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実施報告

令和4年度「女性関連施設相談員・相談事業担当者研修」

開催期間:令和4年6月21日(火)~7月19日(火) / 定員:300名

開催場所:国立女性教育会館 /


1.趣旨

 女性関連施設等における相談事業の実施に必要な知識・技能を取得する専門研修を実施し、相談事業を通じて男女共同参画社会形成に貢献する人材を育成します。
 この研修では、ジェンダーの視点に立って相談者を理解するための基本となる知識・スキル、相談を成り立たせるための事業運営の在り方を学び、相談から見えるニーズを事業や施策に反映させ、男女共同参画に関わる地域の課題解決を進める実践力を養います。

2.主催

独立行政法人国立女性教育会館

3.対象及び定員

・公私立の男女共同参画センター、女性センター等の女性関連施設等において相談業務に携わっている相談員及び相談事業担当者・管理者 
・地方公共団体における関連施策担当者(相談事業を統括する立場にある方を含む)
 計300名
 *定員を超えた場合は受講をお断りする場合があります。先着順ではありません。

4.実施期間

令和4年6月21日(火)9:00 ~7月19日(火)17:00

5. 方法

 オンライン形式
 * LMS(eラーニング学習管理システム)によるオンデマンド配信及びZoomによるライブ配信

6.参加費

 無料(通信料は参加者負担)

7.内容

(1)開会(15分)
 主催者あいさつ   萩原なつ子 国立女性教育会館理事長       
 オリエンテーション  国立女性教育会館事業課

(2)講義1「女性関連施設における相談事業の意義~ジェンダー視点に立った相談とは」(60分)
 女性関連施設の相談事業を運営し、男女共同参画の本質とその視点に立った相談業務の在り方について学びます。相談者に向き合うために必要な自分自身のジェンダー視点を養い、女性の直面する困難が社会構造と深く結びついていることを踏まえ、女性相談のプロセスと役割について理解を深めます。
 講師:加藤伊都子 NPO法人日本フェミニストカウンセリング学会代表理事
          フェミニストカウンセリング堺

(3)事例報告1「欲しい支援を形にする~女性による女性のための相談会の実践から」(45分)
 新宿区大久保公園での相談会の実践例より、ジェンダー視点に立脚した相談スタンスと、コロナ禍で女性が直面している困難な状況について学びます。
 講師:松元 ちえ ジャーナリスト
          メディア協同組合アンフィルター女性による女性のための相談会
   
(4)情報提供(30分) 
 DVや性暴力の対策、女性相談支援等に関わる国の施策について最新情報を知り、相談事業の方向性について知見を広げます。
 講師:内閣府男女共同参画局 男女間暴力対策課

(5)講義2「ジェンダーに基づく暴力とは」(45分)
 ジェンダーに基づく暴力について、その要因となる背景、被害者にもたらす影響、被害者の回復プロセスと必要な支援等について学びます。また、DVと児童虐待の関係についても理解を深めます。
 講師:松本 和子 女性ネットSaya-Saya代表理事

(6)講義3「関係機関との連携」 (45分)   
ソーシャルワークに関わる支援の流れを踏まえながら、関係機関の機能把握や連携の仕方、また、相談員が知っておくべき法制度の概要等について学びます。
 講師:甲木 京子 S・ぱ~ぷるリボン

(7)ワーク1・2・3「ケース別支援の在り方」(45分×3)
 構成事例を基に、具体的にどのような相談対応をしたらよいかを考え、ジェンダーの視点に立った相談対応の基礎力を養います。
 講師:河野 和代 ウィメンズカウンセリング徳島代表
    執行 照子 NPO法人日本フェミニストカウンセリング学会認定フェミニストカウンセラー
    合田 恵  NPO法人フェミニストカウンセリング神戸

(8)講義4「相談者の立場に立った相談環境の整備」(45分)
 相談者が安心して利用できる相談スペースの作り方、広報、社会資源情報の整備と提供方法等、女性関連施設における相談環境整備のポイントについて学びます。
 講師:村瀬 智子 名古屋市男女平等参画推進室主査

(9)講義5「安心・安全な相談事業を成立させる相談システム」(45分) 
 相談の記録や統計の用い方、相談員のバーンアウトを防ぐ組織的対応等、安心・安全な相談事業を成立させるために必要な運営システムについて学びます。
 講師:新堀由美子 男女共同参画センター横浜南フォーラム南太田館長 

(10)講義6「相談のニーズを事業・施策に反映する」(30分)
 個別相談から地域の課題やニーズをとらえ、事業や行政の施策に反映させる意義やその方法について、大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)での実践例をもとに学びます。
 講師:仁科あゆ美 一般財団法人大阪府男女共同参画推進財団理事・本部長

(11)事例報告2「欲しい支援を形にする~自立を目指す女性のための“学びなおし”を通したキャリア形成支援」(30分)    
 さまざまな事情で基礎的な教育を十分に受けられなかった女性を対象とする、個別学習支援プログラムを開発したせんだい男女共同参画財団の実践例をもとに、相談事業から地域課題の分析・抽出を行うプロセスと、それを実現する組織体制の工夫について学びます。
 講師:川端 千尋 仙台市母子家庭相談支援センター所長

(12)情報交換会(ライブ配信90分・希望者のみ)
 参加者同士のグループセッションで業務に関わる情報交換を行います。
 (A)女性相談施設所属の相談員・相談事業担当者
   7月8日(金)10:30~12:00*定員40名(希望者多数の場合は抽選)
   7月8日(金)14:00~15:30*定員40名(希望者多数の場合は抽選)
 (B)地方公共団体の関連施策担当者・相談事業統括担当者
   7月15日(金)14:00~15:30*定員30名(希望者多数の場合は抽選)
* 参加者には、参加者名簿(氏名、所属、職名のみを掲載)を配付します(LMSからダウンロード)。名簿掲載の可否を専用申込フォームで指定してください。

8.受講に必要な環境

 ①インターネットに接続できるパソコン(推奨)又はタブレット、スマートフォンが使用できること
 ②使用する端末に必要な下記の動作環境があること

 * OS・ブラウザのメーカーサポートが切れているバージョンは、対象外(延長サポート期間も含む)です。
 * セキュリティソフト(「ウィルスバスター」等)やブラウザ用アドオンソフト(「AddBlock」等)が動画の再生をブロックすることがあります。
 * タブレット、スマートフォンでも受講可能ですが、画像が適切に表示されない可能性があります。

「情報交換会(ライブ配信・希望者のみ)」に参加する場合
 ①インターネットに接続できるパソコン又はタブレット(スマートフォン不可)に webカメラ・マイク機能があること(外付けも可) 
 ②使用する端末に、「Zoom」アプリがインストールしてあること
 ③通信が遅延、途切れることのない安定したネットワーク環境があること
 ④話しやすい静かな環境であること

9.申込方法等

 (1)申込方法
  専用申込フォームからお申込みください。
  *申込み時のメールアドレスが研修の参加IDとなります。同じメールアドレスで複数名が申込むことはできません。

 (2)申込期間
  令和4年5月10日(火)9:00~5月31日(火)17:00

 (3)参加決定通知
  ・結果は申込フォーム記載のメールアドレスに、メールで通知します。
  ・情報交換会については、希望者が定員を超えた場合、抽選で参加者を決定します。
  ・6月8日(水)を過ぎても連絡がない場合は、事業課までお問い合わせください。

 (4)キャンセル
  キャンセルされる場合は、必ず事業課までメールにて御連絡ください。

 (5)研修の流れ

10.その他

 (1)フォローアップ・アンケートの提出
  研修終了6か月後を目途に実施するフォローアップ・アンケートに御回答ください。現場のニーズや課題を今後の事業企画に反映するために、ぜひ御協力をお願いします。

 (2)調査研究への御協力のお願い
  現在の相談現場のニーズや課題を把握し、より良い研修や情報提供を行っていくための調査を実施しております。フォローアップ調査とは別に御回答いただいた事前アンケートなどをもとに追加アンケートやヒアリングを後日実施する場合があります。御多忙中とは存じますが、御協力をお願いいたします。

 (3)プログラムの変更・中止について
  感染症、気象状況、天災、官公庁からの指示、その他主催者が研修を安全かつ円滑に実施することが困難と判断した場合には、やむを得ずプログラム内容の変更又は開催を中止する場合があります。なお、これらの情報は、随時NWECホームページでお知らせします。

11 .問合せ先

 独立行政法人国立女性教育会館 事業課
 〒355-0292 埼玉県比企郡嵐山町菅谷728
 TEL:0493-62-6724 (平日9:00~17:00)
 メール:progdiv@nwec.jp
 *お問い合わせはなるべくメールでお願いいたします。

令和4年度「女性関連施設相談員・相談事業担当者研修」実施報告

 6月21日~7月19日の日程で、公私立の女性関連施設、女性関連施設等において相談業務に携わっている相談員及び相談事業担当者・管理者、地方公共団体における関連施策担当者、相談事業を統括する立場にある方を対象に、令和4年度「女性関連施設相談員・相談事業担当者研修」を実施しました。この研修は、困難な状況に置かれている女性の相談支援に必要な専門的知識の習得と技能向上を図ることを目的としたものです。
 女性を取り巻く様々な相談に、ジェンダーの視点に立って適切に対応する力量を養うとともに、相談から見えるニーズを事業や施策に反映させる専門的知識を学び、男女共同参画に関わる地域の課題解決を進めるための実践的研修としました。講義、事例報告、ワークなどの多様なプログラムを組み、オンラインでの開催としたところ、定員を大幅に超える申込みがあり、最終的に688名が参加しました。ライブ配信で希望者を対象に情報交換会を実施し、業務に関わる情報交換の場を設け、参加者同士の交流する機会を提供することができました。

開会

講義1「女性関連施設における相談事業の意義~ジェンダー視点に立った相談とは」

講師:加藤伊都子 NPO法人日本フェミニストカウンセリング学会代表理事
         フェミニストカウンセリング堺

 女性関連施設の相談事業を運営し、男女共同参画の本質とその視点に立った相談業務の在り方について学んだ。相談者に向き合うために必要な自分自身のジェンダー視点を養い、女性の直面する困難が社会構造と深く結びついていることを踏まえ、女性相談のプロセスと役割について理解が深まった。

事例報告1「欲しい支援を形にする~女性による女性のための相談会の実践から」

講師:松元 ちえ ジャーナリスト

メディア協同組合アンフィルター女性による女性のための相談会
 新宿区大久保公園での相談会の実践例より、ジェンダー視点に立脚した相談スタンスと、コロナ禍で女性が直面している困難な状況について学んだ。

情報提供

講師:難波康修 内閣府男女共同参画局男女間暴力対策課課長   
淺井 康 内閣府男女共同参画局総務課課長補佐(地域担当)

 DVや性暴力の対策、女性相談支援等に関わる国の施策について最新情報を知り、相談事業の方向性について知見を広げることができた。

講義2「ジェンダーに基づく暴力とは」

講師:松本 和子 女性ネットSaya-Saya代表理事

ジェンダーに基づく暴力について、その要因となる背景、被害者にもたらす影響、被害者の回復プロセスと必要な支援等について学んだ。また、DVと児童虐待の関係についても理解が深まった。

講義3「関係機関との連携」

講師:甲木 京子 S・ぱ~ぷるリボン

 ソーシャルワークに関わる支援の流れを踏まえながら、関係機関の機能把握や連携の仕方及び相談員が知っておくべき法制度の概要等について学んだ。

ワーク1・2・3「ケース別支援の在り方」

講師:河野 和代 ウィメンズカウンセリング徳島代表      
執行 照子 NPO法人日本フェミニストカウンセリング学会
認定フェミニストカウンセラー        
合田 恵  NPO法人フェミニストカウンセリング神戸  

 構成事例を基に、具体的にどのような相談対応をしたらよいかを考え、ジェンダーの視点に立った相談対応の基礎力を養うことができた。

講義4「相談者の立場に立った相談環境の整備」

講師:村瀬 智子 名古屋市男女平等参画推進室主査

 相談者が安心して利用できる相談スペースの作り方、広報、社会資源情報の整備と提供方法等、女性関連施設における相談環境整備のポイントについて学んだ。

講義5「安心・安全な相談事業を成立させる相談システム」

講師:新堀由美子 男女共同参画センター横浜南フォーラム南太田館長

 相談の記録や統計の用い方、相談員のバーンアウトを防ぐ組織的対応等、安心・安全な相談事業を成立させるために必要な運営システムについて学んだ。

講義6「相談のニーズを事業・施策に反映する」

講師:仁科あゆ美 一般財団法人大阪府男女共同参画推進財団理事・本部長

 個別相談から地域の課題やニーズをとらえ、事業や行政の施策に反映させる意義やその方法について、大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)での実践例を基に学んだ。

事例報告2「欲しい支援を形にする~自立を目指す女性のための“学びなおし”を通した キャリア形成支援」

講師:川端 千尋 仙台市母子家庭相談支援センター所長

 様々な事情で基礎的な教育を十分に受けられなかった女性を対象とする、個別学習支援プログラムを開発したせんだい男女共同参画財団の実践例を基に、相談事業から地域課題の分析・抽出を行うプロセスと、それを実現する組織体制の工夫について学んだ。

情報交換会(希望者のみ)

 参加者同士のグループセッションで業務に関わる情報交換を行った。

(A)女性相談施設所属の相談員・相談事業担当者
 7月8日(金)10:30~12:00
 7月8日(金)14:00~15:30

(B)地方公共団体の関連施策担当者・相談事業統括担当者
 7月15日(金)14:00~15:30

参加者からの感想

・ジェンダーの視点に立ち、相談者を理解するための基本となる知識・スキルを学ぶことができた。複雑多様化している相談ケースが多い中、関係機関とスムーズな連携を図ること重要であることを再認識した。

・ケース別支援のあり方といったワークは定期的にぜひ受講したいプログラムです。相談環境の整備というハード面も、相談業務を進めていくうえで大切なことだと認識しました。学び直しのあり方も、考えていきたいテーマだと思いました。

・ジェンダーの視点を意識する位置から、相談者として多様性を必要とする弱者の側に立つ援助について再確認をする機会となった。相談者が自己決定・選択した後、必要なソーシャルワークを可能にしていくためには相談員自身の属する組織の特徴や役割・限界を認識し、相談員自らもエンパワメントする機会を作る必要性があることを再確認させられた。ジェンダーの視点に立った電話対応から学ぶ視点が多くあった。

・男女共同参画センターでの女性相談が、センター全体の環境や事業と一体をなしているものであることを理解した。女性をエンパワメントする相談をしていくうえで必要な、態度、基礎知識、情報などへの理解が深まった。女性相談の意義を再認識した。講師の方々の女性相談事業や男女共同参画推進への熱意、相談者や相談員を尊重する姿勢に学んだ。女性相談へのモチベーションが高まった。

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