12:15~13:00

(2)開会                            13:00~13:05
   主催者挨拶:内海 房子  国立女性教育会館理事長
   
(3)対談「キャリアを考えることは人生を考えること」       13:05~14:30
  世界を舞台に活躍する石倉氏と女性が活躍できる新しい働き方を提案する木下氏との対談を通じて、
 これから社会に出ていく女子学生に、未来に向かって一歩を踏み出す勇気を伝えます。
    講 師:石倉 洋子   一橋大学名誉教授
    講 師:木下 紫乃   昭和女子大学ダイバーシティ推進機構事務局次長
                株式会社ヒキダシ代表取締役

(4)パネルディスカッション「先輩の声を聞く」          14:40~16:40
  人生経験を重ねたパネリストの話から、働く女性の現状や課題、女性の人生設計に関わるさまざまな
 出来事や、働くことの面白さ、課題を乗り越えるための視点を学びます。
   パネリスト:小林 洋子  NTTコミュニケーションズ株式会社常勤監査役
   パネリスト:平野こずえ  東燃ゼネラル石油株式会社
                人事総務統括部総務部アドバイザー    
   パネリスト:細川  芽  国立女性教育会館情報課長
 
 ☆国立女性教育会館へバスで移動
   18:20ごろ到着予定

(5)チェックイン・夕食・休憩                  18:20~19:30

(6)交流会                           19:30~21:00
  パネリスト、OG企画委員も交え、小グループで意見交換を行います。いろいろな立場の方のお話を
 聞くことで自分の考えるキャリアについて掘り下げ、整理し、また参加者同士の交流から自身のネット
 ワークを広げる機会とします。

第2日 2月19日(日)

(7)講義「働く女性を取り巻く環境~国際データ比較と女子大学生追跡ヒアリング調査を通して~」                                 9:00~10:00
  統計データを用いた国際比較と、一昨年度に大学を卒業した女性の入社後の意識調査を通じて、
 女性の活躍と男女共同参画の推進についてわかりやすく解説します。
   講師:島 直子   国立女性教育会館研究国際室研究員

(8)グループワーク①                       10:10~12:00
  ここまで学んだ内容を踏まえながら自分の考えや思いを整理し、参加者間で共有します。自己理解、
 他者理解を深めながら、働き方、生き方についての考察を進めつつ、参加者同士のネットワークづくり
 を進めます。
   講師:佐伯加寿美  国立女性教育会館事業課専門職員
              
(9)昼食・休憩                          12:00~13:00

(10)グループワーク②                       13:00~15:00
  グループワーク①を踏まえ、キャリアシートの作成を行います。自分を客観視することで自分軸を
 はっきりさせ、これからのキャリアデザインを見える化していきます。パネリスト等によるフィード
 バックを交えつつ、翌日から具体的に行動できる方策を検討します。
   講師:佐伯加寿美  国立女性教育会館事業課専門職員
              
(11)閉会                             15:00~15:20
  アンケート記入を行い、2日間の研修を振り返ります。最後に修了証を授与します。

(12)懇親会(希望者のみ参加)                   15:30~16:30
  軽食をとりながら2日間の研修を振り返るとともに、参加者同士の交流をさらに深めます。

10.申込方法・期限等

(1)方法
  インターネット:国立女性教育会館ホームページ(https://www.nwec.jp/)より申込フォームを
 ダウンロードし、必要事項を記入入力の上、progdiv@nwec.jp宛てにEメールに添付してください。
 (FAX、電話、郵送での受付はしておりません)

(2)申込期限
  平成29年2月13日(月)(必着)※先着順に受け付けます。
 
(3)参加決定のお知らせ
  ご本人宛に文書またはメール送信にてお知らせします。2月13日(月)までに連絡が来ない場合は、
 お手数ですが事業課(電話:0493-62-6724・6725)までお問い合わせください。

11.所要経費

(1)参加費  無料

(2)宿泊費  研修期間中は1泊1,200円

(3)食 費  朝食バイキング870円、昼食550円~、夕食バイキング1,080円
 ※研修終了後の懇親会(希望者のみ)に参加の場合、会費として別途1,000円を集金します。

12.そ の 他

(1)期間中、職員が撮影した写真を事業記録や広報のために使用することがあります。あらかじめ
  ご了承ください。

(2)修了生(希望者のみ)には、国立女性教育会館から定期的にメールマガジンを送付します。

平成28年度女子大学生キャリア形成セミナー実施報告

2月18日(土)~19日(日)に「キャリアを考えることは人生を考えること」をテーマに、リーダーシップ111との共催で実施しました。4回目となる今年は35名の学生たちが参加し、キャリアプランの構築についてNWECならではのプログラムを展開しました。

  • 【4つの特色】

    セミナーには以下の4つの特色があります。
    1.リーダーシップ111との共催
    2.三つの視点
    3.インプットからアウトプットへのプログラムデザイン
    4.学びの循環

  • 1.リーダーシップ111との共催

    「リーダーシップ111」とは各分野を代表する女性たちが、よりよい社会の実現を目指し、1994年に設立した団体です。ここから送り込まるロールモデルが、パネリストとして登壇するだけでなく、その後の交流会やグループワークにも主体的に加わることで、臨場感あふれる生の声を社会との接点を模索する学生に届けています。

  • 2.三つの視点

    このセミナーの趣旨は、①仕事を持ち自らの人生の選択権をもつことが豊かな人生設計に重要であること(自主自立)、②女性の人生設計にかかわる様々な出来事をあらかじめ知っておくこと(ライフ・プランニング)、③キャリアの構築が単に個人の自己実現にとどまらず,よりよい社会づくりにつながること(社会を変える・支える志)の3つの視点を学び次世代リーダーの育成につなげることです。

  • 3.インプットからアウトプットへのプログラムデザイン

    1日目の対談、パネルディスカッション、交流会、2日目の講義までは参加者への知識、情報、体験談等の「インプット」です。それを2日目の合計4時間のグループワークで、得られた気づきを整理し、自分の内面と向き合い、キャリアシートを使ってこれからのキャリアを見える化するという「アウトプット」へと変換するプログラム構成となっています。

  • 4.学びの循環

    本セミナーを受講した1期生、2期生、3期生のOGが企画委員として、チラシ作成や事業内容の企画に参加しています。初日の夜の交流会、2日目のグループワークと運営にも加わり、参加者をサポートし、「学びの循環」を築いています。 OG企画委員からは「参加者が最初は不安そうな顔だったのが、明るい笑顔に変わっていく、その瞬間に立ち会えて幸せな気持ちになった」「参加者と触れ合うことでより具体的に、真剣に自分と向き合い、改めて頑張ろうと思った」などの感想があり、先輩として参加することで彼女たち自身の学びにもなっています。

2日間で行われたプログラムは以下のとおりです。

2/18【対談】「キャリアを考えることは人生を考えること」13:05~14:30
石倉洋子氏(一橋大学名誉教授)×木下紫乃氏(昭和女子大学ダイバーシティ推進機構事務局次長、株式会社ヒキダシ代表取締役)
~自分で考え、自分で選ぶ、そして自分で幸せの定義をする~

「私はフリーターです。21世紀はフリーの時代、まずは自分でやってみましょう。」と冒頭から参加者をくぎ付けにした石倉洋子さん(写真右)。慶応メディアデザイン研究科の教え子である木下紫乃さんとのトークは、途中でグループワークをはさみ、会場の参加者をまきこんでの対談となりました。

海の向こうには何があるのか自分の目で見てみたいと子どものころから思っていた石倉さんは、大学時代に留学、卒業後はフリーターになり、その後アメリカのビジネススクールで、博士となりました。現在は様々な企業、政府の審議会、大学の教授を歴任され、世界経済フォーラムに出席するなど世界的に活躍している石倉さんが学生に送るメッセージは、「英語をマスターする」「本を読む」「どこでもなんでも行ってみて、やってみよう」です。 また、今後どんどん変化していく世界の中で生きていくためには、「幸せを自分なりに定義する」ことで自分のものさしを持つ大切さも話しました。

大学卒業後企業に入り、50代を前にこのままの人生でいいのだろうかと疑問に感じ、石倉さんのセミナーに参加した木下紫乃さん(写真左)は40代半ばで大学院に入学、現在は大学で勤務する傍ら、株式会社も立ち上げ40代・50代を元気にしたいと語ります。ずっと働き続けるだけでなく、立ち止まって考えることのできる時間があるといいなと語る、木下さんからは学生に、「今の段階でできることをどんどんやる。会いたい人に会う、一本糸がつながりそうだったらすぐに手繰り寄せる」というメッセージがありました。

会場からは「今、大学の残りが1年、まだ間に合いますか」「キャリアを積むうえでの軸は何ですか」など活発な対話の時間となりました。

2/18【パネルディスカッション】「先輩の声を聞く」14:40~16:40

リーダーシップ111から小林洋子氏(写真左端)、平野こずえ氏(写真中央)、NWECから細川芽氏(写真右端)が登壇し、①仕事をしていてよかったこと、仕事を持ち続ける意味、②困難に直面した時にどう考えて乗り越えてきたか、③20代で考えたり行動したりしておいたほうがいいこと、などについてご自身の体験談を交えながらディスカッションを行いました(プライベートな内容もあるので割愛します)。そして3人の方は最後に以下のようなエールを参加者に送りました。

細川さん:みなさん若くて可能性がたくさんあります。1回2回の失敗など気にせずチャレンジしてください。
平野さん:1人で参加した学生が多いと聞いています。それだけで一歩踏み出していて素晴らしい。可能性は無限、アンテナを広げトライしてください。
小林さん:会社がチャンスをくれた時、「私には無理」と思わず、「はい、喜んで」と受けてください。女性は自信があっても遠慮する傾向がある。女性の道をつないでいってください。

細川 芽さん

平野 こずえさん

小林 洋子さん

2/18【交流会】19:30~21:00

パネリスト3人にOG企画委員(過去のセミナー参加者)4人を交え、小グループでディスカッションを行いました。パネリストにはパネルディスカッションを踏まえ、もっと深掘りしたいことや詳しく聞きたいこと、OG企画委員には等身大の自分に照らした悩みや不安などについて意見交換をしました。パネリストのみなさんに対しては、「男性社会の中で働くことの不安」、「自分がどの道に進もうか迷っている」、「現在の学部と就職先の進路との関連について」など、OG企画委員には「このセミナーに参加した動機」、「就活や将来に漠然として不安がある」、「就職活動をどのように進めたか」、「会社に入って男女の格差を感じたことは」などの多くの質問が出されました。30分の意見交換を3ラウンド組替えして行うことで、同時に参加者同士の交流も深まり、ネットワークづくりも進みました。

2/19【講義】「働く女性を取り巻く環境~国際データ比較と女子大学生追跡ヒアリング調査を通して~」9:00~10:00

M字カーブや女性の管理職比率など統計データを用い、国際比較から参加者は女性の置かれている状況を学びました。また、一昨年度に大学を卒業した女性の入社後の意識を卒業前、入社1年目、2年目の時点での追跡ヒアリング調査が言及され、「仕事と家事・育児は即直面する問題であると認識したこと」「社内に結婚・出産しても働いているロールモデルがいる会社では、自分も制度を利用して辞めなくても働き続けられると思える」「職場への適応過程で管理職志向が高まってくる」など、会社の制度や風土も大切であると伝えました。

2/19【グループワーク①・②】10:10~15:00

ここまでに得たあふれんばかりの知識や情報をまず整理し、気づきや発見を共有しアウトプットする作業から始めました。続いて、自分が社会に出て仕事を通じて何を大切にしていきたいのかをグループで話し合い、内的キャリア(=生きること働くことの価値観)を構築するための自己理解を深めました。そしてこれから関わっていく「社会」とはどんな社会か、どんな「社会」になったらいいか、についてグループ討議を行いました。学生たちからは「多様な価値観や個性が認められる社会」「自分らしさを発揮できる社会」「みんなにやさしい社会」「属性や性別、国や考え方の違いによって差別されない社会」などがあげられ、男女共同参画の視点から社会と主体的、積極的に関わっていこうとする姿勢も見られました。グループワークでは「ワールドカフェ」形式を取り入れるなど、参加者が情報交換や共有する時間を設け、パネリストやOGが見守り隊として加わり、参加者の学びを支援しました。

グループワーク②では、キャリアシート(マンダラチャートと呼ばれる9マスのシートを利用したシート)を使い、明日への一歩を踏み出すアクションンプランの作成を行い、自分の考えや思いを整理し見える化を図りました。

【セミナーの成果と課題】

参加者は友達と誘い合っての応募より、一人で申し込んだ学生がほとんであったことからもうかがえるように、キャリアに対する意識が高く自立している学生が多く参加していました。反面、自分の将来に対して不安をいだいている参加者も多くいましたが、2日目が終わった時にはポジティブな言動や行動、笑顔と自信が現れ、変容が見られました。「将来についてのモヤモヤをいろいろな人の考えを聞いて、相談でき、貴重な経験になった」「同じ境遇、違う境遇、いろいろな地域の大学から来る人がいて、自分を見つめることも新しい考えを知ることもできた」「いろいろ疑問に思っていたことが、曇り空がパッと晴れたようなそんな気がします」「社会人や学生とのネットワークなど新たなつながりもでき、これを大切にしてこれからも続けていきたい」このように漠然と描いていた自分の未来図と実際のギャップのはざまで抱く不安や心配を持つ学生が今回参加したことで、大きく変容したのはこのセミナーの大きな効果です。自己肯定感を上げ、自己理解・他者理解を促進し、内的キャリの構築につながり、参加者同士のネットワークの形成、コミュニケーション力の向上なども成果としてあげられます。

今年度4回目を迎えたこのセミナーは、過去3回定員30名を充足していませんでしたが、今年度は定員30名のところ43名の応募がありました。これは広報先の検討を進めた成果や、大学の先生、過去の参加者の口コミなどが広がっていること、初日に対談を組み込み、東京開催としたことなどもその要因と考えられます。引き続き来年度以降も広報の仕方やプログラムの内容を見直しながら周知し、参加者獲得に努めていきます。

また、今年度は、昨年度オブザーバー参加された先生が青森県立保健大学でこのプログラムの一部を使用したセミナーを開催し、NWECではプログラム相談や、職員をコーディネーターとして派遣しました。今年度も2大学から職員の方のオブザーバー参加がありました。NWECでは将来的にこのプログラムを全国の大学で展開していくことを目指していきます。プログラム相談や講師派遣を行っていますので、ご検討いただきお気軽にNWECまでご連絡ください。

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