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研修

実施報告

令和7年度「学校における男女共同参画研修」

開催期間:令和7年7月23日(水)~9月24日(水) / 定員:300名


1. 趣 旨

初等中等教育に携わる教職員が、学校におけるジェンダー平等の促進に向けて、国の最新施策や学校教育分野における男女共同参画推進の現状・課題を把握するとともに、教職員自身のワーク・ライフ・バランスや女性管理職登用の意義、児童生徒一人ひとりの個性を尊重した教育のあり方への理解を深め、組織の実情に即した課題解決の方策を探ります。

2. テーマ

「ジェンダー平等の視点から学校を変える」

3. 主 催

独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)

4. 後 援

文部科学省
独立行政法人教職員支援機構(NITS)

5. 対象・定員

・初等中等教育諸学校(特別支援学校を含む)の管理職・教職員
・教育委員会や教育センター等の管理職・職員(管理主事・指導主事を含む)
・教育長・教育委員等 300名程度
※定員を超えた場合は受講をお断りする場合があります。

6. 実施期間

令和7年7月23日(水)~9月24日(水)

7. 方 法

YouTubeによるオンデマンド配信動画視聴及びZoomによるライブ配信

8. 参加費

無料(通信費は参加者負担)

9. 内 容

オンデマンド配信プログラム
  • (1)オリエンテーション

    主催者あいさつ:萩原 なつ子 国立女性教育会館理事長
    趣旨説明   :国立女性教育会館事業課

  • (2)事前学習「男女共同参画共通基礎講座」(希望者のみ)(1~2時間程度)

     
    「ジェンダー平等とは?」「実証経済学が示す思い込みの影響力」「ジェンダー平等と男性の課題」等をテーマとした動画及び資料から、基本的な知識や情報を学びます。

    詳細は、参加決定通知で案内します。

  • (3)講義1「つくられる子どもの性差~学校現場からジェンダー・ギャップを再生産しないためにできること」(45分)

     
    男女平等な場と認識されることの多い学校にも、ジェンダーは存在し、子どもたちの可能性や選択肢を制限している現状があります。心理学・脳神経科学の見地から子どもの性差を詳細に分析した研究報告をもとに、自らのバイアスと向き合い、ジェンダー平等な教育のあり方を考えます。

    講師:森口 佑介 京都大学大学院文学研究科教授

  • (4)情報提供1「教育分野における男女共同参画の推進に向けた施策」(15分)

     
    国の最新施策の説明をもとに、学校における男女共同参画推進の今後の方向性について理解を深めます。
     
    講師:中園 和貴 文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課課長

  • (5)情報提供2「こども性暴力防止法の施行に向けて」(15分)

     
    こどもに対する性的な暴力の根絶に向けた「こども性暴力防止法」の令和8年度の施行に向けて、その概要と学校に求められる役割について理解を深めます。

    講師:工藤 萌々 こども家庭庁支援局総務課こども性暴力防止法施行準備室係長 

  • (6)情報提供3「ヤングケアラーに関する施策」(15分)

     
    こども家庭庁で展開するケアを担うこども(ヤングケアラー)の支援の概要について理解を深め、適切な支援につなげるための対応に役立てます。
     
    講師:草場 大樹 こども家庭庁支援局虐待防止対策課相談支援係・困難包括支援係係長

  • (7)情報提供4「デートDV予防教育における課題と実践に向けて必要な視点」(30分)

     
    デートDV予防教育の実施状況と教員・中高生の意識調査からみえてきた現状と課題を踏まえて、学校現場に今、求められる実践の方策を考えます。

    講師:多賀 太 関西大学文学部総合人文学科教授

  • (8)情報提供5「学校教育に関わるNWECの調査研究」(20分)

     
    自治体が教員を対象に行ったジェンダーに関する研修の実施後アンケート、そして昨年度、本研修で行った2つのワークの集計・分析結果を踏まえ、学校(職場)で意識していきたいジェンダーの視点について報告します。

    講師:倉本 彩子 国立女性教育会館研究国際室専門職員

  • (9)講義2「女性管理職はなぜ必要なのか~登用促進への効果的なアプローチ」(45分)

     
    多様な人材が活躍する学校づくりに向けて、特に女性の意思決定過程への参画の重要性を根本から理解するとともに、組織として女性管理職を育成し、登用につなげていくための効果的な方策を考えます。

    講師:木村 育恵 北海道教育大学教育学部函館校教授

  • (10)パネルディスカッション「DE&Iで変わる、これからの学校」(90分)

昨今、学校現場が抱える様々な課題解決のために必要な改革とは何か。誰もが安心して働けるジェンダー平等な組織運営や、多様性を尊重した学校づくり、女性管理職登用の促進事例等から、学校におけるDE&I(多様性・公正・包摂)について考え、実効性のある方策を探ります。

コーディネーター:寺町 晋哉 宮崎公立大学人文学部准教授
パネリスト   :永井 恵 船橋市立宮本中学校教員
        :三村 直子 岡山県立倉敷鷲羽高等学校前校長
        :岡野 宗介 三重県教育委員会事務局教職員課小中学校人事班班長

  • (11)事例報告「部活動の地域連携~ガールズパワープログラムの取組から」(20分)

     
    厳し過ぎる指導方針によるスポーツ離れや顧問のオーバーワーク等が挙げられる部活動問題。この課題解決に向けて、桃山学院大学人間教育学部(旧桃山学院教育大学)が地域と連携して取組を進めてきた「ガールズパワープログラム」の実践事例から部活動における地域連携の可能性について考えます。
     
    講師:村井 愛美 桃山学院大学人間教育学部講師

ライブ配信プログラム
  • (12)情報交換会「学校における男女共同参画を推進していくために」(90分)

     
    8月26日(火)14:00~15:30 Zoomミーティング【希望者のみ・定員30名】

    普段、なかなか職場で話す機会のない「学校における男女共同参画」について、日頃感じていること、課題や取組等について、全国の参加者と意見交換し、交流を図ります。

10. 受講に必要な環境

・インターネットに接続できるパソコン(推奨)またはタブレット、スマートフォンが使用できること

【情報交換会に参加する場合】
・インターネットに接続できるパソコンまたはタブレット(スマートフォン不可)にwebカメラ、マイク機能があること(外付けも可)
・使用する端末に、最新版のZoomアプリがインストールしてあること
・通信が遅延、途切れることのない安定したネットワーク環境があること
・話しやすい静かな環境があること
・1人1台、端末があること

11. 申込方法等

  • (1)申込方法

    ページ上部、専用申込フォームからお申し込みください。
    *同一のメールアドレスで複数の受講者を登録することはできません。
    *参加決定通知や資料等はメールで送付します。 外部からのメールが受信できるアドレスを入力してください。
    申込み後には申込完了メールが届きます。
     届かない場合は申込が完了していない可能性がありますので事業課までお問い合せください。

  • (2)申込期間

    令和7年6月4日(水)9:00~7月9日(水)17:00

  • (3)参加決定通知

    結果は申込時のメールアドレスに通知します。
    7月18日(金)を過ぎても連絡がない場合は、事業課までお問合せください。

  • (4)キャンセル

    キャンセルされる場合は、必ず事業課までメールにて御連絡ください。

12. その他

  • (1)フォローアップ調査の提出

    研修終了5か月後(2月下旬)を目途に実施するフォローアップ調査に御回答ください。現場のニーズや課題を今後の事業企画に反映するために、御協力をお願いします。

  • (2)プログラムの変更・中止について

    主催者が研修を安全かつ円滑に実施することが困難と判断した場合等、都合によりプログラム内容の変更又は開催を中止する場合があります。なお、これらの情報は、随時NWECホームページでお知らせします。

13. 問合せ先

 独立行政法人国立女性教育会館 事業課
 〒355—0292 埼玉県比企郡嵐山町菅谷728
 TEL:0493-62-6724(平日9:00~17:00)
 メール:ml.kyoin@nwec.go.jp 

 * お問合せは原則としてメールでお願いします。

 7月23日~9月24日、「ジェンダー平等の視点から学校を変える」をテーマに、初等中等教育諸学校・特別支援学校の管理職・教職員、教育委員会及び教育センター等の管理職・管理主事・指導主事・職員、教育長・教育委員等を対象とした「学校における男女共同参画研修」を実施し、全国から460名が参加しました。
 
 本研修は、初等中等教育におけるジェンダー平等の促進に向けて、国の最新施策や学校教育分野における男女共同参画の現状・課題を把握するとともに、教職員自身のワーク・ライフ・バランスや女性管理職登用の意義、児童生徒一人ひとりの個性を尊重した教育のあり方への理解を深め、組織の実情に即した課題解決の方策を探ることを目的としています。
 
 学校は、次代を担うこどもたちが、男女共同参画、ジェンダー平等推進に向けた意識を育む基盤となる重要な場であるにも関わらず、教職員の問題意識の持ち方や地域・学校ごとの取組の差によって、こども達の個性や選択肢が制限されている現状があり、未だジェンダー平等に資する実践が充分とはいえません。各講師は、こども達はもちろん教員も一人ひとりが尊重され、性別等に関わらず、能力を発揮することのできる環境整備の必要性と意義について、専門領域を基点に言及し、受講者はジェンダー平等を進めていくために必要な視点とは何かを考え、各組織や地域での取組を加速していくための手掛かりを得る機会としました。
 
 受講者からは「男女共同参画の重要性は理解しているものの、まだまだ課題が整理できていない自身がいました。本研修の受講により、課題そのものに気付き、そして自身がどのように行動につなげていけばいいか、その大きなヒントをいただいた気がします。学びをアップデートしていくことの大切さも痛感しました。」「多くのテーマがあり、テーマごとの切り口で中身のある研修動画が準備されていたので、時間をかけて夏季休業中に視聴することができました。データからの分析、性的マイノリティからの視点、行政からのメッセージ、部活動での実践の紹介など、学びの多い研修となりました。」「ジェンダー平等について児童への指導内容にとどまらず、自分自身のこと、置かれた状況のことなど気付かずに生活していたことが分かった。新たな視点で学校や自分の行動を見直したいと思うことができた。」等の感想が寄せられました。
 
 各プログラムの実施概要は以下のとおりです。

(1)講義1「つくられる子どもの性差~学校現場からジェンダー・ギャップを再生産しないためにできること」

 京都大学で心理学・脳神経科学の見地から子どもの発達を研究している教授の森口佑介さんから、乳幼児期からの性差を詳細に分析した研究成果をもとにご報告いただきました。年齢とともに性差が拡大する要因に着目することで、親や教師の接し方や期待によって、子どもにジェンダーが内面化される過程を明らかにし、ジェンダー・ギャップを再生産しないための方策として、大人が自分自身の無意識な行動を振り返り点検すること、子どもの性別ではなく個性を尊重することの意義を学びました。

(2)情報提供1「教育分野における男女共同参画の推進に向けた施策」

 文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課中園和貴課長より、初等中等教育機関における女性管理職の現状をはじめとする、男女共同参画施策の進捗状況と、教員と児童生徒に向けた施策について、具体的な取組内容をお話しいただきました。あわせて、高校生のキャリア教育や「生命(いのち)の安全教育」の教材等、指導に役立つ豊富な資料をご紹介いただきました。

(3)情報提供2「こども性暴力防止法の施行に向けて」

 こども家庭庁支援局総務課こども性暴力防止法施行準備室(令和7年7月に組織改編)工藤萌々係長より、令和8年度施行の「こども性暴力防止法」の概要とこれから新たに学校に求められる役割等についてお話しいただき、こどもを加害から守るための方策を学びました。

(4)情報提供3「ヤングケアラーに関する施策」

 こども家庭庁支援局虐待防止対策課相談支援係・困難包括支援係草場大樹係長より、家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者(ヤングケアラー)の支援の概要についてお話しいただき、教員が早期に気付き、ヤングケアラーとその家庭を必要な支援につなぐためには、学校等だけで課題を抱えることなく、ヤングケアラー支援担当部署と連携することが重要であるという理解を深めました。

(5)情報提供4「デートDV予防教育における課題と実践に向けて必要な視点」

 関西大学文学部教授の多賀太さんより、まずデートDVの実態と背景を解説いただいた後、デートDV予防教育の実施状況と教員・中高生の意識調査からみえてきた現状と課題の報告を基点に、学校現場に求められる視点と課題を踏まえた実践の方策を考えました。

(6)情報提供5「学校教育に関わるNWECの調査研究」

 当館研究国際室の倉本彩子より、自治体が教員を対象に行ったジェンダーに関する研修後のアンケート結果の分析等から見えてきた課題を踏まえて、学校(職場)で意識していきたいジェンダーの視点について報告しました。

(7)講義2「女性管理職はなぜ必要なのか~登用促進への効果的なアプローチ」

 北海道教育大学教育学部函館校教授の木村育恵さんより、学校教育におけるジェンダー平等の必要性について、日本の現状を踏まえて、教員の意識調査等から教員世界のジェンダー不平等の実態を明らかにすることで問題提起していただきました。あわせて、教員がジェンダー視点に立って組織文化や環境を捉え直すことの意義とともに、女性管理職が増えることの重要性を考える機会としました。

(8)パネルディスカッション「DE&Iで変わる、これからの学校」

 前半は、船橋市立宮本学校教諭の永井恵さんから「多様性を尊重した学校づくり」について、岡山県立倉敷鷲羽高等学校前校長の三村直子さんからは「『なぜ女性校長は少ないのか』研究報告」について、そして、三重県教育委員会事務局教職員課小中学校人事班班長の岡野宗介さんからは「三重県の女性管理職登用の施策」について、各々の経験や取組を進める中での気付きについてお話しいただきました。後半は、宮崎公立大学人文学部准教授の寺町晋哉さんをコーディネーターに、質疑応答を交えて意見を交わし、学校を誰もが輝ける場にしていくために必要な視点と実効性のある方策について討究しました。

(9) 事例報告「部活動の地域連携~ガールズプログラムの取組から」

 桃山学院大学人間教育学部講師の村井愛美さんより、桃山学院大学(旧桃山学院教育大学)が地域と連携して取組を進めてきた「ガールズパワープログラム」の実践について報告いただき、女子とスポーツをジェンダーの視点から捉えるとともに、大学を軸に部活動の地域移行を進める上でのポイントを探りました。

(10)情報交換会「男女共同参画を推進していくために」

 8月26日には、希望者のみのライブ配信プログラムとして、情報交換会を実施し、グループディスカッションを通じて交流を図りました。全国から22名が参加し、現場の課題や取組状況を話し合いながら、互いの経験に基づく知見を交換し、立場の違いや異なる視点から、新たな気づきを得ました。

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