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実施報告

平成27年度「地域における男女共同参画推進リーダー研修<女性関連施設・地方自治体・団体>」

開催期間:平成27年5月20日(水) ~ 22日(金) <2泊3日> / 定員:120名


事業内容

 地域の男女共同参画を積極的に推進するリーダーとして必要な専門的知識、マネジメント能力、ネットワークの活用等、高度で専門的な研修を実施。

1.テーマ  『一人ひとりの女性が活躍する社会を目指して』 

男女共同参画の目指すところは、一人ひとりが尊重され、男女があらゆる分野に参画することができる社会です。
今、「女性活躍推進」が叫ばれていますが、その一方で格差が広がり、女性は今なお活躍できていない現状があります。
この研修では、女性が活躍するためには何が必要なのか、どのような方策が必要なのかについて考えます。

2.本研修のねらい

  • 男女共同参画の視点を持ち、実態把握・課題分析を行い、実践に結びつけます。
  • 男女共同参画の中核となるリーダーの関係力・連携力の向上を図ります。
  • 実践事例を重視し、課題解決につなげます。
  • 研修の成果を地域に持ち帰って実践し、振り返り、さらなる事業や活動へ活かします。

3.主  催  

独立行政法人国立女性教育会館

4.共  催 

NPO法人全国女性会館協議会(女性関連施設管理職コースにおける共催)

5.期  日

平成27年5月20日(水)~5月22日(金) 〔2泊3日〕

6.定員

120名

7.参加対象者 : (定員内訳)

(1)女性関連施設管理職コース:(50名)
 公私立女性会館・女性センター、男女共同参画センター等、男女共同参画社会の形成に向けた拠点としての施設の管理職

(2)地方自治体職員コース:(35名)
 都道府県・市区町村の男女共同参画推進責任者

(3)団体リーダーコース:(35名)
 地域で男女共同参画を推進する団体等のリーダー

8.日程(各プログラムの間に10分~15分の休憩があります)

9.内容

第1日 5月20日(水)

(希望者のみ参加)      
 11:00~11:50
プレ講義「男女共同参画推進の基礎知識」
主に初任者を対象として、日本における男女共同参画推進の歴史的背景など基礎知識を学びます。
    講 師:石崎 裕子  跡見学園女子大学観光コミュニティ学部 准教授

             
1 開会                                          
 13:10~13:25
    ①主催者あいさつ    内海 房子 国立女性教育会館理事長
    ②共催者あいさつ    桜井 陽子 全国女性会館協議会理事長    

2 プログラムの趣旨説明                               
 13:25~13:30
      中光 理惠 国立女性教育会館事業課専門職員

3 講演「一人ひとりの女性が活躍する社会を目指して」             
 13:30~15:00
 ★国の「女性活躍の推進」の現状と今後の方向性を知り、男女共同参画を推進するための方策について考えます。
     講 師:樋口 美雄 慶應義塾大学商学部教授

4 報告「男女共同参画社会に向けた今日の政策課題」            
 15:20~16:40
 ★男女共同参画や女性活躍の促進に向けた施策についての説明と今後の方向性について理解を深めます。
     講 師:内閣府男女共同参画局推進課 
     講 師:文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課  
     講 師:厚生労働省雇用均等・児童家庭局均等業務指導室 
     講 師:経済産業省経済産業政策局経済社会政策室 

5 報告「CSW59(第59回国連婦人の地位委員会)参加報告」       
 16:50~17:30
 ★3月にニューヨークの国連本部で開催された、CSW59での議論や採択文書について報告します。
     報告者:越智 方美  国立女性教育会館研究国際室専門職員
          渡辺 美穗  国立女性教育会館研究国際室研究員
          引間 紀江  国立女性教育会館事業課専門職員

6 情報交換会(*希望者のみ参加:有料1,000円)              
 19:30~20:30
 ★全国からの参加者と交流し、今後の活動に役立てます。

第2日 5月21日(木)

7 情報提供「NWECの事業展開について」                    
 9:00~9:35
 ①情報機能について  
 ★女性情報ポータルサイトWinetや女性デジタルアーカイブシステムなど、NWECの情報機能や
その活用法について詳しく説明します。
     説 明:森 未知   国立女性教育会館情報課専門職員
 ②研修事業について
 ★平成27年度の研修事業計画について説明します。
     説 明:櫻田 今日子  国立女性教育会館事業課長

      
8 調査報告「女性たちの貧困~取材現場から見えた実態~」         
9:45~11:00
 ★「女性活躍」の一方で存在する「女性たちの貧困」について、実際の取材を通して見えて
きたその背景や現状、解決に向けての課題を共有します。
     講 師:宮崎 亮希  NHK報道局社会番組部ディレクター
         村石 多佳子 NHK報道局遊軍プロジェクト記者    

9 討議「課題把握のためのディスカッション」                  
 11:15~12:15
 ★地域で女性の活躍を推進するための取り組みについて、それぞれの立場から課題を把握し、明確化・共有化を図ります。
<女性関連施設管理職コース> 
     報告者:納米 恵美子  公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会 事業本部長
<地方自治体職員コース>
     報告者:櫻田 今日子  国立女性教育会館事業課長
<団体リーダーコース> 
     報告者:藤岡 喜美子        NPO法人市民フォーラム21・NPOセンター事務局長
     コーディネーター:西山 恵美子  国立女性教育会館客員研究員

10 コース別ワークショップⅠ
 「男女共同参画の視点に立った女性活躍の課題に迫る」          
 13:30~16:30
 ★事例報告に基づいてコースごとにグループワークを行い、実践に役立つ力を身につけます。
          
<女性関連施設管理職コース>
 テーマ:「女性の活躍推進と男性の働き方・暮らし方改革」
 ★女性の活躍推進について、女性の就業支援と男性の働き方・暮らし方改革の両面からアプローチするため、それぞれの事例報告を踏まえて情報と問題意識を共有し、グループワークで事業展開の方向性を検討します。
     報告者:岡本 峰子        札幌市男女共同参画センター センター長
     報告者:小山内 世喜子     青森県男女共同参画センター 館長
     ファシリテーター:仁科 あゆ美 一般財団法人大阪府男女共同参画推進財団
                          統括ディレクター
   
<地方自治体職員コース>
 テーマ:「女性活躍推進と施策の戦略的取組」
 ★学校教育への具体的な働きかけやDV対策基本計画の策定を紹介し、庁内や外部との連携の方法を含めて、女性活躍の推進について考えます。
     報告者:日髙 照子        鹿児島県男女共同参画センター男女共同参画推進課長 
     報告者:秋山 恵子        栃木県宇都宮市男女共同参画課長 
     ファシリテーター:真邉 和美  元 岡山市男女共同参画社会推進センター
                         企画調整監

<団体リーダーコース>
 テーマ:「困難な状況にある女性の支援と女性のエンパワメント」 
 ★生活困難を抱える女性への支援、企業や行政と協働した地域でのネットワーク構築に取り組む事例報告から、課題を把握し、女性の活躍の推進について考えます。
     報告者:藤木 美奈子      一般社団法人WANA関西代表理事
     報告者:岡本 光子       NPO法人シーズネットワーク理事長
     ファシリテーター:野依 智子 福岡女子大学女性キャリア支援センター長

11 情報提供「女性センターの活用法」                    
 16:45~17:30
 ★男女共同参画・女性の活躍にかかわる行政施策を推進するための拠点である男女共同参画センター等女性関連施設の活用法について、行政幹部・施設トップ双方における経験を踏まえた立場から伝えます。
     説 明:全国女性会館協議会

12 自由交流〈テーマ別〉(希望者のみ参加)                 
 19:30~21:00
 ★参加者がテーマごとに有志で集い、情報交換や交流を行います。自由交流を希望する方は、参加申込書の所定欄に希望テーマを選択し、記入いただきます。
 ・女性の社会参画・困難を抱えた女性・女性と防災・CSW・教育現場における男女共同参画

第3日 5月22日(金)

13 コース別ワークショップⅡ 
「男女共同参画の視点で課題を解決する事業を検討する」         
 9:00~11:30
 ★男女共同参画の視点で課題を解決する事業のあり方について、コース別に検討しヒントを得ます。ワークショップⅠで話し合われた方向性をもとに具体的な事業構築につなげます。

<女性関連施設管理職コース>
 テーマ:「働き方の二極化と困難な状況にある女性への支援」
     報告者:佐藤 加代子       秋田県中央男女共同参画センター センター長
     ファシリテーター:田端 八重子  もりおか女性センター センター長

<地方自治体職員コース>
 テーマ:「他組織との協働と実効性の高い取組」  
    ファシリテーター:真邉 和美    元 岡山市男女共同参画社会推進センター 企画調整監

<団体リーダーコース>
  テーマ:「他組織との協働と実効性の高い取組」
    ファシリテーター:野依 智子    福岡女子大学女性キャリア支援センター長

14 全体会「課題の共有、連携・協働のために」                  
 11:45~12:35
 ★各コース別ワークショップで話し合われた報告を基に、男女共同参画を推進について連携・協働の視点から討議を行います。

   報告者:仁科 あゆ美       一般財団法人大阪府男女共同参画推進財団 統括ディレクター
   報告者:真邉 和美        元 岡山市男女共同参画社会推進センター 企画調整監
   報告者:野依 智子        福岡女子大学女性キャリア支援センター長   
   コーディネーター:西山 恵美子 国立女性教育会館客員研究員

15 ふりかえり                                      
 12:35~12:40
 ★アンケート記入

16 閉会挨拶      西澤 立志 国立女性教育会館理事           
 12:40終了

10.申込方法・期限

(1)方  法  
①インターネット:国立女性教育会館ホームページよりお申し込みください。
②郵送、FAX:国立女性教育会館事業課までお申し込みください。
※ 開催要項、参加申込書等の電子データをご希望の方は、下記よりダウンロードしてください。

(2)申込期限  平成27年5月8日(金)(先着順)
   お申し込み多数により募集を締め切りました。ありがとうございました。

(3)提出書類  「参加申込書」(別紙1)、「実情・工夫等」(別紙2)

(4)参加通知  別紙1記載の連絡先に文書によりお知らせします。5月14日(木)までに連絡が来ない場合は、お手数ですが事業課(電話:0493-62-6725)までお問い合わせください。

11.所要経費

(1)参 加 費  無料

(2)宿 泊 費  研修期間中は1泊2,670円(前・後泊も1泊2,670円)

(3)食  費  1日3食 2,500円程度

(4)情報交換会費 1,000円(1日目の夕食後に行います。飲み物、お菓子、消費税を含みます)

12.その他

(1) 期間中、職員が撮影した写真を、事業記録や広報のために使用することがあります。
あらかじめご了承ください。

(2)研修期間中、参加者の所属する施設や団体、地方自治体等のパンフレットやチラシなどを自由に交換する情報交換コーナーを設置します。
お持ちになった資料は各自で所定の場所に並べ、参加者の方が資料を自由にお持ち帰りできるコーナーです。

(3)研修終了後6ヶ月後をめどに、フォローアップアンケートを実施いたしますので、ご協力ください。

5月20日(水)~22(金)に「地域における男女共同参画推進リーダー研修」を開催し、全国から142名の参加を得た。

主催者挨拶:内海房子NWEC理事長主催者挨拶:内海房子NWEC理事長

共催者挨拶:桜井陽子 全国女性会館協議会理事長 共催者挨拶:桜井陽子 全国女性会館協議会理事長

今回のテーマは「一人ひとりの女性が活躍する社会を目指して」。

一日目の樋口美雄 慶應義塾大学教授の講演では、法律・意識・経済の面から男女共同参画の視点での推移を確認しつつ、最新の統計データを用いて、女性の雇用者は増加しているが正規雇用は伸びていないこと、女性の就業継続には家庭内での家事分担が重要であること、長時間労働の是正が人事評価の面から取り組む必要があるとの指摘を交え、経済的な成長にはワークライフバランスや女性の活躍に取り組むことが不可欠であることなどが伝えられた。

続いて関係省庁の施策説明。現在第4次基本計画作成中の内閣府からは、安倍首相の国連演説での国内外への女性活躍推進アピールや「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案」「女性応援ポータルサイト」などが説明された。文部科学省からは、男女共同参画の視点に立った早期からのキャリア教育の必要性と実践例、学び直し支援など具体的な取組が紹介された。厚生労働省からは、少子化と労働力の関係、男性の家事育児分担、長時間労働に対する意識改革などが統計に基づき説明された。経済産業省からは、女性の活躍推進が企業の業績に大きく影響することが「ダイバーシティ経営企業100選」「なでしこ銘柄」等事例の紹介を交えて説明された。

1日目の最後はNWECからの「CSW59参加報告」。北京会議から20年という節目の年として、記念すべき今回のステートメントや政治宣言、サイドイベントについての報告がされた。

2日目の冒頭はNWECからの情報提供として、女性教育情報センターやWinetの活用と今年度の事業計画が説明された。

続く調査報告では、「クローズアップ現代」などの制作にかかわったNHK報道局の宮崎亮希氏、村石多佳子氏から「女性たちの貧困~取材現場から見えた実態~」と題して、今まさに社会的な問題となってきている女性の貧困についての取材を通して見えてきた問題とその背景についての提言があった。

また、午後からのコース別ワークショップに向けたコースごとの課題把握では、女性関連施設管理職コースの納米恵美子氏(公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会事業本部長)からは、女性活躍促進と困難な状況にある女性への支援、自治体、団体との連携、企業へのアプローチなどの課題が出された。団体リーダーコースの藤岡喜美子氏(NPO法人フォーラム21・NPOセンター事務局長)からは企業や他団体との連携や評論家より実践者を多くすること、多様な資源を引きつけるためには魅力的なビジョンを考えることなどが提案された。地方自治体職員コースの櫻田今日子NWEC事業課課長からは、女性センターや団体、庁内の他部署との積極的な連携協働、また自治体は全体のコーディネーター的役割をすること、戦略的に動くことなどの課題が出された。
 午後から翌3日目にかけて実践に役立つ力をつけることを目的に、3つのコースに分かれてワークショップⅠとⅡを行い、それぞれ事例報告を基にグループワークを行った。

 女性関連施設管理職コースでは、岡本峰子氏(札幌市男女共同参画センター長)から全国のネットワークを使い経済産業省と連携しつつ行った若い女性へのエンパワーメントの取組が、小山内世喜子氏(青森県男女共同参画センター館長)からは少子化と男女共同参画の関係性を平時から意識していくことの重要性などが話され、商工会議所などとの共催などの可能性についても話し合われた。

翌日の佐藤加代子氏(秋田県中央男女共同参画センター長)からは、「生きづらさを考える講座」について報告があり、その後、田端八重子氏(もりおか女性センター長)をファシリテーターに、グループワークとしてプログラムづくりをする実践的な活動がなされた。

 団体リーダーコースでは、藤木美奈子氏(一般社団法人WANA関西代表理事)から困難を抱える女性への支援を様々に展開されている事例、岡本光子氏(NPO法人シーズネットワーク理事長)からは企業や行政と協働した地域での取組、持続して活動していくNPOの在り方などが話された。その後のグループワークでは、事例を参考にしながら、意識啓発、地域への参画、女性のキャリア形成、DV、WLB等の課題ごとに分かれて、実践に繋がる事業案が話し合われた。

 地方自治体職員コースでは、日髙照子氏(鹿児島県男女共同参画センター男女共同参画課課長)より鹿児島県の学校現場と連携した早期からの男女共同参画教育の取組、秋山恵子氏(宇都宮市市民まちづくり部男女共同参画課課長)より宇都宮市のDV防止基本計画策定に至るまでの取組や具体的な内容等が報告された。その後のグループワークでは基本計画策定前の意識調査の内容、どの部署との連携が効果的か、企業向けの戦略等課題が出され、事業案について講師も交えて話し合った。

女性会館協議会からは、西本祥子氏(北九州市立男女共同参画センター所長)と木須八重子氏(公益財団法人せんだい男女共同参画財団理事長)からリーダー研 会館協議会行政と女性センター双方のトップとしての経験を活かした女性センターの活用法の情報が提供された。

 3日目最後の全体会では、3つのコースのファシリテーター(女性関連施設管理職コース:仁科あゆ美 一般財団法人大阪府男女共同参画財団理事兼統括ディレクター、 団体リーダーコース:野依智子 福岡女子大学女性キャリア支援センター長、地方自治体職員コース: 真邉和美 元岡山市男女共同参画社会推進センター企画調整監)が登壇し、それぞれが自組織の強みと弱みを把握した上で、強みは活かしながら弱みを補い、さらに強化していくための連携、多くの人を巻き込んで実効性の高い事業を目指すこと、市民の気づきから関心者を増やし、リーダーを育成していく道筋、組織ごとの役割認識を明確にし、連携・協働することは必須であるとの報告があった。

 参加者からは、「時代に合ったテーマ設定で、これからの展開を考える上で大変参考になった」「様々な話や事例を聞く中で、自分自身のエンパワーメントに繋がった」「各地域での取組事例を知ることができ、参考になった」「男女共同参画を様々な角度から考えることができた」などの感想が寄せられた。

当日の配付資料は下記からダウンロードできます。

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