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実施報告

令和6年度「地域における男女共同参画推進のための事業企画研修」

開催期間:【オンライン研修】令和6年5月27日(月)〜6月28日(金) 【対面研修】令和6年6月25日(火)〜6月26日(水)1泊2日 / 定員:【オンライン研修】100名程度  【オンライン研修+対面研修】30名程度

開催場所:国立女性教育会館 /


1.趣 旨

 地域の男女共同参画の推進を目指し、男女共同参画の視点に立った研修・学習事業を効果的に行うためには、首尾一貫した事業の企画・実施・評価を行うことが必要です。そこで、地域が抱える課題を整理し、課題解決に向けた事業の設計図(プログラムデザイン)を作成する知識やスキルを身に付けることを目的とした研修を実施します。

2.主 催

独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)

3.方法・日程

【オンライン研修】(YouTubeによる動画視聴及びZoomによるライブ配信)
 令和6年5月27日(月)〜6月28日(金)

【対面研修】(グループワークを中心とした演習、会場:国立女性教育会館)
 令和6年6月25日(火)〜6月26日(水)1泊2日

4.対象・定員

行政、女性関連施設、公民館等で、地域における男女共同参画推進のための事業等の企画・実施業務に現在就いている方

【オンライン研修】100名程度
【オンライン研修+対面研修】30名程度

*応募多数の場合は選考により受講者を決定します。選考にあたっては、地域バランス・経験年数等を考慮します。

5.参加費

無料(対面研修参加の場合、別途諸経費が必要です)

6.内 容

事前学習
男女共同参画共通基礎講座 ※希望者、新任者の方は必ず受講ください (1~2時間程度)

動画及び資料で、男女共同参画推進に関わる用語、法律、制度、あゆみなどの基礎知識や情報を学びます。

オンライン研修 ※ライブ配信を除き、令和5年度研修の再配信
(1)オリエンテーション

主催者あいさつ 萩原なつ子 国立女性教育会館理事長
趣旨説明    国立女性教育会館事業課専門職員

(2)講義 ①「男女共同参画の基礎的理解を深める」(約60分)

日本の男女共同参画の現状や地域の実情についての基礎的理解を深めるために、男女共同参画社会基本法・計画やその背景、ジェンダー統計の重要性について学びます。

講師  渡辺 美穂 国立女性教育会館研究国際室長(併)主任研究員

(3)講義 ②「男女共同参画の視点に立った事業企画を考える」(約30分)

男女共同参画の視点に立った事業企画を行うために、設計図となるプログラムデザイン作成の目的と意義について学びます。

講師  引間 紀江 国立女性教育会館事業課主任専門職員

(4)講義 ③「学習プログラムを企画・実施・評価するための注意点」(約45分)

実際に事業を企画・実施・評価する上での注意点を、事例とともに解説します。

講師  松下 光恵 NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか代表理事

(5)講義 ④「地域の課題解決を見据えた学習プログラムの展開と評価」(約90分)

※対面研修のオープニング講義をライブ配信します。後日の配信はありませんので、ご注意ください。
【開催日時:6月25日(火)13:10~14:40】

ジェンダーの視点とこれまでの取組から地域の課題を読み解き、学びから実践につなげるために有効な事業展開とそのために必要な評価の在り方を考えます。

講師  廣瀬 隆人 一般社団法人とちぎ市民協働研究会代表理事

(6)講義 ⑤「実態把握のための情報収集」(約30分)

企画立案に不可欠な情報収集について、NWEC内の専門図書館「女性教育情報センター」をはじめ、男女共同参画に関する情報の総合窓口「女性情報ポータル“Winet”(ウィネット)」と女性関連施設情報等のデータベースの活用方法から学びます。

講師  森 未知 国立女性教育会館情報課専門職員

(7)事例報告(約45分)

令和4年度の研修に参加・修了した方々から、実際にプログラムデザインを使って企画・実施した事業について報告いただきます。

報告者  坂東 正子 徳島市市民文化部男女共同参画センター主任主査兼係長
     髙木 桜子 北九州市立男女共同参画センター・ムーブ事業課職員

*報告者の所属は令和5年度時点のものです。

受講に必要な環境

①インターネットに接続できるパソコン(推奨)またはタブレット、スマートフォンが使用できること。
②使用する端末に、最新版のZoomアプリがインストールしてあること。

対面研修 ※オンライン研修の受講が必須です

オンライン研修の内容を踏まえ、グループワークを中心としたプログラムデザイン作成の演習を行います。※一部のプログラムのみの受講はできません。

■事前ワーク(開催日までの準備)

*過去実施した事業、もしくは現在進行中の事業等のプログラムデザインを作成してみることを推奨します。詳細は参加決定通知とともに御連絡します。

■スケジュール

【1日目:6月25日(火)】
(1)開 会 13:00~13:10(10分)

主催者あいさつ    萩原なつ子 国立女性教育会館理事長
趣旨説明・事務連絡  国立女性教育会館事業課専門職員

(2)オープニング講義「地域の課題解決を見据えた学習プログラムの展開と評価」 ※ハイブリッド方式で開催します  13:10~14:40(90分)

講義内容はオンライン研修(5)を御参照ください。

(3)演習 ①「地域に即した課題解決プログラムをつくる」 14:55~16:55(120分)

グループに分かれて、過去に実施した事業の事例を持ち寄り、現状での課題を踏まえて相互検討します。続いて、テーマに沿ってブレインストーミングしながら実際にプログラムデザインを作成していきます。

(4)女性教育情報センター等見学 17:15~17:45(30分)

NWEC内の専門図書館「女性教育情報センター」と「女性アーカイブセンター」を見学し、情報収集と活用方法について学びます。

(5)懇親会(夕食を兼ねる) 18:30~20:00(90分)

全国からの受講者同士で情報交換とネットワークづくりを行います。

【2日目:6月26日(水)】
(6)演習②「地域に即した課題解決プログラムをつくる」 9:00~12:00(180分)

前半では、グループでディスカッションしながらプログラムデザインを完成させます。休憩後、後半では、グループごとに作成した案を発表し、助言者からの講評を交えて、全体で成果を共有します。

(7)クロージングセッション「今、事業企画に求められている力とは何か」 13:00~15:00(120分)

助言者からの報告を交えてディスカッションしながら、2日間の研修を通じて学習したことを総括するとともに、企画者の果たす役割について再確認します。

(8)閉会・アンケート記入 15:00~15:15(15分)

【グループワーク】助言・プログラム指導

岸上 真巳 一般財団法人大阪男女いきいき財団企画調整課課長代理
木山 直子 くにたち男女平等参画ステーション長
松下 光恵 NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか代表理事
国立女性教育会館事業課客員研究員・専門職員

所要経費

(1)宿泊費 研修期間中:1名1泊 1,800円
       前泊(6/24)も同じ料金で宿泊できます。
       未就学児ベッドパッド代:1名1泊 814円

(2)食 費(目安)
       朝食 1,100円
       昼食 600~800円
       夕食(25日懇親会) 1,500円 

7.申込方法等

(1)申込方法

専用申込フォームからお申込みください。
*同じメールアドレスで複数の受講者を登録することはできません。
*参加決定通知や資料等はメールで送付します。外部からのメールが受信できるアドレスを入力してください。
*対面研修の受講者には、名簿(氏名・都道府県・所属機関名・部署名を記載)を配付しますので予め御了承ください。

(2)申込期間

4月9日(火)9:00~5月15日(水)17:00

(3)参加決定

結果は、申込時のメールアドレスに通知します。
*5月22日(水)を過ぎても連絡がない場合は事業課までお問合せください。

(4)キャンセル

都合により申込後に参加をキャンセルされる場合は、必ず事業課まで御連絡ください。

*対面研修で宿泊される方は、6月10日(月)以降キャンセル料金が発生しますので、御注意ください。

(5)無料託児

おおむね0歳(3か月)以上~小学6年生のお子さまを対象に、以下の時間帯で行います。御希望の方は、申込みフォームにてお申込みください。

①6月25日(火)12:00~18:15
②6月26日(水)8:30~15:45

8.その他

(1)プログラムの変更・中止について

感染症、気象状況、官公庁からの指示、その他主催者が研修を安全かつ円滑に実施することが困難と判断した場合には、やむを得ずプログラム内容の変更又は開催を中止する場合があります。これらの情報は、随時NWECホームページでお知らせします。

(2)広報

研修期間中に職員が撮影した写真や完成したプログラムデザインを事業記録や広報(ホームページ、SNS、ちらし等)に使用することがあります。予め御了承ください。

(3)フォローアップ調査の実施

研修終了6か月後、令和6年12月頃を目途にフォローアップ調査を実施します。研修成果が実際の職務にどのように役立てられているかを伺うものです。御協力をお願いします。

9.問合せ先

独立行政法人国立女性教育会館 事業課
〒355-0292 埼玉県比企郡嵐山町菅谷728
TEL:0493—62-6724/6725(平日9:00~17:00)
メール:ml.kikaku@nwec.go.jp

*お問合せはなるべくメールでお願いします。

 国立女性教育会館では、令和6年度「地域における男女共同参画推進のための事業企画研修」をオンラインと対面での2コースで開催しました。オンラインは、初の試みとして、ハイブリッドを含むプログラムとし、令和6年5月27日(月)〜6月28日(金)の期間、対面はコロナ以降4年ぶりに、6月25・26日の1泊2日で実施しました。
 この研修は、理論学習や企画手法・情報収集についての講義を通じて、首尾一貫した事業の企画・実施・評価についての学びを深め、男⼥共同参画の視点に⽴った研修・学習事業を効果的に展開する手法を身につけていくものです。
 対象は、行政・女性関連施設・公民館等で企画業務に携わる現職の方々とし、研修成果をすぐに活かしていただけるよう、企画案の作成方法等実務に直結した内容となっています。
 全国からの受講者は、今年度初めて男女共同参画部署に配属された初任者から、男女共同参画センターで何年も企画業務に携わってきたベテランまで幅広く、オンライン研修は286名が、うち対面研修には24名が参加しました。

オンライン研修

 オンラインでは、まず、事業企画に必要な視点や手法について、4本の講義で順を追って学びました。「男女共同参画の基礎的理解を深める」では国内外の動きや的確な課題把握に欠かせないジェンダー統計について、「男女共同参画の視点に立った事業企画を考える」では、事業立案のポイントとプログラムデザイン作成の方法について、「実態把握のための情報収集」ではNWECの情報事業の紹介とその具体的な活用方法について、それぞれの講義分野に精通した会館職員が解説しました。
 受講者からは「基本的なことが網羅されている資料でたいへんわかりやすかった。」「基本法の目的や理念など理解の重要性を学び、都道府県別ジェンダーの現状を知ることで、地域での課題など考えることができた。」「具体的な情報収集の方法についてとても参考になった」等の感想が多く寄せられました。

講義3「学習プログラムを企画・実施・評価するための注意点」

 続いて、本研修の中軸となるプログラム「学習プログラムを企画・実施・評価するための注意点」では、NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか代表理事の松下光恵さんが、長年の実践経験に基づいた知見と事業展開の手法について、講義しました。
 「事業の対象をはっきりし、気づきをおこさせるタイトルやメリットを提示する必要性を学び、自己満足に終わらせないで一緒に活動できる人を増やすことも大切だと学びました。」「現状を調べて課題を整理することから、すべてが動き出す。そこから、ステップを踏んで作り上げ、はじめて事業が成り立つことを、事例報告を通して学べた。」等の声が寄せられ、実践に資する内容だったと好評を得ました。

 さらに「事例報告」では、令和4年度この研修を修了した、徳島市男女共同参画センター/坂東正子さん(とくしまダイバーシティフォーラム)、北九州市立男女共同参画センター・ムーブ/髙木桜子さん(生涯を通じた女性の健康支援事業「映画『17歳の瞳に映る世界』から考える~子どものリアルに寄り添う性教育って?~」)の2名が、研修での学びを活かして実施した事業について、そのプロセスや苦心しながら得た成果を紹介しました。
 「実際のセンター職員の方の企画の裏側を知ることができたことは、大変参考になりました。」「たくさんのヒントを得ることができ、これからの事業計画に向けてモチベーションを上げることができた。直面する課題に対し自分ができることに取り組み、よくばらず一つ一つの課題について考え取り組んでいけるようにしたい。」等の感想が寄せられ、たんに好事例の共有に止まらず、受講者のモチベーション向上にも効果的な報告となりました。

R4年度修了者による「事例報告」(坂東さん、髙木さん)R4年度修了者による「事例報告」(坂東さん、髙木さん)

R4年度修了者による「事例報告」(坂東さん、髙木さん)

 オンライン研修にて、ここまでのインプットを終えた後、対面研修の受講者は、1泊2日の演習に臨むため当館へ集合しました。

対面研修

 オンラインのみの受講者にもライブ配信を行ったオープニング講義では、「地域の課題解決を見据えた学習プログラムの展開と評価」と題して、一般社団法人とちぎ市民協働研究会代表理事の廣瀬隆人さんが登壇。
 これまでの自身の実践を振り返りながら、社会教育の見地から熱を込めた問題提起をしていただく中で、「地域づくりとは?」「課題解決とは?」「主体形成とは?」等、さまざまな切り口で前提を問い直しながら、ジェンダー平等に向けての道筋を改めて見つめ直す機会となりました。
 参加者からは、「前提を問うこと、自分の頭で考えることの重要性を強調され、男女共同参画、ジェンダー平等が、うたい文句にならないように、職員自身が自分の学びを常にアップデートすべきという指南が心に刺さりました。また『地域』を捉える視点も参考になりました。」「講師の思いが詰まった講義だった。改めて地域に目を向けるところから、地域の課題が見えてくる。地域とは、人のつながりの上にあるもので、地域づくりとは人のつながりを増やす活動であるということを考えさせられる内容だった」等の感想が寄せられました。

講義4「地域の課題解決を見据えた学習プログラムの展開と評価」 講義4「地域の課題解決を見据えた学習プログラムの展開と評価」

 続いての演習①では、まず、自己紹介をした後、持参したチラシを基に、グループ単位で事例検討に取り組みました。
 演習の助言と指導を務めたのは、岸上真巳さん(一般財団法人大阪いきいき財団企画調整課課長代理)、木山直子さん(くにたち男女平等参画ステーション長)、松下光恵さん(NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか代表理事)の3名と事業課の中野洋恵客員研究員、引間紀江主任専門職員。
 事例検討では、地域の取組状況等を踏まえて意見交換し、事業の組立を共通理解した後は、関心のある対象を軸にグループ分けを行い、テーマを考えるところまで進めました。そして、女性教育情報センターを見学後、懇親会へ。生の資料に触れながら、情報収集と活用法について学び、参加者同士で交流の輪を繰り広げました。

 そして2日目。演習②のメインはグループワークでのプログラムデザイン(事業の設計図)の作成です。参加者は、助言者のアドバイスを受けながら、真摯にテーマと向き合いました。そして、中間発表。他グループの案を聞き、コメントを書く作業もワークの一環です。助言者からのアドバイスを受けた後は、さまざまな意見を念頭に修正作業に入り、各グループとも知恵を出し合いながらブラッシュアップしていきました。午前の締めくくりとなる最終案の発表では、当初の案から見事に進化した企画が出揃い、互いの成果を共有しました。
 受講者からは、「作り上げる過程を実際に体験できたことに感動しました。」「講師の皆さんからの指摘や皆さんからのコメントがありがたかった。思い込みにならず、見直し、作り上げることができた。」「対等な対話を重ねることで、アイデアが広がり、深まった。」等の声が寄せられ、グループワークで企画を練り上げるプロセスを通じて、多くのアイデアが交換され、実践力を磨く機会になった様子がうかがわれました。

演習②   演習②   

クロージングセッションクロージングセッション

 午後は、グループで練り上げた企画を自分の地域で実践する場合を想定したアレンジプランの作成と発表。タイトなスケジュールで、慌ただしい中でも、各自で実行可能な事業案に修正する作業は、2日間の学びの集大成となりました。
 続いてのクロージングセッションでは助言者が順に、最終案の講評を含めて最近の取組事例を報告。続いて、「今、事業企画に求められている力とは何か」というテーマで、参加者も交えてキーワードを出し合い、2日間のワークを総括しました。
 最後には締め括りとして、明日からの決意宣言を行って、互いの健闘を称え合うとともに、助言者からも激励のメッセージが送られました。
 感想では、「リアルにお会いできたことで、多くの方と交流することができ、力をもらえました。」「参加者の皆さんの熱量を肌で感じられたり、成功事例ではない、今、抱えている業務上での課題等を直接聞けたことは、とても学びになりました。」「その場で意見がどんどん出たのは対面ならではだったと思います。顔の見える人とは『つながった感』がとても強く、Zoomでは得られなかったと思いました。」等の声が多く寄せられ、全国の仲間と交流しながら共に学び合う、対面研修ならではの醍醐味を実感していただける機会となりました。

集合写真

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