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実施報告

令和3年度「女性関連施設相談員研修」

開催期間:令和3年6月16日(水)~7月14日(水) / 定員:300名

開催場所:国立女性教育会館 /


事業内容

女性関連施設等の相談員、地方公共団体における関連施策担当者を対象に、困難な状況に置かれている女性の相談支援に必要な専門的知識習得と技能向上を図る研修を実施。

1.趣  旨 

女性関連施設等の相談員、地方公共団体における関連施策担当者を対象に、困難な状況に置かれている女性の相談支援に必要な専門的知識習得と技能向上を図る研修を実施します。

また、この研修では、女性に対する暴力被害を始めとする様々な相談に、ジェンダーの視点に立って適切に対応する力量を養うとともに、寄せられた相談から男女共同参画社会形成に関わる地域課題を把握し、その解決に資する事業や施策につなげるノウハウを学びます。

2.主  催

 独立行政法人国立女性教育会館

3.対象及び定員

(1)公私立の女性関連施設、相談機関等の相談員
(2)地方公共団体における関連施策担当者(相談事業を統括する立場にある方)

*応募多数の場合は、初めて参加される方、これまで参加が少ない地域の方の申込を優先した上で、抽選を実施します。※先着順ではありません。

*参加者には、参加者名簿(氏名、所属、職名のみを掲載)を配付します(オンライン学習管理システムからダウンロード)。名簿掲載の可否を専用申込フォームで指定してください。

*参加者には、研修終了後の参加者アンケートと6か月後に実施するフォローアップ・アンケートの提出をお願いします。

4.実施方法及び期間

(1)配信期間

 令和3年6月16日(水)9:00 ~7月14日(水)17:00

(2)方法

 オンライン学習管理システムを使用した動画視聴及びZoomによるライブ配信。
 *研修動画は、参加者の都合に合わせて期間中いつでも視聴できます。

(3)受講に必要な環境

 ①インターネットに接続できるパソコン(推奨)又はタブレット、スマートフォンが使用できること
 ②使用する端末に必要な下記の動作環境があること

*OS・ブラウザのメーカーサポートが切れているバージョンは、対象外(延長サポート期間も含む)です。
*セキュリティソフト(「ウィルスバスター」等)やブラウザ用アドオンソフト(「AddBlock」等)が動画の再生をブロックすることがあります。

※「情報交換会(ライブ配信・希望者のみ)」に参加する場合

 ①インターネットに接続できるパソコン又はタブレット(スマートフォン不可)
  Webカメラ・マイク(端末内蔵も可)機能があること 
 ②使用する端末に、「Zoom」アプリがインストールしてあること
 ③通信が遅延、途切れることのない安定したネットワーク環境があること
 ④話しやすい静かな環境であること

(4)研修の流れ

5.内  容

(1)開会(15分)

 主催者あいさつ   内海 房子 国立女性教育会館理事長   
 オリエンテーション  石川麻裕子 国立女性教育会館事業課専門職員

(2)ワーク1「ジェンダー視点を見つめなおす」(50分)

 女性関連施設の相談事業を運営し、相談者に向き合うために必要な自分自身のジェンダー視点を検証します。身近なジェンダーバイアスに気付くことを通して、相談者の置かれているジェンダー構造を読み解く力を養います。
 講師:本多 玲子 博多ウィメンズカウンセリング

(3)講義1「男女共同参画の視点に立った女性相談とは」(60分)

 男女共同参画の本質とその視点に立った相談業務の在り方について学びます。女性を取り巻く社会状況の変化と歴史、女性が直面する困難が社会構造と深く結びついていることを踏まえ、女性相談のプロセスと役割について理解を深めます。
 また、LGBTQに関する施策や司法における現状も学びます。
 講師:執行 照子 NPO法人日本フェミニストカウンセリング学会代表理事

(4)情報提供1「女性相談支援に関する国の取組」(30分)

 女性相談に関する国の最新施策についての説明を受け、今後の方向性について理解を深めます。
 講師:難波 康修 内閣府男女共同参画局男女間暴力対策課長

(5)情報提供2「若年女性を取り巻く現状とSNS相談の可能性」(30分)

 札幌市男女共同参画センター「ガールズ相談」の実践から、若年層の女性が直面している困難と、SNSを介した相談支援ノウハウを解説します。
 講師:橋本 彩加 札幌市男女共同参画センター主任

(6)講義2「女性相談支援に関わる法知識」(60分)

 DV(精神的暴力や性的暴力を含む)が存在する離婚等の相談対応にあたって、相談員として知っておくべき法知識を学びます。
 講師:可児 康則 名古屋第一法律事務所 弁護士

(7)講義3「DVと児童虐待」(60分)

 DV問題と、そこに巻き込まれる子どもへの影響の実態を知り、どのように相談支援していけばよいかについて学びます。
 講師:石本 宗子 社会福祉士

(8)講義4「性暴力被害に関わるトラウマケア」(60分)

 性暴力の被害体験を聴くとはどんなことなのか。性暴力被害者の状況をどうとらえ、どのように支援していくかについて学びます。
 また、トラウマを聴くことの意義とリスクについて理解します。
 講師:小西 聖子 武蔵野大学人間科学部長・大学院人間社会研究科長・教授
          武蔵野大学心理臨床センター長

(9)講義5「女性と発達障がい」(60分)

 発達障がいをもつ女性当事者から、社会のジェンダー観を背景にした困難について学びます。
 講師:綾屋 紗月 東京大学先端科学技術研究センター特任講師

(10)講義6「働く女性のための相談支援」(60分)

 解雇・雇止め・ハラスメントなどの労働関係相談が持ち込まれた場合の、女性関連施設相談窓口の役割と相談対応について、コロナ禍による働く女性への影響等を踏まえながら学びます。
 講師:高見 香織 特定社会保険労務士

(11)ワーク2「ケース別支援の在り方」(60分×2)

 構成事例を基に、具体的にどのような相談対応をしたらよいかを考え、ジェンダーの視点に立った相談対応の基礎力を養います。
 講師:竹之下雅代 NPO法人日本フェミニストカウンセリング学会理事
   :杉本志津佳 日本フェミニストカウンセラー協会理事

(12)ワーク3「相談事業の展開と連携」(60分×2)

 実際の支援の流れや、連携する関係機関の機能や役割を把握し、相談支援における展開と連携の在り方を探ります。
 講師:加藤伊都子 NPO法人日本フェミニストカウンセリング学会理事

(13)講義7「相談業務を事業・施策へつなげる」(50分)

 個別相談から地域の課題やニーズをとらえ、事業や行政の施策に反映させる取組について学びます。
 講師:仁科あゆ美 一般財団法人大阪府男女共同参画推進財団理事・本部長

(14)講義8「相談員を支える仕組み」(50分)

 相談員のバーンアウトや二次受傷を防ぐ組織的対応など、安心・安全な相談事業を成立させるために必要なマネジメント・システムについて学びます。
 講師:村瀬 智子 名古屋市男女平等参画推進室主査

(15)ワーク4「まとめ」(30分)

 学んだ内容について振り返り、男女共同参画の視点に立った女性関連施設相談員としての意義と役割について再確認します。
 講師:本多 玲子 博多ウィメンズカウンセリング

(16)情報交換会(ライブ配信90分・希望者のみ)

 7月9日(金)15:00~16:30 *定員50名(希望者多数の場合は抽選)
 参加者同士のグループセッションで業務に関わる情報交換を行います。

6.申込方法等について

(1)方法

 専用申込フォームからお申込みください。

* 申込み時のメールアドレスが研修の参加IDとなります。
 同じメールアドレスで複数名が申込むことはできません。
* 申込フォーム送信後、5分以内に申込完了を通知するメールが届きます。

(2)申込期間

 令和3年5月13日(木)9:00~6月2日(水)17:00必着

(3)参加通知

 申込フォーム記載のメールアドレスに、メールで通知します。
 6月9日(水)を過ぎても連絡がない場合は、お手数ですが、「9. 問い合わせ先」の事業課までお問い合わせください。

(4)キャンセル

 参加決定後にキャンセルされる場合は、必ず事業課までメールにて御連絡ください。

7.参加費

 無料 *通信料は御自身の負担となります。

8.その他

(1)フォローアップ・アンケートの提出

 研修終了6か月後を目途に実施するフォローアップ・アンケートに御回答ください。
 現場のニーズや課題を今後の事業企画に反映するために、ぜひ御協力をお願いします。

(2)プログラムの変更・中止について

 感染症、気象状況、天災、官公庁からの指示、その他主催者が研修を安全かつ円滑に実施することが困難と判断した場合には、やむを得ずプログラム内容の変更又は開催を中止する場合があります。
 なお、これらの情報は、随時NWECホームページでお知らせします。

9.問い合わせ先

 独立行政法人国立女性教育会館 事業課
 〒355-0292 埼玉県比企郡嵐山町大字菅谷728
 TEL:0493-62-6724 (平日9:00~17:00)   
 Eメール:progdiv@nwec.jp

令和3年度「女性関連施設相談員研修」(オンライン)実施報告

 6月16日~7月14日の日程で、公私立の女性関連施設、相談機関等の相談員及び地方公共団体における関連施策担当者、相談事業を統括する立場にある方を対象に、令和2年度「女性関連施設相談員研修」を実施しました。この研修は、困難な状況に置かれている女性の相談支援に必要な専門的知識習得と技能向上を図ることを目的としたものです。
 女性に対する暴力被害を始めとする様々な相談に、ジェンダーの視点に立って適切に対応する力量を養うとともに、寄せられた相談から男女共同参画社会形成に関わる地域課題を把握し、その解決に資する事業や施策につなげるノウハウを学ぶ専門的・実践的研修としました。講義だけでなく、オンラインでのワークなど多様な方法で研修内容を組んだオンラインでの開催としたところ、定員を大幅に超える申込みがあり、最終的に931名が参加しました。なお、今年度は、ライブ配信で希望者を対象に情報交換会を実施し、参加者同士の業務に関わる情報交換の場とし、交流の場を設定することができました。

開会

内海房子国立女性教育会館理事長の挨拶

ワーク1「ジェンダー視点を見つめなおす」(60分)

講師:本多 玲子 博多ウィメンズカウンセリング

 女性関連施設の相談事業を運営し、相談者に向き合うために必要な自分自身のジェンダー視点を検証した。身近なジェンダーバイアスに気付くことを通して、相談者の置かれているジェンダー構造を読み解く力を養うために、受講者は課題の作成に取り組み、投稿を通して意見交流することができた。

講義1「男女共同参画の視点に立った女性相談とは」(61分)

講師:執行 照子 NPO法人日本フェミニストカウンセリング学会前代表理事

 男女共同参画の本質とその視点に立った相談業務の在り方について学んだ。女性を取り巻く社会状況の変化と歴史、女性が直面する困難が社会構造と深く結びついていることを踏まえ、女性相談のプロセスと役割について理解を深めた。また、LGBTQに関する施策や司法における現状も学ぶことができた。

情報提供1「女性相談支援に関する国の取組」(34分)

講師:難波 康修 内閣府男女共同参画局男女間暴力対策課長

 女性相談に関する国の最新施策についての説明を受け、今後の方向性について理解を深めた。女性支援の制度やしくみの解説を聴いた。

情報提供2「若年女性を取り巻く現状とSNS相談の可能性」(31分)

講師:橋本 彩加 札幌市男女共同参画センター主任

 札幌市男女共同参画センター「ガールズ相談」の実践から、若年層の女性が直面している困難と、SNSを介した相談支援ノウハウを学んだ。SNSが相談支援のツールとして、有効である実例を知ることができた。

講義2「女性相談支援に関わる法知識」(78分)

講師:可児 康則 名古屋第一法律事務所 弁護士

 DV(精神的暴力や性的暴力を含む)が存在する離婚等の相談対応に当たって、相談員として知っておくべき法知識を、具体的な事例から学ぶことができた。

講義3「DVと児童虐待」(65分)

講師:石本 宗子 社会福祉士

 DV問題と、そこに巻き込まれる子どもへの影響の実態やどのように相談支援していけばよいかについて学び、DVが子どもに与える影響を知り、具体的な支援の方法が理解できた。

講義4「性暴力被害に関わるトラウマケア」(51分)

講師:小西 聖子 武蔵野大学副学長/武蔵野大学人間科学部・大学院人間社会研究科・教授

 性暴力の被害体験を聴くとはどんなことなのか。性暴力被害者の状況をどうとらえ、どのように支援していくかについて学ぶことができた。また、トラウマを聴くことの意義とリスクについて理解を深められた。

講義5「女性と発達障がい」(55分)

講師:綾屋 紗月 東京大学先端科学技術研究センター特任講師

 発達障がいをもつ女性当事者から、社会のジェンダー観を背景にした困難について学ぶことで、今後の相談や支援の視点を広げることができた。

講義6「働く女性のための相談支援」(57分)

講師:高見 香織 特定社会保険労務士

 解雇・雇止め・ハラスメントなどの労働関係相談が持ち込まれた場合の、女性関連施設相談窓口の役割と相談対応について、コロナ禍による働く女性への影響等を踏まえながら学んだ。

ワーク2「ケース別支援の在り方」(76分)(77分)

講師:竹之下雅代 ウィメンズカウンセリング京都    
杉本志津佳 日本フェミニストカウンセラー協会理事

 構成事例を基に、具体的にどのような相談対応をしたらよいかを考え、ジェンダーの視点に立った相談対応の基礎力を養うことができた。ロールプレイ方式での相談の実演が見られ、相談における進め方、相談員の表情を見ることができ、やり取りの様子、応答がとても参考になった。

ワーク3「相談事業の展開と連携」(53分)(55分)

講師:加藤伊都子 NPO法人日本フェミニストカウンセリング学会理事

 実際の支援の流れや連携する関係機関の機能・役割を把握し、相談支援における展開と連携の在り方を探り、相談が複雑化している相談事業において、他機関との連携がいかに必要かを理解することができた

講義7「相談業務を事業・施策へつなげる」(60分)

講師:仁科あゆ美 一般財団法人大阪府男女共同参画推進財団理事・本部長

 個別相談から地域の課題やニーズをとらえ、事業や行政の施策に反映させる取組について学んだ。相談から見えてくることを課題としてとらえ、女性が置かれている立場を理解していく必要があることに気付かされた。

講義8「相談員を支える仕組み」(42分)

講師:村瀬 智子 名古屋市男女平等参画推進室主査

 相談員のバーンアウトや二次受傷を防ぐ組織的対応など、安心・安全な相談事業を成立させるために必要なマネジメント・システムについて学んだ。ネットワークの大切さを知り、相談員の支援システムを整える必要があることを感じた。

ワーク4「まとめ」(24分)

講師:本多 玲子 博多ウィメンズカウンセリング

 学んだ内容について振り返り、男女共同参画の視点に立った女性関連施設相談員としての意義と役割について再確認することができた。

情報交換会(ライブ配信90分・希望者のみ)

 7月9日(金)に参加者同士のグループセッションで業務に関わる情報交換を行った。

参加者からの感想

・興味深い内容ばかりであり、又講義に加えてワークを通して自分なりの考えを確認する時間も設けられており、知識と実践の両面で大変勉強になった。

・有効なポイントが多くあり、しかもコンパクト・連続的・体系的にまとめられていて、短時間にこれだけの内容が学べることはとてもよい。

・プログラム内容が多岐に渡っており、順に進めることでジェンダーについての理解が深まっていき、受講しやすかった。 

・実際に相談員として、長年支援に関わってこられた講師の方たちや情報交換等を通じて、具体的な事例や経験を通して支援の在り方を学べたことで、現場でも生かせると感じた。

・動画を一時停止してメモを取ったり、聞き直したりすることができるのが一番ありがたかった。実践的な内容で非常に参考になった。

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