研修・イベント

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実施報告

2019年度「学習オーガナイザー養成研修」

開催期間:2020年1月16日(木)~18日(土) / 定員:30名

開催場所:国立女性教育会館


事業内容

男女共同参画の基本理念や取組の意義、社会状況について整理するとともに、学習方法や評価など、事業企画・運営に関する実務を学ぶ研修を実施。

2019年度「学習オーガナイザー養成研修」の申込は定員に達したため終了となりました。

1.趣  旨

 国立女性教育会館では、「男女共同参画の視点に立った地域づくり」をテーマに体系的な学習プログラムを効果的に実践・展開できる人材を育成する「学習オーガナイザー」を養成する研修を開催します。
 男女共同参画の基本理念や取組の意義、社会状況や現代的課題について把握し、個人の課題と社会的課題のつながりについて整理するとともに、学習方法や評価など、事業運営に関する実務的な学びの機会を提供することで、経験者の知見・技能の向上と人材養成をもって男女共同参画の推進を図ります。

2.内  容

(1)男女共同参画の基点・基軸の形成
(2)学習をオーガナイズする企画力・実践力の形成
(3)地域における社会参画を推進する人の育成

3.主  催 

独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)

4.会  場 

国立女性教育会館
〒355-0292 埼玉県比企郡嵐山町菅谷728
TEL 0493-62-6724

5.期  日 

令和2年1月16日(木)~1月18日(土)2泊3日

6.対象及び定員

女性関連施設、公民館、行政、大学、NPOなどで、研修・学習事業、女性のキャリア開発、女性の活躍推進・地域づくりに係る事業等の企画・実施経験を有する者 30名
*現に業務に就いている方、活動している方、初めて参加される方を優先します。

7.日  程

各プログラムの間に10~15分の休憩が入ります。

8.内  容

第1日 1月16日(木)

(1)開会                                     13:00~13:20
   ①理事長あいさつ    内海 房子  国立女性教育会館理事長
   ②オリエンテーション  山口 真美  国立女性教育会館事業課専門職員

(2)講義「学習オーガナイザーの役割とは。プログラムデザインの意義と活用」     13:30~14:10
 学習オーガナイザーの役割について解説します。また、学習プログラムの設計図となる「プログラムデザイン」作成の目的・意義とその重要性について、学習の「見える化」の視点から理解を深めます。
   講 師:仁木 俊二 国立女性教育会館事業課長

(3)講義「男女共同参画の基礎的理解を深めるために 
                ~個人的課題から社会的課題、そして課題解決へ~」  14:20~15:20
 男女共同参画社会基本法の理解、視点の必要性、個人的課題と社会的課題のつながりについて理解を深めます。また、男女共同参画の歴史的経緯や、個としての女性と社会との関係などを踏まえ、男女共同参画の今日的な理解について講義を行います。
   講 師:中野 洋恵 国立女性教育会館事業課客員研究員

(4)講義「統計から考える男女共同参画の現状」                   15:30~16:10
 男女共同参画社会基本法の5つの柱をもとに、人権、意思決定の参画、職業と他の活動の両立、性別役割分業、国際的協調などについて、統計データから日本の男女共同参画の現状と課題を深掘りし、読み解きます。地域の実状を知るための基礎としての統計の見方を学びます。
   講 師:高原 幸子 国立女性教育会館研究国際室室長

(5)講義「協働型学習の理論・方法について」                     16:20~17:20
 協働型学習(グループワーク)を単なる「意見交換の場」にとどめずに、場の学びをどう振り返り意味づけするか、その意味づけの中から地域の課題解決の実践につながる「気づき」を通じて、学びから実践につなげる重要性について、社会教育の視点から考えます。
   講 師: 廣瀬 隆人 一般社団法人とちぎ市民協働研究会代表理事 

(6)情報交換会(希望者のみ)                            18:30~20:00
 全国からの参加者同士のネットワークづくりを図り、交流を深めます。

第2日 1月17日(金)

(7)講義「男女共同参画の視点に立った事業企画を考える」               9:00~10:00
 学習プログラムを企画・実施する上での注意点をPDCAサイクルに基づき、解説します。また、プログラム実施によって実践の場づくりやネットワークが拡がった事例も紹介します。
   講 師:松下 光恵 NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか代表理事

(8)実践「実態把握のための情報収集について」                     10:10~11:30
 学習プログラムを企画するために、必要な情報やそれを収集する方法を学びます。また、女性教育情報センターにある資料について解説します。それらをもとにグループごとに関連情報を探ります。レファレンスを通じて、情報センターにある資料から実態把握につながる情報を収集します。
   学習支援:国立女性教育会館情報課職員
        2019年度「学習オーガナイザー養成研修」企画委員
        国立女性教育会館事業課専門職員
                    
<昼食休憩11:30~12:30>

(9)実践研究・トークセッション「地域づくりとオーガナイザーの役割」        12:30~13:50
 職業や社会活動をとおして学習オーガナイザーとして地域づくりを進めた実践報告をもとに、その共通要因やポイントについて把握します。
   報告者:青木 孝美  JA長野中央会総合企画室
              学習オーガナイザー養成研修H30年度修了生
       松田 愛子  広島県立生涯学習センター振興課社会教育主事
              学習オーガナイザー養成研修H30年度修了生
   コーディネーター:亀田 温子 十文字学園女子大学名誉教授、日本女性学習財団理事
   
(10)グループワーク①「地域に即した課題解決プログラムをつくる」          14:00~17:30
 課題解決に向けての意識開発と実践活動につながる学習プログラムを、実際に企画・作成するために、課題を抽出しグループで共有します。プログラムデザインの活用について学びます。
   ファシリテーター:西山恵美子 国立女性教育会館事業課客員研究員 
       学習支援:2019年度「学習オーガナイザー養成研修」企画委員
            国立女性教育会館事業課専門職員

第3日 1月18日(土)

(11)グループワーク②「地域に即した課題解決プログラムをつくる」            9:00~10:45
 課題解決に向けての意識開発と実践活動につながる学習プログラムデザインを、実際に企画・作成します。検証やコメントを通して企画のブラッシュアップをしながら企画を完成させます。
   ファシリテーター:西山恵美子 国立女性教育会館事業課客員研究員
   学習支援:2019年度「学習オーガナイザー養成研修」企画委員
        国立女性教育会館事業課専門職員

(12)まとめと成果の共有                                 10:45~11:30
 作成したプログラムデザイン案の発表により成果を共有するとともに、出来上がったプログラムを検証します。
   コメンテーター:2019年度「学習オーガナイザー養成研修」企画委員

(13)修了証の授与・閉会あいさつ                             11:40~12:00
   仁木 俊二 国立女性教育会館事業課長

9.申込方法等について

(1)申込方法                           
 「2019年度学習オーガナイザー養成研修」申込フォームよりお申込ください。

 *記入事項に回答し送信ボタンをクリックすると、回答のコピーが指定したアドレスにメールで届きます。コピーが届かない場合は正しく送信されていませんので、必ずご確認ください。
 *申込フォームより送信ができない場合は、別紙参加申込書(ホームページからダウンロードできます)に必要事項を記入の上、事業課に郵送ください。
 *送受信の行き違いを防ぐため、FAXは不可とさせていただきます。
 *参加申込書にアンケートがありますので、回答してください。アンケートの内容は、「自分の取り組みたい地域課題」「自分が立てたい企画」「この研修に期待すること」です。

(2)申込期限:令和元年12月13日(金)※先着順
 *申込期間内でも、定員に達した場合は申込を締め切ることがあります。
 *初めて参加される方を優先します。

(3)参加決定
 参加申込書記載の連絡先に電子メールにて、順次お知らせします。
 *12月25日(水)までに通知が届かない場合は、事業課までお問い合わせください。
  (電話:0493-62-6724 平日9:00~17:00)

10.所要経費(金額はすべて消費税込)

(1)受講料   無料

(2)情報交換会費 3,600円(希望者のみ)

(3)宿泊費   開催期間中は、1泊1,200円(税込)
 *お風呂付きのお部屋に限りがありますので、お風呂なしのお部屋になる場合があります。その際は申し訳ございませんが共同浴室を御利用ください。特別な御事情のある方は事前にお電話で相談もしくは申込書備考欄に記入ください。
 *1/15(水)及び1/18(土)も、1泊1,200円で宿泊可能です。

(4)食費    会館レストランを御利用ください。
 (朝食バイキング:880円、昼食カフェテリア形式:560円~880円、夕食バイキングまたはセットメニュー:1,100円)
 ※夕食は利用人数によりバイキングかセットメニューのどちらかになります。

11.2019年度「学習オーガナイザー養成研修」企画委員

(五十音順、敬称略)
 ・亀田 温子  十文字学園女子大学名誉教授、日本女性学習財団理事
 ・神田 道子  東洋大学名誉教授
 ・西山恵美子  国立女性教育会館事業課客員研究員
 ・松下 光恵  NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか代表理事

12.その他

(1)広報
 職員が撮影した写真を、事業記録や広報(ホームページ、SNS、チラシ等)のために使用することがあります。あらかじめ御了承ください。

(2)フォローアップ調査の実施
 研修終了後6カ月後を目途にフォローアップ調査を行う予定です。その際には御協力いただきますようお願いいたします。

「学習オーガナイザー養成研修」実施報告

 令和2年1月16日(木)~18日(土)に埼玉県嵐山町の国立女性教育会館において、女性関連施設、公民館、行政、NPO法人などで、研修・学習事業、女性のキャリア開発、女性の活躍推進・地域づくりに係る事業等の企画・実施経験を有する方40名余の参加を得て、「学習オーガナイザー養成研修」を開催した。(「学習オーガナイザー」とは、NWECでは「体系的な学習プログラムを効率的に実践・展開できる者」としている。)
 男女共同参画の基本理念から社会状況や課題把握、統計情報を通じて、個人的課題と社会的課題を結びつけ、社会的土台作りの基礎となる学習を協働して進める大切さを学んだ。そしてNWECが開発したプログラムデザインをもとに、男女共同参画の視点に立った地域づくりのための人材育成と事業を実施するために必要な理論と実践を学んだ。

【1月16日(木)】<第1日目>
(1)開会・オリエンテーション

 開会にあたり、国立女性教育会館理事長内海房子は、NWECが長年実施してきた男女共同参画に関する調査研究や研修成果を踏まえ、プログラムデザインを活用しつつ、男女共同参画の視点から学習プログラムを企画・展開できる「学習オーガナイザー」という新たな人材育成を目指す研修を行うことになったと説明。
 その後自己紹介などをしながらアイスブレイクを行い、各人が抱えている課題について出し合った。

(2)講義「学習オーガナイザーの役割とは~プログラムデザインの意義と活用」

講師:仁木俊二(国立女性教育会館事業課長)
 「学習オーガナイザー」とはなにか。この研修の特徴を踏まえ解説と説明を行った。学習オーガナイザーの役割は、地域が直面している現状をデータに基づき把握し、個人の課題を男女共同参画の視点から社会の課題と結び付ける研修の企画・実施を行うことを述べた。
 「プログラムデザイン」(シート)は、いわば学習プログラム(企画の中核を示す)の設計図。企画の「見える化」により、ブレのない事業運営が可能になること、課題解決へのアプローチにつながると説き、研修後は「学習オーガナイザー」として拠点にもどり、チーム力を使って、地域人材の育成を実践してほしい、3日間共に学んでいきましょうと結んだ。(「プログラムデザイン」については、最後に掲載。)

(3)講義「男女共同参画の基礎的理解を深めるために~個人的課題から社会的課題、そして課題解決へ」

講師:中野洋恵氏(国立女性教育会館事業課客員研究員)
 この研修のテーマが「男女共同参画の視点に立った地域づくり」であることから始まり、地域づくりを進めるうえでなぜ男女共同参画の視点が重要であるのか、「時間軸」と「空間軸」から解説した。
 「時間軸」、つまり女性と社会の関係から見た時間的歴史の中で、特に戦前期に「個」として認められなかった女性が、戦後、男女平等を定めた日本国憲法の制定をきっかけに自分の意思で決定ができるようになり、女性が能力を発揮できる社会へと変化してきたと解説した。その中で「職業における男女格差」「女性の職業生活と家庭役割の葛藤」「地域活動での男性優位」「政策決定への女性参画の少なさ」など女性の社会参加の限界が新たな問題点として顕在化してきたと述べ、「社会構造」を問題にする必要性が生じたと説いた。そこで男女共同参画社会基本法の基本理念と特徴について解説し、そのための地域づくりの重要性を述べた。
 また「空間軸」として国際的動向で日本の進みが遅い実態を明らかにした。SDGsでは、ジェンダー平等が基盤であることを示し、個人的な課題を社会的な課題に結びつけるには、学習が重要であると指摘した。

(4)講義「統計から考える男女共同参画の現状」

講師:高原幸子(国立女性教育会館研究国際室長)
 男女共同参画に関する統計は、国際的には「ジェンダー統計」と言われており、男女間の意識による偏り、格差及び差別の現状並びにその要因や現状が生み出す影響を客観的に把握するための統計であり、男女共同参画に関する問題を把握するために有効であることが最初に話された。ジェンダー統計は、国際的に重要な概念であり、データが性別に収集・表象され、ジェンダー問題を映し出し、男女の多様性の反映、男女生活のあらゆる側面を適切に捉え、ジェンダーバイアスを導きうるステレオタイプや社会的文化的要因を考慮に入れていることを、具体的事例を挙げて示した。
 また、ジェンダー統計を示し、課題を明らかにした。2030年までに達成することを目的としているSDGsの17の目標の説明や策定までのプロセスが示された。講義の中では、GGGIが示され、国際的な視野での日本の現状について学んだ。統計リーフレットを参照しつつ、日本の女性の政治参画の低さが説明された。最後に男女共同参画統計が分かるサイトが示され、信頼できるデータについて紹介した。

(5)講義「協働型学習の理論・方法について」

講師:廣瀬隆人氏(一般社団法人とちぎ市民協働研究会代表理事)
 「協働型学習」について、対等な関係の中で行われることが重要であることから始まり、そもそも「学習」とはものの見方や考え方が変わるということであり「為すことを学ぶ」(learning to do)、つまり行動に移すことを学ぶということであると強調された。
 グループワークの質を高めるためには、今までのグループワークの批判的検討、成人の学習者の特性の理解、省察・振り返りの深化が大切であり、これらを柱に話が進められた。特に自己紹介は対等な関係を作るものであるか、模造紙に簡略化して示すだけでなく、接続詞を大切にして文章にすることで意味を成すことなど説明された。成人学習は、実際に語り合って知識を得ることと仲間を得ることが大切であることが述べられた。グループワークの振り返りは、「後悔」ではなく未来をどうするかを考える「省察」であるべきで、アンコンシャス・バイアスなど思い込みを問い直し、ただ記すだけでなく失敗を成長につなげるために目標を人前で公言すること、具体的に述べることだと説いた。
 最後に、学びの質を高めるために「人のつながり」を増やそうと力強く締めくくられた。

(6)情報交換会(希望者のみ参加)

 夕食を兼ねた情報交換会には、会館職員も参加。名刺交換をきっかけに日頃の疑問や各センターの事業の宣伝などの情報交換が活発に行われた。様々な都道府県の方々との交流も深められ、和やかな中にも熱気あふれる時間で、翌日からのグループワークにつながる参加者同士の関係づくりがおこなわれた。

【1月17日(金)】<第2日目>
(7)講義「男女共同参画の視点に立った事業企画を考える」

講師:松下光恵氏(NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか代表理事)
 事業の企画を考える際に肝心であるのは計画であり、時代や地域によって課題は異なるので、様々な手段や方法での現状の把握が大切であることを話された。また「自分たちがやりたいこと」と「必要とされていること」とは違うことを認識し、半歩先のニーズを予測することが大切だと伝えた。
 何のためにその事業を行うのかということを明確にし、評価の物差しを決めてから実施し、それを元に現状把握と改善をする必要性をPDCAサイクルに基づき説明した。具体例として、若い世代、働く女性の来館が少ないことからデータを調べ、彼女たちが何をもとめているのかを洗い出した結果、次々とヒット企画を生み出した静岡市女性会館(松下氏のNPO法人が指定管理者)の取組を紹介した。
 「地域デザインカレッジ」(まちづくりを担う人材育成講座)では、受講した女性、若者、シニアが男女共同参画の視点を学び、始めた活動により、社会的土台を確立し、地域が変わった事例を上げつつ、他の組織、社会的資源との連携・協働など関係力や、理論と実践が循環できる「場」づくりの重要性を強調した。

(8)実践「実態把握のための情報収集について」

講師:国立女性教育会館情報課職員
 NWECの情報事業「女性教育情報センター」「女性情報ポータルWinet(ウィネット)」「女性アーカイブセンター」について解説をした。
 「女性教育情報センター」では、一般的な図書雑誌に加えて、流通経路に乗らない広報誌等、新聞の切り抜きなどもあることが紹介された。貸出方法や利用例なども示された。
 「女性情報ポータルWinet(ウィネット)」では、アクセス画面から検索の方法、効率を高めるための検索方法などが具体的に示された。協働で作っているデータベース、レファレンス、リポジトリについても解説された。
 「女性アーカイブセンター」では、収集・整理・保存、展示室、貸し出しについても紹介された。
 講義後、2つのグループに分かれて女性教育センターを見学し、その後テーマ別の8つのグループに分かれて情報収集等を行った。

「情報収集」についての講義

「女性教育情報センター」の見学

(9)実践研究・トークセッション「地域づくりとオーガナイザーの役割」

コーディネーター:亀田温子氏(十文字学園女子大学名誉教授、日本女性学習財団理事)
 当研修修了生からの報告として、青木孝美氏(平成30年度修了生、JA長野中央会企画室調整役)、松田愛子氏(平成30年度修了生、広島県立生涯学習センター振興課社会教育主事)が、自身の行った事例を、プログラムデザインを用いて発表した。亀田氏から、「学習」を基本にした活動の展開、つまり場について、「事業・学習を企画する人」の重要性、つまり人について、学習オーガナイザーとしての留意点、誰とどのようにつながるのかについて話され、お二人の実践報告を交えたトークセッションで進行した。
 お二人は、JA、生涯学習センターという多様な機関の中で、企画者がどのように考え動き実践したか、事業展開と関わり方法(シート活用)の開発について、「男女共同参画」の視点をどう入れたのかについて話された。青木氏は、初めての企画の仕事ということで自信がなかったが、プログラムデザインを作ることで様々なことを決めているということに気付き自分自身が変わってきたことが話され、「やってみることが大切。まずはやってみましょう」とまとめた。松田氏は、自分の仕事の中で「男女共同参画」を進めていくという実感がなかったが、今回の報告を機会に「男女共同参画」にも他の機関にもつながっているということに気付いたと伝えた。亀田氏より、今は様々な組織が頑張っているが、「男女共同参画」に特化していないところで担当者、企画者としてその視点を持ちどう入れ込むのかが大切であることが述べられた。多くの組織や人がどう繋がっていくのか、どう変えていったら新しい展開になるのか、オーガナイザーとして試されると励まされて締めくくった。
 参加者からは「職場に戻ってから、この研修で学んだことをどう生かしていくか想像することができた。」「JA、社会教育主事というジェンダーを主として扱うのとは違う分野での活動が、結果としては男女共同参画を推進していることに繋がっていることが印象深く感じた。」などの感想があった。

コーディネーターの亀田氏

実践報告者のお二人

【1月18日(土)】<第3日目> ※(10)グループワーク①は2日目に実施
(10)・(11)グループワーク「地域に即した課題解決プログラムをつくる」①・② 

ファシリテーター:西山恵美子氏(国立女性教育会館事業課客員研究員)
 引き続き8グループに分かれ、グループで課題プログラムのテーマを決め、次に空のプログラムデザイン表を埋めながら、事業企画の作成をスタートした。ファシリテーターからはグループワークでは誰かとつながる関係を作ることが大切であること、そのために役割を決めることが重要であると述べられた。「時間の平等を意識する」「アサーティブな自己主張(相手の意見を受け入れたうえで自分の考えを主張する)」「合意形成に向けて話し合いの拡散と集約を上手に使い分ける」などの留意点を踏まえ、プログラムの完成を目指した。
それぞれのグループでは、研修での学びと参加者自身の経験や知見をフル活用し、生活の中の自分の課題(個人の課題)をいかに社会的課題に結びつけるのか、行動変容を促す学習について活発に意見を交わしながら作業を進めていた。
 途中でプログラム内容や作業の進捗状況を班ごとに報告し、他の班からプログラムのよい点・改善点についてフィードバックを受けた。また企画委員からも、「対象、主催者が具体的になっていない」「タイトルについて、今流行っている言葉に着目できているか、言い切っているか」「学習オーガナイザーとして企画に活かせる具体的な情報をつかんでいるか」「メリットやデメリット等の実態を具体的に捉える必要がある」など厳しい助言が出され、それらを踏まえ、参加者はさらに改善を行い、作業を進める中でのアイデア出しや合意形成のプロセスなど、共同作業ならではの学びが多いワークショップとなった。

グループでの話し合い

企画委員からのコメント

(12)まとめと成果の共有

 最終日にはグループごとに、作成したプログラムデザインは以下の通り(事業名)であった。グループごとにそれを全員に提示して説明した。

 A 親子で発見! 秋の防災ピクニック
 B 行政のすべての事業に男女共同参画の視点を入れちゃおう!! プロジェクト
 C ONEチーム パパ育応援~ママが笑顔になる子育て~
 D 公民館のマイスターになろう!!
 E 未来のあなたをキラキラさせる~素敵な大人になるために~
 F ビリーブ自分キャンプ~これで私もワールドワイド~
 G 素敵な歳の重ね方~今年はパンづくりに初挑戦~
 H 楽しいものづくりカフェ

 企画委員の講評では、「厳しいことを言わせてもらったがその助言を生かしとても良いものになり、少し加えればすでに持ち帰って使えるレベルのプログラムである、良いところを認め合いチームワークを築いた」とのコメントがあった。様々な立場の方と話して視野を広げること、担当者でコミュニケーションをとることが大切であると述べられた。
 また、すべての企画において意識啓発が課題であり、実態に固定観念があることでどんなマイナスがあるのか、それを取り払ったらどうなるのか、明らかにしていくことが重要であることが指摘された。
 ファシリテーターの西山氏は、多彩な方たちとの協働で見えてくるものが多い、皆さん個人の課題を持っていらっしゃると同時に地域社会を引っ張っていく役割も担っている、男女共同参画が明るく捉えられるよう、参加することで何か得るものがあると感じさせることが大切であると結んだ。

グループでのブラッシュアップ

グループ発表

(13)閉会

 閉会にあたり、3日間プログラムを受講した参加者37人に修了証が手渡され、本研修の学びを地域に活かして活躍されることを期待しますと挨拶した。

●参加者からの感想
・予想以上の成果を得ることができた。男女共同参画が明るくなりました。何より、グループでの仲間づくりができたことに感謝です。
・課題解決プログラム、かなり苦戦しました。でもその分だけ今後自分が企画する事業に役立つと思いました。
・全国各地からいらした同じ志を持つ方と出会い、たくさんの先生方や職員の方にアドバイスをいただけて、こんなに手厚い研修は他にないと肌で感じました。また、グループで納得がいくまでとことん話し合い、産みの苦しみを共にしながら夜遅くまで課題に取り組んだ時間はかけがえのないものになりました。
・全体を通して、またプログラムを作る中で業務の目的、自身の役割を振り返り、次に何をすべきか、考える機会となりました。実践事例が多くあったので具体的に頭に入りやすく、参考にさせていただきました。
・当初の目的であった男女共同参画についてのデータ、統計、テーマについて知ることができた。さらにテーマに沿った情報収集方法まで習得することができた。
・SDGsの目標の中でも達成度が低いのが男女共同参画です。その実現に即したプログラムデザインを考えることができました。

 熱心な議論が行われ、男女共同参画の視点から地域の土台づくりを推進する人材を育成するための充実した3日間となった。参加者の皆さんが、本研修で得たものを各々の現場に持ち帰り、学習オーガナイザーとして男女共同参画の視点を踏まえた地域づくりを推進されることを期待したい。

【参考】
※「プログラムデザイン」(シート)の内容

※「この「学習オーガナイザー養成研修」の「プログラムデザイン」(シート)

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