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研修

実施報告

平成29年度「教職員を対象とした男女共同参画研修」

開催期間:平成30年1月6日(土)~1月7日(日)1泊2日 / 定員:30名


学校現場や家庭が直面する現代的課題について、男女共同参画の視点から捉え、人権に対する理解を深めます。教職員自身のワーク・ライフ・バランスや働き方の重要性と学校経営に与える影響、LGBTをめぐる課題についても取り上げ、アクティブラーニングによるディスカッションで深く掘り下げます。

1.趣  旨

 変化の著しい社会状況下において、児童生徒の人格を形成し、その「生きる力」を高めていくためには、指導に当たる教職員が男女共同参画の視点をしっかりと身につけ、人権感覚を磨くとともに、教職員がその能力を充分に発揮することができる職場環境を整備することが必要です。
 この研修では、男女共同参画の基本理念について整理するとともに、学校現場や家庭が直面する現代的課題について、男女共同参画の視点から捉えて、理解を深めます。教職員自身のワーク・ライフ・バランスや働き方の重要性と学校経営に与える影響、LGBTをめぐる課題についても取り上げ、深く掘り下げます。

2.主  催

独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)

3.後  援

独立行政法人教職員支援機構(NITS)

4.会  場

国立女性教育会館
埼玉県比企郡嵐山町菅谷728
TEL:0493-62-6724・6725

5.期  日

平成30年1月6日(土)~1月7日(日) 1泊2日

6.対 象 者

初等・中等教育学校の教職員(国公立、私立)、教育委員会など教職員養成に関わる機関の職員

7.定  員

30名

8.日  程

9.内  容

第1日 1月6日(土)

(1)開会                                  13:15~13:30
 主催者あいさつ:内海 房子 国立女性教育会館理事長  
    
(2)講義1「学校現場における男女共同参画課題とは-男女共同参画の視点を身に付ける-」
                                       13:30~14:30
 男女共同参画は、難しく捉えられがちですが、実は大変身近な問題です。その基本理念について改めて学ぶとともに、学校現場が直面する現代的課題について、男女共同参画の視点から読み解きます。
 講 師:村松 泰子 公益財団法人日本女性学習財団理事長
           東京学芸大学前学長・名誉教授

(3)グループディスカッション                        14:40~16:00
 講義1を踏まえ、学校現場にみられる男女共同参画課題、教職員や保護者の中に根強く残る固定的性別役割分担意識、教職員自身の働き方などについて考えます。ディスカッションを通じ、課題を共有しつつ、それらが児童生徒にどのように影響していくのかについて掘り下げます。                 
 ファシリテーター:引間 紀江 国立女性教育会館事業課専門職員

(4)情報提供 「インターネットを使った情報検索と利活用について」      16:00~17:30
 パソコンを一人一台使用し、国立女性教育会館のデータベースにアクセスし、児童生徒が生きていくこれからの社会状況を現わすデータや統計数値を確認します。実際の作業をとおして、インターネットを利用した資料検索や活用のヒント、注意点を専門職員が説明します。
 講 師:五十嵐裕一 国立女性教育会館情報課専門職員

◇チェックイン・夕食                             17:30~19:00

【情報交流会・自由参加】学校現場におけるLGBTをめぐる課題について     19:00~21:00  
 教職員を対象にLGBTに関する課題を抱えた児童生徒への対応のあり方や教職員の人権意識についての研修を行っている講師を囲み、学校現場における具体的な対応について、情報交換・交流を行いながら、共に考えます。
 講 師:中光 理惠 千葉県柏市立西原小学校教頭

第2日 1月7日(日)

(5)講義2「学校現場の女性管理職登用の課題について考える」         9:00~10:00
 小学校・中学校・高等学校のいずれにおいても、全教職員に占める女性の割合に比べて、管理職に占める女性の割合は低い現状にあります。このことは、学校経営や生徒指導にどのような影響を与えるのでしょうか。教職員の働き方改革にも深く関係する学校現場の女性管理職育成について考えます。
 講 師:飯島 絵理 国立女性教育会館研究国際室研究員

(6)グループディスカッション                        10:10~11:40
 講義2を踏まえ、教職員自身の男女共同参画意識の重要性、教職員のワーク・ライフ・バランス、学校現場の女性管理職の登用が児童生徒にいかに大きな影響を与えるかについて考えます。                 
 ゲストスピーカー:清水 祐子 長野県辰野町立辰野南小学校校長
          下井 早苗 長野県松川町立松川北小学校校長

 ◇昼食                                   11:40~13:00

(7)ワークと解説
 「男女共同参画の重要性を実感するワーク~アクティブラーニングをとおして~」
                                       13:00~14:20
 人権感覚を身につけるためには、「多様性」を恐れないことと、「自分と異なるものを受け入れていく」姿勢が重要です。前半は、アクティブラーニングの手法を用いた、多様性を認め合えるワーク(体験学習)を行います。後半は、ワークの解説をとおして、教職員自身の男女共同参画意識の重要性、児童生徒の個性や能力を活かしたキャリア形成を支える学校現場の在り方、そして男女共同参画の基礎となる多様性のある社会と人権の尊重について考えます。
 講 師:髙﨑 恵 オフィスピュア 男女共同参画政策アドバイザー 
          ワークショップデザイナー

(8)グループディスカッション・全体の振り返り                14:30~15:00
 ここまでの講義で学んだ内容について振り返り、自身の意識の変容や課題について共有します。また、明日からの実践につながる取組について考えます。

(9)閉会・アンケート記入                          15:00~15:10

10.所要経費

(1)研修参加費  無料

(2)宿泊費  研修期間中は1泊1人あたり1,200円(前・後泊も1泊1,200円)

(3)情報交流会費  1,000円(消費税込・軽食・飲物を含む)【希望者のみ】

11.申込方法

(1)方  法  別紙「参加申込書」に必要事項を記入し、以下のメールアドレスに御送信ください。
(2)申込期限  平成29年12月22日(金) 17:00締切

(3)参加決定通知
 参加申込書記載の連絡先に、電子メールまたは文書にて発送します。12月26日(火)迄に連絡が無い場合は、お手数ですが事業課(Tel:0493-62-6724・6725もしくはメールアドレス:progdiv@nwec.jp)にお問い合わせください。

12.その他

 期間中、職員が撮影した写真を、事業記録や広報のために使用することがあります。あらかじめ御了承ください。

平成29年度「教職員を対象とした男女共同参画研修」実施報告

 平成30年1月6日〜7日、国立女性教育会館で「教職員を対象とした男女共同参画研修」を実施した。本研修は小・中・高等学校の教職員を主な対象とし、男女共同参画の基本理念について整理するとともに、学校現場や家庭及び教職員自身が直面する現代的課題を男女共同参画の視点から捉え、理解を深めることを目的としている。

 講義1「学校現場における男女共同参画課題とは」では、東京学芸大学前学長 村松泰子氏を講師に迎え、ジェンダーギャップ指数が144か国中114位であることなど、日本の男女共同参画の現状と学校現場にみられる男女差について解説を行った。そして、男女共同参画社会の実現に学校教育が根源的な力を持っていること、性差に捉われずに男女平等に教えることの重要性を改めて確認した。ディスカッションでは、講義を受けて思いついた学校現場の男女共同参画に関わるキーワードを付箋に書き出し、課題が山積していることを確認した。

村松氏による講義風景

ディスカッションで出てきた課題の山

 講義2「学校現場の女性管理職登用の課題について考える」では、NWEC研究国際室研究員 飯島絵理から、女性教員の校長・教頭職への登用の必要性について調査研究結果をふまえての解説があった。続いて長野県女性校長会会長 清水祐子氏(長野県辰野町立辰野南小学校校長)からは、同会の取組紹介と、女性教員に対して採用の初期段階からキャリアモデルを示すことや研修等の機会を与えることが管理職人材を育てるポイントであること、単身赴任や長時間労働などのシステムの見直しが必要であるなどの指摘があった。報告後のディスカッションは「女性管理職が増えるメリット」をテーマとし、教職員自身の男女共同参画推進が、子供たちのなりたい職業などロールモデルの性差や教員の働き方改革に深い関連があることを確認した。

会館研究員・長野県女性校長会による報告

ディスカッションの結果発表

 最終日の午後に行われたオフィスピュア/男女共同参画政策アドバイザー 髙﨑 恵氏による「男女共同参画の重要性を実感するワーク」では、アクティブラーニングの手法で「多様性を実感するワーク」を体験、さらに実践につながるようにワークの内容や狙いについて解説を受けた。その後、今回の研修を振り返り、これまでの内容を現場でどう生かしていくかを参加者同士で話し合った。

髙﨑氏によるワーク

 同研修はLGBTやSNSの利用方法など、学校現場のジェンダー課題を扱う情報提供も盛り込んだ。
1日目夜の情報交流会では、教職員を対象にLGBTに関する課題を抱えた児童生徒への対応のあり方や教職員の人権意識についての研修を行っている千葉県柏市立西原小学校教頭 中光理惠氏を囲み、全国から集まった参加者が情報交換・交流を行った。またNWEC情報課専門職員がジェンダー統計を扱うサイト(Winet)も紹介、学校現場での活用について示唆を行った。

情報交流会での中光氏の講義風景

PCを利用した情報提供

次回は平成30年度11月29日〜30日に実施予定。

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