研修・イベント

研修

実施報告

平成26年度「大学等における男女共同参画推進セミナー」

開催期間:平成26年12月4日(木)~5日(金)  1泊2日 / 定員:80名


事業内容

男女共同参画社会の実現には、高等教育機関としての大学・短大・高専においても、その一翼を担うべきことが求められており、男女共同参画の推進に向けて、男女共同参画に関わる教職員を対象とした研修を実施する。

1.趣  旨

 男女共同参画社会の実現は、国、地方公共団体、国民すべてに課せられた責務であり、高等教育機関としての大学・短期大学・高等専門学校においても、その一翼を担うべきことが求められています。
 しかし、学内全体への男女共同参画意識の浸透や男女共同参画の推進体制はいまだ十分とは言えません。また、大学の経営戦略の一つに「男女共同参画」を位置づけ、取り組んでいくことが求められています。
 このような状況を踏まえ、本セミナーでは、大学・短期大学・高等専門学校における男女共同参画の推進に向けて、それに関わる教職員を対象として、専門的、実践的な研修を行います。

2.主  催

独立行政法人国立女性教育会館

3.後  援

一般社団法人国立大学協会、一般社団法人公立大学協会、日本私立大学団体連合会
日本私立短期大学協会、独立行政法人国立高等専門学校機構

4.会  場

国立女性教育会館
 〒355-0292 埼玉県比企郡嵐山町菅谷728番地

5.期  日

平成26年12月4日(木)~12月5日(金) 1泊2日

6.参 加 者

大学・短期大学・高等専門学校における男女共同参画の推進に携わる教職員

7.定  員

80名

8.日  程

(各プログラムの間に10~15分程度の休憩が入ります)

 ・当事業は、「第3次男女共同参画基本計画」における「第11分野 男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」「第12分野 科学技術・学術分野における男女共同参画」に位置付けられている事業です。

9.内  容

第1日 12月4日(木)

(1)開会                                13:15~13:25
   ①主催者あいさつ
   ②プログラムの趣旨説明

(2)基調講演「大学の使命と男女共同参画」                13:30~15:00
 研究と教育という大学の使命を踏まえ、学内全体への男女共同参画意識の浸透や推進体制を構築することの必要性など、大学において男女共同参画の推進に取り組むことの意義を理解します。    
  講師:江原由美子 首都大学東京教授・副学長  

(3)講義「大学経営戦略としての男女共同参画の推進」           15:15~16:30
 大学間競争が高まる中で、教職員の意欲・能力こそ競争力の源泉です。ダイバーシティ、特に、女性の活躍促進、ワーク・ライフ・バランスの視点から大学の経営戦略を考えることの意義を理解します。
  講師:吉武博通 筑波大学教授・大学研究センター長

(4)情報提供「国立女性教育会館の情報機能の活用」(*希望者のみ)    16:45~17:15
 大学等において、男女共同参画を推進する上で役に立つ国立女性教育会館「女性教育情報センター」が収集・提供する関連資料、女性情報ポータルWinetの活用などについて情報提供します。
  説明:国立女性教育会館情報課

(5)情報交換会(*希望者のみ)                     18:30~20:00
 参加者それぞれが抱える課題の解決に向けた方策について情報を交換するとともに、参加者同士のネットワークづくりを行います。夕食を兼ねた立食形式で行います。(参加費3,000円、於:本館食堂)

第2日 12月5日(金)

(6)情報提供「大学における男女共同参画の現状」              9:00~ 9:50
 国立女性教育会館が昨年度から実施している「大学等における男女共同参画に関する調査研究」の一環で作成中の「ガイドブック」ついて説明します。また、文部科学省の「女性研究者研究活動支援事業」についても紹介します。
  説明:国立女性教育会館研究国際室

(7)分科会                   10:00~11:30、12:30~14:00
 大学における男女共同参画推進の主要な課題について、事例報告をもとにディスカッションを行い、実践力を養います。
  
 <分科会1> 「男女共同参画推進のための基盤づくり」
 大学をはじめとする高等教育機関において、男女共同参画の推進を長期的視野に立って継続していくためには、推進の拠点となる基盤が必要です。分科会1では、国立大学と地方公立大学の取り組み事例をもとに、大学等における男女共同参画推進のための基盤づくりやその継続および連携の仕方などについて考えます。
    事例① 「東京農工大学における女性未来育成機構の取り組み」
             報告者:星野明香 東京農工大学女性未来育成機構コーディネータ
   
    事例② 「静岡県立大学における男女共同参画推進の取り組み」
             報告者:犬塚協太 静岡県立大学教授・男女共同参画推進センター長
    
 <分科会2> 「男女ともに育児・介護との両立をめざした環境づくり」
 学内全体で、ワーク・ライフ・バランスの取れた労働環境づくりに取り組むためには、女性だけでなく男性も、育児だけでなく介護も、と支援の対象を拡げていく必要があります。分科会2では、国立大学と私立大学の取り組み事例をもとに、ダイバーシティ促進の上でも不可欠な研究や仕事と育児・介護といったライフイベントとの両立をめざした環境づくりについて考えます。

   事例① 「高知大学男女共同参画推進室の両立支援の取り組み」
             報告者:廣瀬淳一 高知大学特任講師・男女共同参画推進室長
           
   事例② 「東邦大学男女共同参画推進センターの両立支援の取り組み」
             報告者:中野弘一 東邦大学教授・学長補佐

 <分科会3> 「戦略としての女子学生向けキャリア形成支援」

  女性の活躍への期待が高まる中で、女子学生向けのキャリア形成を支援する取り組みは、少子化社会において、高等教育機関の生き残りをかけた戦略のひとつとして、女子大学のみならず、共学の場合も重要性を帯びています。分科会3では、私立女子大学と国立高等専門学校の取り組み事例をもとに、女子学生向けのキャリア形成支援の在り方について考えます。

   事例① 「昭和女子大学の全学共通キャリア教育・キャリア支援の取り組み」
             報告者:森ます美 昭和女子大学教授・キャリア支援部長
          
   事例② 「高専女子ブランド発信事業を通じた高専女子学生の育成」
             報告者:藤田直幸 奈良工業高等専門学校電気工学科教授・
                         国立高等専門学校機構男女共同参画推進室併任教授

(8)全体会                               14:15~14:45
 各分科会の報告により、参加者の情報共有を行います。   
  コーディネーター:国立女性教育会館研究国際室

(9)アンケート記入・閉会                        14:50~15:00

10.申込方法・期限等

(1)申込方法
 「参加申込書、実情・工夫について」(別紙1、2)参加申込書、実情・工夫について(別紙1、2)【excel】に必要事項を入力または記入の上、郵送・FAX・Eメールのいずれかの方法で国立女性教育会館事業課までお申し込みください。

     郵送:〒355-0292 埼玉県比企郡嵐山町菅谷728 
              独立行政法人国立女性教育会館事業課宛
     Fax: 0493-62-6720   
     Eメール: progdiv@nwec.jp

(2)申込期限
   平成26年11月28日(金)(先着順)
 ※期間内でも定員に達した場合は申込の受付を締め切らせていただきますので、ご了承ください。

(3)参加決定のお知らせ
 ご本人宛に文書にてお知らせします。12月1日(月)までに連絡がない場合は、お手数ですが事業課(電話:0493-62-6724)までお問い合わせください。

11.所要経費

(1)参加費     無料
(2)宿泊費     研修期間中は1泊2,670円(前・後泊も同額)
(3)食費      1食あたり 700円~1,000円程度
            ★カフェテリア方式の食堂(本館1階)をご利用ください。
(4)情報交換会費  3,000円(12/4 18:30~20:00、立食形式、本館食堂)

12.保  育(事前申込制、先着順)

 研修期間中、おおむね2歳以上から学齢未満の幼児保育を実施します。ご希望の場合は「参加申込書」(別紙1)の『保育の希望』にご記入の上、お申し込みください。

13.情報交換コーナー(研修棟2階 大会議室前カウンター)

ご所属大学などのパンフレットやちらしなどを自由に交換するコーナーを設置しますのでご利用ください。

14.そ の 他

期間中、職員が撮影した写真を事業記録や広報のために使用することがあります。あらかじめご了承ください。

12月4日(木)~5日(金)の1泊2日で、大学、短期大学、高等専門学校等で男女共同参画の推進に携わる教職員を対象に、「大学等における男女共同参画推進セミナー」を開催し、全国から83名の申込をいただいた。

今回のテーマは「経営戦略としての男女共同参画」。1日目の基調講演「大学の使命と男女共同参画」では江原由美子氏(首都大学東京教授・副学長)が登壇し、日本の経済成長力が鈍化し、人口減少・少子高齢化する状況において、日本の大学教育における男女共同参画度の低さが、人材育成や知の創造など「大学の使命の達成」を阻害する大きな問題点となっていることについて論じた。

続く、講義「大学経営戦略としての男女共同参画の推進」では吉武博通氏(筑波大学教授・大学研究センター長)が登壇し、ガバナンス改革を教育研究と経営改革につなげるためには、母集団を広げて男女を問わず広く人材を発掘・育成することが求められている点を中心に論じ、参加者に対し、大学間競争が今後ますます加速し、教員組織と職員組織の連携・協働が大学運営において求められる中で、理事長・理事、学長・学部長などトップマネジメント人材やこれらを支えるスタッフ人材の発掘・育成には、男女共同参画の視点から広く人材を登用していくことが不可欠であることを伝えた。

2日目には、3つのテーマに分かれて分科会を行った。各分科会ともに、前半2本の事例報告を行い、後半は事例報告をふまえてグループ討議を行い、参加者自身が自校において今後の取組の参考となるヒントを得ることを目指した。

分科会1のテーマは「男女共同参画推進のための基盤づくり」。はじめに、東京農工大学の星野明香氏(東京農工大学女性未来育成機構コーディネータ)より、常勤の教授・准教授・講師・助教に女性を採用した場合、当該専攻等に、プラス1名分の特任助教の人件費を支給する農工大式ポジティブアクション「1プラス1」の取組や、女性未来育成機構が中心となって行ってきた女性研究者の研究支援環境整備及び優れた女性研究者の養成、採用促進の取組などが報告された。

続いて、静岡県立大学の犬塚協太氏(静岡県立大学教授・男女共同参画推進センター長)からは、地域や設置者の多様性から来る男女共同参画への問題意識・取組意欲への大学間の温度差や、単科の小規模大学が多いことなどによる独自の取組への財政的・人的制約条件の大きさなど特有の事情・背景を抱える地方公立大学が、積極的に男女共同参画推進の活動を進めていくためには、規定された学内資源以外の様々な資源をフルに活用すること、特に、学外の地域社会における様々なアクターとの連携・協力体制の構築とともに、学内では学生など人的資源の積極的な活用を図ることで、徐々に大学当局や教職員の意識・体制の変革につながる可能性があるという工夫についてお話いただいた。

分科会2のテーマは「男女ともに育児・介護との両立をめざした環境づくり」。学内全体で、ワーク・ライフ・バランスの取れた労働環境づくりに取り組むためには、女性だけでなく男性も、育児だけでなく介護も、と支援の対象を拡げていく必要があることを考える場とした。

はじめに、高知大学男女共同参画推進室の廣瀬淳一氏(高知大学特任講師・男女共同参画推進室長)より高知大学の取組についてご報告いただいた。男女共同参画推進室に「しあわせぶんたん」という愛称をつけたり、多彩な料理をひとつの大皿で受け入れる高知の「皿鉢」をモチーフにダイバーシティを紹介するリーフレットを作成したり、また、ニューズレター「しあわせぶんたん」には、廣瀬氏自身の「育児参加休暇」の体験談等を盛り込むなど、教職員が当事者として、男女共同参画を身近に感じてもらえるような工夫をこらしている。一方、ライフイベント期間中の女性研究者の研究活動支援として、実験棟で使用する重い機械等の運搬が必要な際に、短時間の臨時支援を行う「力仕事サポーター制度」などの取組紹介や地域社会や四国の大学間連携などについてお話いただいた。

続いて、東邦大学の中野弘一氏(東邦大学教授・学長補佐)からは、男女共同参画推進センターの両立支援の取り組みについてご報告いただいた。私立大学においては、経営に資する取組とすることが、取組を継続していく上で必須であることをふまえ、職員受益性の拡大の視点や私立大学経常費補助金算定において男女共同参画活動が要素として加算評価される制度や男女共同参画の取組の補助金への反映を理事サイドにフィードバックすることの重要性などについてお話いただいた。

分科会3のテーマは、「戦略としての女子学生向けキャリア形成支援」。少子化社会における高等教育機関の生き残りをかけた戦略のひとつとして注目される女子学生向けのキャリア形成支援の取り組みについて考える場とした。はじめに、昭和女子大学の森ます美氏(昭和女子大学教授・キャリア支援部長)より、キャリア教育とキャリア支援(就職活動支援)を連携させることによって、卒業後の就職に留まることなく、長い人生をどのように生きていくか、その中心に職業・就業をおいた人生をどのように設計するか、将来にわたるライフコースを視野に入れたキャリア形成をサポートする全学共通キャリア支援の取り組みについて報告いただいた。具体的には、1・2年次向けの「キャリア・コア」科目の必修化、キャリア支援部(教員組織)とキャリア支援センター(職員組織)の連携による「キャリア支援プログラム」(就職活動支援)ときめ細かいサポート体制、そして公募した社会人女性の協力を得た「社会人メンター制度」などを中心にお話いただいた。

続いて、国立高専機構の全国高専女子学生の連携による高専女子ブランドの発信事業を通じた高専女子学生の育成について、藤田直幸氏(奈良工業高等専門学校教授・国立高等専門学校機構男女共同参画推進室併任教授)にお話いただいた。高専においても、女子学生の増加に伴って、女子学生に特化したキャリア教育の必要性に対する認識は高まっており、この高専女子ブランドの発信事業は、「高専女子百科」の作成と「高専女子フォーラム」の開催を軸にした取り組みを全国規模の高専の女子学生と教員の連携によって実施したところに特徴がある。

「高専女子百科」は高専女子の能力とポテンシャルの高さを企業関係者に知ってもらうことを目的に、全国の高専の女子学生と教員が連携して編集作業にあたっており、この活動を通して、女子学生たちの全国規模での専門分野ネットワークや各高専内では学科や学年を越えて作業をすることで得られる学内ネットワークが生まれている。さらに、「高専女子フォーラム」では、企業の採用担当者などの前で、女子学生が自分たちの言葉で高専女子について情報発信する役割を担うことにより、女子学生自身が自らの価値を理解し、キャリア形成への意識啓発となったこと、さらに、教員にとっては女子学生をサポートするためのノウハウの蓄積となったことなどを中心にお話いただいた。

最後に分科会報告として全体会を実施し、2日間にわたるセミナーのまとめとして、男女共同参画を人権の問題としてではなく、経営改革のための効率的な1つのアプローチと捉える新たな切り口について改めて整理を行った。

参加者からは、「男女共同参画事業に対して、そして、大学の使命に対して、新たな視点から見えるようになった気がします」、「日頃意識が薄い「大学の使命」と男女共同参画の関わりについて考える機会になり、大変刺激になりました」、「組織のトップへのアプローチの方法がわかって大変参考になりました」等の感想がアンケートに寄せられた。

基調講演 「大学の使命と男女共同参画」 講師 江原 由美子氏基調講演 「大学の使命と男女共同参画」 講師 江原 由美子氏

講義 「大学経営戦略としての男女共同参画の推進」講義 「大学経営戦略としての男女共同参画の推進」

分科会の様子分科会の様子

分科会の様子分科会の様子

分科会の様子分科会の様子

全体会の様子全体会の様子

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