研修・イベント

研修

実施報告

平成30年度「男女共同参画推進フォーラム」

開催期間:平成30年8月30日(木)~9月1日(土) / 定員:男女共同参画に関心のある方(行政、企業、大学、NPO等の組織において男女共同参画の推進に携わる方及び女性団体、女性/男女共同参画センター職員を含む) 1,000名

開催場所:国立女性教育会館


1.趣 旨

男女共同参画を推進する行政担当者、女性団体やNPOのリーダー及び大学や企業において組織内のダイバーシティや女性の活躍を推進する担当者等が一堂に会し、課題の共有と課題解決のための方策を探る研修を実施します。同時に、組織分野を越え、連携・協働して男女共同参画を推進するためのネットワーク形成を図ります。

2.テーマ

つなぐ、あらたな明日へ 
~女性も男性もともに暮らしやすい社会を創る~

3.日 程

平成30年8月30日(木)~9月1日(土)

4.主催及び会場

独立行政法人国立女性教育会館
〒355-0292 埼玉県比企郡嵐山町菅谷728
TEL 0493-62-6724、6725
FAX 0493-62-6720
Eメールアドレス progdiv@nwec.jp
ホームページ URL https://www.nwec.jp

5.参加者

男女共同参画に関心のある方(行政、企業、大学、NPO等の組織において男女共同参画の推進に携わる方及び女性団体、女性/男女共同参画センター職員を含む)
1,000名

6.内 容

【第1日】8月30日(木)

(1)開会 主催者あいさつ                 13:00~13:15

(2)シンポジウム                     13:15~15:00
  「新しい暮らしのカタチ~働き方×幸福度~」
グローバル化、超高齢化、IT化など急激に変化していく社会の中で、一つの会社に定年まで勤める働き方から、キャリアに応じた転職、Iターン、Uターン、パラレルキャリア(本業の他に副業・複業をする)などのこれまでにない働き方をする人が増えています。また、働き方改革が掲げる長時間労働の是正は、仕事だけでなく、家庭、社会生活に関わる時間を生み出し、経済的な指標一辺倒であった「幸福」の捉え方や感じ方を変化させています。若い世代を中心に関心が高まりつつある、地域や文化との主体的な関わりや「幸福な生活」に焦点を当て、男女共同参画の視点から新しい暮らしのヒントを探ります。

   パネリスト:阿部 裕志   株式会社巡の環代表取締役       
         正能(しょうのう) 茉優   株式会社ハピキラFACTORY代表取締役社長 
   コーディネーター:萩原なつ子 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授
                 立教大学社会学部教授  

(3)ワークショップ1・パネル展示1            15:30~17:30
会館提供ワークショップと全国から募集したワークショップやパネル展示を行います。

(4)懇親会 参加費3,500円(消費税込)、立食         18:30~20:00

【第2日】8月31日(金)

(5)ワークショップ2・パネル展示2            10:00~12:00
全国から募集したワークショップやパネル展示を行います。

(6)特別講演                       13:30~15:00
「すべての男女が活躍でき、働きやすく暮らしやすい社会を創る」
NHKクローズアップ現代で23年間キャスターを務め、男性の多い報道の現場で働いてこられた国谷さん。御自身のこれまでの仕事に対する考えや思いの変化、APEC国際会議への出席を通じて実感した、女性の働き方を変え能力を引き出すことが社会を変えることなどについて、エピソードを交えながらお話しいただきます。また、2015年9月に国連で採択されたSDGs(2030年までに達成するとされている持続可能な開発目標)について、一人ひとりが活躍できる男女共同参画社会創りの視点から会場のみなさまと共に考えます。

講師:国谷 裕子  東京藝術大学理事
          キャスター 
 
(7)ワークショップ3・パネル展示3            15:30~17:30
全国から募集したワークショップやパネル展示を行います。

(8)映画上映                       19:00~20:40 
「ベアテの贈りもの(The Gift from Beate)」
ベアテ・シロタ・ゴードンは、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)民政局に所属していた22歳の時に日本国憲法(1946年11月3日公布)の草案策定に関わり、第14条「法の下の平等」・第24条「家庭生活における両性の平等」を執筆しました。その後の日本における彼女の講演活動は、女性の憲法についての学びの支援にもなりました。この映画は、彼女の功績と、その志を受けて活動を進める日本の女性たち、そして変化する日本社会を描いたドキュメンタリーです。当日は会館に寄贈された貴重な資料や写真、本などの展示企画も連動して行います。

【第3日】9月1日(土)

(9)ワークショップ4・パネル展示4            10:00~12:00
全国から募集したワークショップやパネル展示を行います。

(10)多世代ワールドカフェ200人会             13:30~16:00
今、若者は何を感じ、どのように生きづらさを抱えているのでしょうか。直面する社会問題について4名の若者が登壇し、発信します。その後会場の参加者も交えワールドカフェの手法を用いて、明日に向かって社会にどのように主体的に関わっていけるのか、どのように世代を超えて協働していけるのかを討議します。

    報告者:春藤  優   WASEDA LGBT ALLY WEEK代表/早稲田大学GSセンター学生スタッフ
        尾川 達哉   東京大学法学部3年
        川合 樹里   明治大学情報コミュニケーション学部4年
        丸山 太一   明治大学情報コミュニケーション学部3年     
    ファシリテーター:引間 紀江   国立女性教育会館総務課専門職員

7.ワークショップについて

(1)趣旨
フォーラム期間中、会館及び一般公募による団体・個人が、男女共同参画、ダイバーシティ及び女性の活躍推進を目的とした日頃の取組や研究、教育、学習、実践活動の発表を行う場として、ワークショップ及びパネル展示を実施します。

(2)テーマ
ワークショップ及びパネル展示のテーマは「第4次男女共同参画基本計画」に示されている施策などを参考に設定した、以下の7分野です。

(3)会館提供ワークショップについて
会館から発信する学習支援や実践報告のワークショップを実施します。

 ①「男女共同参画の視点から地域課題を掘り起こす~日本女性会議の取組から~」
                              8月30日(木)15:30~17:30
日本女性会議は、男女共同参画社会の実現に向けた課題の解決策を探るとともに、参加者相互の交流の促進や情報のネットワーク化を図ることを目的とした国内最大級の会議です。国連婦人の10年を契機として、1984年に名古屋市で第1回大会が開かれて以来、毎年、県庁所在地や政令指定都市などを中心に全国各地で開催されてきました。昨年度の開催地である苫小牧市と今年度の開催地である金沢市からの報告を通じて、男女共同参画の視点から地域課題や人的・物的資産をいかに掘り起こし解決方策を組み立てるか、そのために必要な地域連携の在り方などについて、会議開催に関わる方々と共に考えます。

   講師:名取はにわ   日本社会事業大学理事長
      高橋 雅子   日本女性会議2017とまこまい実行委員長 
      宮嶋 紀子   苫小牧市総合政策部 協働・男女平等参画室長      
      八重澤美知子  日本女性会議2018in金沢実行委員長      
   コーディネーター:櫻田今日子   国立女性教育会館事業課長
 
 ②「男女共同参画の視点に立った地域づくりについて考える~学習オーガナイザー養成研修から~」
                              8月31日(金)15:30~17:30
男女共同参画社会の実現を推進するためには、地域課題の解決に向けて男女共同参画の視点から体系化された効果的な学習プログラムの開発・企画し、展開していく人材としての「学習オーガナイザー」が必要です。このワークショップでは、学習オーガナイザーの役割、学習プログラムの設計図となる「プログラムデザイン」、地域づくりを進めるプログラム作りについての解説を行います。そして実践事例をもとにフロアでの討議を行い、男女共同参画の視点に立った企画のあり方について考えます。

   講師:松下 光恵   特定非営利活動法人男女共同参画フォーラムしずおか代表理事
      為永 智子   長浜市役所総合政策部秘書課課長
      中山 治己   両河内地区連合自治会長/「ココバス」運行管理者
      櫻田今日子   国立女性教育会館事業課長
   ファシリテーター:西山恵美子   国立女性教育会館事業課客員研究員

 ③「ユースが見てきた世界とユースから見える社会~若者×社会保障-セクシュアリティ・夜職・貧困~」
                              9月1日(土)10:00~12:00
ニューヨークの国連本部で開催された国連女性の地位委員会(CSW)に参加し学んだ若者が中心となって報告します。風俗はセーフティネットなのか?公的サービスはどうしたら若者に届くのか。セクシュアリティ・夜職・貧困をキーワードに活動する若者から発信します。来年の国連女性の地位委員会のテーマである社会保障について一緒に考えましょう。

   コーディネーター:草野由貴   JAWW(日本女性監視機構)CSW62メンター
                   女性と人権全国ネットワーク
   報告者:福田 菜月   Neoteny共同代表/BPWインターン
       布施えり子   フリーター全般労働組合/キャバクラユニオン共同代表        
       藤原 彩沙  一般社団法人慈有塾理事

(4)ワークショップ選定委員
募集ワークショップ(ワークショップの部、パネル展示の部)の選考と調整を行います。
・犬塚 協太   静岡県立大学国際関係学部教授
・小野島恵子   公益財団法人21世紀職業財団事業推進部長
・木須八重子   公益財団法人せんだい男女共同参画財団理事長

8.参加申込・受付について

(1)日帰りまたは通い参加の方
事前申込は必要ありません。直接、本館1階の受付にお越しください。
当日記入する「日帰り・通い参加申込書」は会館ホームページからダウンロードできます。
   
(2)会館への宿泊を希望される方
宿泊申込期間:7月2日(月)より開始(先着順)
別紙「宿泊申込書」に必要事項を記入の上、国立女性教育会館事業課宛にEメール(progdiv@nwec.jp)かフォーラム専用申込みフォームからお申し込みください(FAX不可)。
*ネット環境のない方のみ郵送可
(注)どちらも申込開始日以前の到着については受け付けませんので御了承ください。
*他の参加者と相部屋となりますことを予め御了承ください。宿泊について御不明点などは以下の時間内に事業課までお電話ください。
(電話:0493-62-6725 月~金曜の午前9時~17時)
*満室になり次第締め切ります(恐れ入りますが満室となった際は御自身で近隣の宿泊施設を手配ください)。
*当日の宿泊申込はできませんので御了承ください。

9.所要経費

(1)参加費:無料
(2)宿泊費:フォーラム開催期間中及び前泊(8/29)・後泊(9/1)は、小学生以上1泊あたり1,200円。
  ★未就学児はベッドパッド代として1名あたり1泊500円。
(3)懇親会費:3,500円(消費税込) 8月30日(木) 18:30~20:00、立食形式、本館レストラン(8月30日(木)夜は、食堂の通常営業は行いません)。
  *宿泊費及び懇親会費は当日受付で集金します。

10.託児(事前申込制、先着順)

(1)託児:期間中、おおむね1歳以上~就学前のお子様の託児を実施します(無料、15名)。
(2)NBSキッズサッカースクール 9月1日(土)10:00~12:00 (無料)
こちらでもお子さんをお預かりすることができます。
対象:おおよそ3才~小学生までの男女20名
※水分補給・着替えなどをお持ちください。
  (1)・(2)とも申込は、8月13日(月)までに事業課フォーラム担当まで御連絡ください(電話対応時間:平日9:00~17:00 0493-62-6724・6725)

11.情報コーナー(場所:本館1階南側レストラン前)

参加者の皆さまが、所属する団体の男女共同参画を推進に関わるパンフレットやチラシなどの資料や書籍など、自由に交換・販売するコーナーを設置します。資料の運搬、陳列、金銭の取扱いなどは、各自の責任でお願いします。

12.送迎バス

期間中、国立女性教育会館本館前~東武東上線武蔵嵐山駅東口間で無料送迎バスをピストン運行します。
*運行間隔は、1時間に3~4本程度です。

13.その他

以下の点について、予め御了承ください。
(1)参加者同士の交流・情報交換の促進を目的とした場ですので、署名運動や行き過ぎた勧誘、募金等は御遠慮願います。
(2)申込書等で得た個人情報については、事業実施のための連絡及び参加者の統計情報として使用します。その情報は厳重に管理し、取扱いには十分留意いたします。
(3)期間中、当館が撮影した写真を記録や広報に使用します。

平成30年度「男女共同参画推進フォーラム」募集ワークショップ ワークショップの部及びパネル展示の部 募集について

平成30年度「男女共同参画推進フォーラム」期間中、男女共同参画、ダイバーシティ及び女性の活躍推進を目的とした日頃の取組や研究、教育、学習、実践活動の発表を行う場として、NWEC及び一般公募団体による募集ワークショップを実施します。ワークショップの部及びパネル展示の部の運営団体を、以下のとおり募集します。

1.日  程

平成30年8月30日(木)~9月1日(土)

2.実施会場

国立女性教育会館
埼玉県比企郡嵐山町菅谷728番地(最寄駅:東武東上線武蔵嵐山駅)

3.募集件数

  • 【一般の部】

    ①ワークショップの部 30件(1団体1コマ実施)
    ②パネル展示の部   各コマ6件程度(期間中1コマ~3日間通しまで可)

  • 【大学・ユースの部】

    ※大学・大学院のゼミ、もしくはおおよそ20~30代で構成する団体
    ①ワークショップの部 10件(1団体1コマ実施)(9月1日特に歓迎)
    ②パネル展示の部   各コマ4件程度(期間中1コマ~3日間通しまで可)

4.応募要件

男女共同参画やダイバーシティ、女性の活躍推進に関する研究、教育、学習、実践を行っている企業、大学、行政、NPO、民間団体等からの団体・グループや個人

【選考にあたって】
・外部の有識者による選定委員会で選考、調整します。
・応募多数の場合は、新規団体の応募を優先します。
・ワークショップは無料で参加・見学としてください。ただし、希望者に対してのみ実費程度の資料代の徴収は可とします(500円以下を目安としてください)。
※別途書籍などを販売するブースを設けています。
   
◆留意事項
(1)次にかかる内容の応募は、対象外といたします。採択の決定後であっても、その内容が下記に抵触することが判明した場合には決定を取り消します。
・訴訟その他で当事者間に争いがあり、その一方の主張を展開するもの
・宗教的、商業的な活動を目的とするもの
・特定の政治的立場に立ち、特定の政党や政治家を中傷、又は支援することを目的とするもの
・国際交流、国際親善を阻害する恐れのあるもの
・物品の直接販売行為や予約販売をするもの
・平成30年度「男女共同参画推進フォーラム」の趣旨に照らして不適当と判断されたもの
(2)調整の結果、実施日時はご希望に添えない場合があります。
(3)当日の会場準備・後片付け等は、すべて運営団体による自主運営です。
(4)参加費や見学費は無料として実施してください(資料代実費の徴収は可)。
(5)事業記録や広報のため、実施中の様子を職員が撮影いたします。

5.テーマ

ワークショップ及びパネル展示のテーマは「第4次男女共同参画基本計画」に示されている施策などを参考に設定した、以下の7分野としてください。

6.申込方法

申込フォーム(別紙1・別紙2)をダウンロードし、必要事項を記入の上、Eメール(progdiv@nwec.jp)添付、または封書で郵送してください。
※※FAX不可※※

7.申込受付期間

平成30年3月19日(月)~5月8日(火)午後5時必着

8.決定のお知らせ

結果については、応募要件や会場・日程等を考慮し、選定委員会で選考し、平成30年6月中旬(予定)頃、連絡いたします。
※なお、決定後当日開催された団体には半年後(平成31年2月ごろ)、フォローアップ調査を実施いたしますので御協力ください。

平成30年8月30日(木)~9月1日(土)に、NWEC夏の恒例、「男女共同参画推進フォーラム」を実施しました。

 行政、女性団体、NPO、大学、企業などの担当者が一堂に会し、広く男女共同参画を学ぶ方々も加わり、課題の共有と課題解決のための方策を探ると同時に、組織分野を越え、連携・協働して男女共同参画を推進するためのネットワーク形成を図ることを目指して開催しました。残暑が厳しい中、北海道から沖縄まで全国各地から約1,200人以上の方々にご参加をいただき、学びと交流を深めた熱気あふれるフォーラムとなりました。

シンポジウム「新しい暮らしのカタチ~働き方×幸福度」

8月30日(木)午後1時15分~3時

パネリスト:
阿部 裕志氏(株式会社巡の環代表取締役)
正能 茉優氏(株式会社ハピキラFACTORY代表取締役社長
       ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社スマートプロダクト担当
       慶應義塾大学大学院特任助教)

コーディネーター:
萩原なつこ氏(立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授
       立教大学社会学部教授)

 グローバル化、IT化が急激にすすんでいく社会の中で、Iターン、Uターン、副業、パラレルキャリアと働き方や価値観が多様化しています。このシンポジウムでは、自分らしい働き方を通じて、世代を超えて地域の活力を生かしながら、地域や人との関係性を作り出しているお二人のパネリストをお招きして、その事例を伺いながら、コーディネーターの萩原なつ子さんが男女共同参画の視点で働き方と幸福度の関係を考え、新しい暮らしへのヒントを探りました。
 まず、阿部氏からは、大学のころから人と人、人と自然の関係性を見るにつれ、「世の中なんだかおかしくないか」という疑問を抱くようになったこと、大企業から島根県の離島に移住した経緯について伝えられました。人口2,300人の海士町でできることは、人と人の関係を大切にすること、自然を大切にする環境、よそもの、ばか者が活躍できる環境づくりや、人づくりへの挑戦、若者との交流を大切に島の文化の活性化を進めることでした。自分たちの子どもの世代にどのような島を残していくかを考え、移住してきた仲間と3歩先を考え、半歩先を歩む巡の環という企業を創設。「一人ひとりが意志を持ち、未来を考える」というミッションのもと、新しい生き方として暮らし(人と自然のバランス)、仕事(人と人のバランス)、稼ぎ(働き方のバランス)というこの3つを満たす生き方を実践し、すすめている海士町での活動を紹介しました。
 正能氏は現在27歳。大学時代にハピキラFACTORYを起業しました。大学生の時に長野県の小布施まちづくりインターンシップに参加し、2週間この地で過ごすうちに、町の人たちがとても楽しそうに働き、暮らしている姿を見て、大切なのは物理的な豊かさではなく、精神的な豊かさではと感じました。そこでこの小布施を有名にし、活気ある町にしたいと、学生版ダボス会議をこの地で行いたいと決意し学生を呼んで2泊3日2400人の参加を得て開催しました。その時に女子大生の会議への参加者が少ないことに疑問を感じ、女性にもっと参加してもらいたい、そのために女の子にわかりやすい形で地方に興味をもってもらうにはどうしたらよいかを考え、地元の美味しいものをかわいいパッケージに入れて発信してはどうかとハピキラFACTORYという会社を立ち上げました。商品とそれを買ってくれる人との相性を模索、「作って、広めて、売る」販路を作るところまで行っています。

萩原氏:このシンポジウムでは「幸福度」もテーマになっていますが、自由になる時間はお二人にはありますか。また人との関係性について二つの視点からみてお聞かせください。
阿部氏:自由な時間が多いですが、すべて仕事につながっています。そして関係性でいえば、トヨタの社員であったときよりも今はどこでも生きていけるし何でもできると感じています。「巡の環」という会社で他者との関係性を深めているといろいろな関係が生まれ、それが仕事につながっています。海士町では「ないものはない」というキャッチコピーがいたるところに貼ってありますが、それは人として生きていく大切なものがある!ともに作る喜びがある!ということだと思います。
正能氏:自由だと感じます。それは成功や正解が自分で決められるからです。自分の好きなこと、大事にしていることを大切にしています。また、人との関係性ですが、小布施町に行くと、顔見知りがいっぱいいて、それは親戚のおじさんとおばさんがいっぱいいるような気がします。東日本大震災があった時に家族以外で心配してくれる人がいる、それが幸せであったかくて嬉しいと感じます。

萩原氏:お二人ともお忙しいと思いますが時間配分はどのようにしているのでしょうか。
阿部氏:私は島の中にいる時間と島の外にいる時間のバランスに気をつけています。島の外にいる期間をおおよそ1週間、島の中に3週間という目安です。今の仕事は海士町の中にいるだけではできない、ですから島の外にも行きますが、島の中で仲間と過ごす時間や生活も大切です。仕事、暮らし、かせぎのバランスに気を付けながらいつも見直しながら配分を考えています。
正能氏:私達、ミレニアル世代は震災を経験したこともあって、仕事を一生懸命やっていつか家族を大切にしようと思ってもその「いつか」は来ないかもしれない、だったら今仕事も家族も趣味も恋人もバランスよく時間を使いたいと考えている世代です。現在パラレルキャリアをしていますが、よく忙しいでしょうとか正能さんだからできるとか言われますが、そんなことはありません。私は何にどのくらい時間を使うのか、人生時間配分表を作っています。人生って意識すれば結構時間はあるんじゃないかと思いますし、濃度を高めたいと思っています。

萩原氏:先ほど、阿部さんから「意志(Will)」という言葉がありましたが。
阿部氏:「~でなければならない」ではなく「~したいからする」を大事にしていきたいですし、苦しい時は一人で抜けられないけれど仲間と一緒だとそれを乗り越えることができる。ゆるやかな関係性が大切だと思います。
正能氏:「~しなくちゃ」と思うときついけれど「~したい」と思えば楽しい。悲観は「気分」であり、楽観は「意志」です。同じ気分を味わった仲間と一緒に考えるといいと思います。
 最後に阿部さんは、「町づくりはマッチョではなくしなやかさが大切。男女の役割でなく、バランスのとれるものさしをもっていると人生が幸せになれる。」と、正能さんは、「まだまだ男性中心社会では女性には人生のイベントが多く仕事を続けるのが難しい時が多いけれど、いろいろな働き方を持っていれば、それだけ選択肢があるので、その時に仕事を辞めなくても済む。パラレルキャリアは人生の選択肢を広げると感じています。」と会場へメッセージを送りました。
これから多様な働き方が出てきて、働き方や暮らし方を大きく見直すきっかけになりますが、男性も生きづらさを抱えている中、男女ともに自分らしく働きやすく暮らしやすい社会を創ることがますます必要になっていきますと萩原なつ子先生が会場の参加者にメッセージを送り、最後に「ワークライフバランスの歌」を「カエルの歌」に替えて全員が歌い、シンポジウムは笑いの中、幕を閉じました。

特別講演「すべての男女が活躍でき、働きやすく暮らしやすい社会を創る」

8月31日(金)午後1時30分~3時

 特別講演では、国谷裕子氏(東京藝術大学理事・キャスター)が「すべての男女が活躍でき、働きやすく暮らしやすい社会を創る」をテーマに講演をしました。
 ご自身が歩まれた道のりを通じて、制度の充実や環境の整備が進んでいる一方で、いまだに女性への人権上の差別や男女間の格差が存在していることをまず問いかけました。例えば、性暴力を受け告発したら、逆に彼女に批判が集中した事件、セクハラを訴えた女性記者への報道の在り方、そして彼女たちへのネット上での攻撃、女性の医学部入学のような女性への不正差別など、日本社会の実態は依然として男女間の格差、女性への人権上の差別が存在しています。また、NWECの行った「男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査研究」の数値を挙げながら、管理職を目指す女性が入社年数が経つにつれどんどん減っていく現状を伝え、男女間や世代間の意識の差を改革していく必要性を強調しました。
 後半では、国連が採択した2030年までに達成を目指す持続可能な開発目標「SDGs」について取り上げました。地球を環境破壊から守ること、「誰一人置き去りにしない(No one will be left behind)」ことを基本方針としているSDGsを世界の新しいものさしとして解説し、それぞれの自治体、コミュニティ、団体でこのゴールに沿って一体何が課題なのかを総合的にとらえ、そして私たち全員で解決していく重要性を伝えました。
 今のままではこの世界は持続可能ではないことを受け止め、価値転換をしなくてはいけない、私たちは地球を救う機会を持つ最後の世代になるかもしれないと訴え、特に日本が遅れているゴール5(ジェンダー平等)のためには、女性がより声を上げて男女の格差を是正していくことが重要ですと会場を埋め尽くす参加者に熱いメッセージを投げかけました。

映画上映「ベアテの贈り物」

8月31日(金)午後7時~8時40分

 2004年製作。ベアテ・シロタ・ゴードンは、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)民政局に所属していた22歳の時に日本国憲法(1946年11月3日公布)の草案策定に関わり、第14条「法の下の平等」・第24条「家庭生活における両性の平等」を執筆しました。その後の日本における彼女の講演活動は、女性の憲法についての学びの支援にもなりました。この映画は、彼女の功績と、その志を受けて活動を進める日本の女性たち、そして変化する日本社会を描いたドキュメンタリーです。会場では、NWECに寄贈された貴重な資料や写真、本などの展示企画もし、連動企画としました。夜間の上映時間であったにもかかわらず、約160人の方々にご参加をいただきました。

多世代ワールドカフェ200人会

9月1日(土)午後1時30分~4時00分

 今回初めての試みとして開催した「多世代ワールドカフェ」では、前半は、4人の大学生が、日頃学び取り組んでいる課題を発信しました。春藤優さん(早稲田大学)からはLGBTへの理解と支援体制やキャンペーンの紹介、尾川達哉さん(東京大学)からは障害のあるシンブルマザーをめぐる子どもを養育するうえでの法的な問題による困難さ、川合さんと丸山さん(ともに明治大学)からはレイプドラックやデートDVの問題など、現代の社会問題やさまざまな切り口から捉えた女性問題の現状を伝えました。
 後半は、それらをきっかけに参加者が抱えている問題を出し合い、社会とどのように主体的に関われるのか、世代を超えてどのように協働していけるのかを、ワールドカフェの手法を用い、席を移動しながら3ラウンドの参加者同士の討議を行いました。最後に明日への一歩、行動宣言を共有し、ボードに貼り出し終了しました。
この多世代ワールドカフェに参加した方からは、「幅広い世代の方とディスカッションでき貴重な時間だった」「男性の参加も多く、改めて女性問題は女性だけの問題ではなく男性と一緒に考える必要があると思った」「若い人たちが何を考えているのかわかりよかった」「社会を変えていこうと活動している方々に会え、社会を変えるのは今生きている人たちみんなで力を合わせて変えていくものだと感じた」などの感想がありました。初めての試みのワールドカフェでしたが、いろいろな世代・地域・個人の背景を超えた交流ができました。テーマ設定や流れなどについて精査した上で、来年はさらにブラッシュアップして臨みたいと思います。

ワークショップの部・パネル展示の部

8月30日(木)~9月1日(土)

「第4次男女共同参画基本計画」に示されている施策を参考に、以下7つのテーマを設定し、全国からの応募を受け、ワークショップ60件、パネル展示11件合計71件が採択されました。
①働き方を考える
②女性のキャリアを考える
③教育と男女共同参画
④安全・安心な社会づくり
⑤地域づくり、人づくり
⑥男女共同参画センターの役割
⑦国際協力とジェンダー

「進めたい:地域における男女共同参画-市民・議員・自治体の「連携」を考える」~北京JAC(世界女性会議ロビイングネットワーク)~

「企業やビジネスに必要な知的財産の初歩講座」~埼玉応援隊女性弁理士 パール会~

「男性が地域で居場所を持ちながら朗らかに暮らすために」
~ヘルシーカフェのら~

会館提供ワークショップ

期間中3つの会館提供ワークショップが行われました。

1.「男女共同参画の視点から地域課題を掘り起こす~日本女性会議の取組から~」

8月30日(木)午後3時30分~5時30分

 日本女性会議は、男女共同参画社会の実現に向けた課題の解決策を探るとともに、参加者相互の交流の促進や情報のネットワーク化を図ることを目的とした国内最大級の会議です。国連婦人の10年を契機として、1984年に名古屋市で第1回大会が開かれましたが、昨年度の開催地である苫小牧市と今年度の開催地である金沢市からの報告を通じて、課題解決の方策や地域連会のあり方について話し合いました。まず、名取はにわさん(日本社会事業大学理事長)が、元内閣府男女共同参画局長であった経験をふまえ、日本女性会議の創設と経緯について解説。続いて、昨年の開催地苫小牧市からから高橋雅子さん(日本女性会議2017とまこまい実行委員長)と宮嶋紀子さん(苫小牧市総合政策部 協働・男女平等参画室長)が行政・企業・市民が一体になって「オール苫小牧」体制で臨んだという開催報告を行い、今年度開催地の八重澤美智子さん(日本女性会議2018in金沢実行委員長)からは苫小牧からバトンをつなぎ、次世代へもつないでいきたいという大会にかける熱い想いが語られました。草の根の女性たちの発信が大きな原動力となって進展してきたことが再確認され、粘り強くぶれない働きかけによって、行政・企業・市民が連携し、地域の男女共同参画社会づくりに大きく貢献する契機となること、地域で学習を積み重ねてきた者が日本女性会議を起爆剤として、学習→地域の改題把握→解決のための実践の有機的なスパイラルを回していく力の大きさを会場のみなさんと共有しました。

2.「男女共同参画の視点に立った地域づくりについて考える~学習オーガナイザー養成研修から~」

8月31日(金)午後3時30分~5時30分

 男女共同参画社会の実現を推進するためには、地域課題の解決に向けて男女共同参画の視点から体系化された効果的な学習プログラムの開発・企画をし、展開していく人材としての「学習オーガナイザー」が必要です。このワークショップでは、学習オーガナイザーの役割、学習プログラムの設計図となる「プログラムデザイン」についてまず解説し、次に松下光恵さん(特定非営利活動法人男女共同参画フォーラムしずおか代表理事)から地域づくりを進めるプログラム作りについて説明しました。続いて長浜市で女性就職支援事業マザーズジョブカフェや長浜女性会議を企画した為永智子さん(長浜市役所総合政策部秘書課課長、平成29年度「学習オーガナイザー養成研修」修了生)、静岡市両河内でデマンドバスの運行プロジェクトを中心になって展開した中山治己さん(両河内地区連合自治会長/「ココバス」運行管理者)のお二人から実践事例の発表を行いました。その後それをもとに参加者同士で討議を行い、男女共同参画の視点に立った企画のあり方について考えました。

3.「ユースが見てきた世界とユースから見える社会~若者×社会保障—セクシュアリティ・夜職・貧困~」

9月1日(土)午前10時~午後12時

 草野由貴さん(JAWW(日本女性監視機構)CSW62メンター/女性と人権全国ネットワーク)のコーディネートのもと、3人の方が登壇しました。まず、ニューヨークの国連本部で開催されたCSW62(国連女性の地位委員会)に参加し、学んだ経験を国内で団体を設立し、キュレーションサイトを立ち上げる活動をしている福田菜月さん(BPW、CSW62 インターン、学生団体Neoteny共同代表、BPWインターン、津田塾大学生)が「若者×メディア」という切り口で活動報告をしました。続いて、来年3月開催のCSW63の優先テーマでもある社会保障について「若者と社会保障」の視点から布施えり子さん(フリーター全般労働組合、キャバクラユニオン共同代表)と藤原彩沙さん(一般社団法人慈有塾理事)が事例発表を行いました。フロアからの質問をはさみ、最後に草野さんから「今までの先輩たちの活動があって今日に至っているが、これから若者がどのように活動していくのかなど、まだまだ課題もある。活動の機会を広げるためにも資金援助もお願いしたい」と結びました。会場には若い世代のみならず、いろいろな世代の方々が多く集まり、今後も世代をつなぎ、どのように協働できるか、相互に議論する場の必要性を感じました。

 フォーラム期間中は会館ボランティアによる交流プログラムとして、会場全体を通じた参加者同士の情報交換やネットワークづくりの場も多数展開されました。
 フォーラムに参加された方々からは、「初参加。毎年参加したいと思う内容がたくさんあり、全国の方と交流できた。」「他団体の活動を知ることができ、私たちも頑張ろうと触発された。」「シンポジウムでは阿部さん、正能さんの発想の豊かさ、価値観、実践がとても新鮮でした。これからの生き方の参考にしたい。」「ユースのワークショップや多世代ワールドカフェなどに参加し、若い世代がどのように感じているのか理解できたのがよかった。」「国谷裕子さんがお話しされたSDGsについてもっと知りたい。危機感をもって自分たちの団体でも取り組んでいきたいと感じた。」などの感想がありました。
 どうぞ来年のフォーラムにもぜひお越しください。来年は平成31年8月29日(木)~8月31日(土)開催予定です。

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