研修・イベント

研修

実施報告

平成29年度「企業を成長に導く女性活躍促進セミナー」

開催期間:平成29年10月19日(木)~20日(金)<1泊2日> / 定員:80名

開催場所:1日目:放送大学東京文京学習センター , 2日目:国立女性教育会館 /


事業内容

企業における男女共同参画の推進、女性の活躍推進を図るために、管理職、人材育成推進者、チームリーダーを対象に研修を実施。

1.テーマ 「組織風土、本気の変革。“女性が働きやすい”から“誰もが働きやすい”へ。」

 女性の活躍が求められ、多くの企業が「女性の雇用拡大」「女性が働きやすい環境づくり」に取り組んでいます。女性が活躍するための制度を整え、働き方の多様化により一定の成果も上がって来ています。さらに、女性が活躍するために必要なものは何か、女性活躍と働き方の見直しを通じて、女性も男性もともに働きやすい会社への転換、本気の企業風土改善について考えます。

2.内  容

 本セミナーは、企業における女性の活躍推進を図り、男女共同参画社会の形成に資するため、企業におけるダイバーシティ(女性の活躍促進)の推進者、管理職、リーダーを対象に実施します。基調講演、パネルディスカッションやグループワークで、参加者の直面する疑問や課題に向き合い解決の方向を探ります。
 そして情報交流会では、参加者同士による情報交換やネットワークづくりの場を提供します。

3.主  催

国立女性教育会館(NWEC)

4.後  援

経済産業省、厚生労働省

5.会  場

1日目:放送大学東京文京学習センター
       東京都文京区大塚3-29-1      TEL:03-5395-8688
2日目:国立女性教育会館
       埼玉県比企郡嵐山町菅谷728     TEL:0493-62-6725

6.期  日

平成29年10月19日(木)~10月20日(金)1泊2日(日帰り参加も可能)

7.参 加 者

企業におけるダイバーシティ(女性の活躍促進)の推進者、管理職及びリーダー(※)
(※)官公庁・独立行政法人の方も参加可能です。

8.定  員

80名

9.日  程

※「情報交換会」は、希望者のみの有料プログラムになります。

10.内  容

第1日 10月19日(木)【東京・茗荷谷会場】

(1)開会                               13:00~13:05
主催者あいさつ:内海 房子  国立女性教育会館理事長 

(2)基調講演「女性活躍を進めるための組織風土とは」          13:05~14:15
 ダイバーシティ推進を経営戦略として位置づけ、長きにわたり女性活躍を進められてきた日産自動車株式会社の取組を踏まえ、女性活躍に必要なことは何か、働き方や組織の在り方はどうあるべきかについてお話いただきます。

講 師:志賀 俊之   日産自動車株式会社取締役 株式会社産業革新機構代表取締役会長(CEO)

(3)情報提供「新入社員の意識調査から」                14:15~14:45
 国立女性教育会館が平成27年から行っている新入社員の追跡調査をもとに、入社2年目にかけてのキャリア意識とその変化について紹介します。

講 師:島 直子    国立女性教育会館研究国際室研究員

(4)パネルディスカッション「女性も男性も働きやすい職場環境をつくりだす取組とは」
                                    15:00~17:00
 女性も男性も働きやすい会社としての取組と風土づくりについての報告を聞き、これからの新しい働き方について議論を深めます。

パネリスト:今田堅太郎  株式会社神戸製鋼所人事労政部担当部長
パネリスト:多賀 朋子  SCSK株式会社 人事グループグループ長補佐兼人材開発部長
パネリスト:座間美都子  花王株式会社 人財開発部門D&I推進部長
コーディネーター:土堤内昭雄  株式会社ニッセイ基礎研究所主任研究員

(5)1日目閉会(1日目のみ参加者アンケート記入及び回収)       17:00~17:10

(6)情報交換会(希望者のみ)                     17:30~18:30
 全国からの参加者と交流し、参加者同士の情報ネットワークづくりを行います。

*2日目参加者はバスで国立女性教育会館へ移動(約90分)

第2日 10月20日(金)【埼玉・武蔵嵐山会場】

(7)講義「アクションラーニング」                    9:00~10:00
 21世紀型のリーダー育成のスキルとして注目され、リーダーに必要なコミュニケーション力養成に効果的なアクションラーニングを学びます。業務上で抱える問題について、対話を通じて解決するとともに、個人、チーム、組織の能力開発を行い、活気のある風土、自律型チーム、変革を生み出すリーダーを育成することに有効な学習法です。

  講 師:堀本麻由子  東海大学現代教養センター准教授

(8)グループワーク1                         10:15~12:00
 グループに分かれて、参加者同士の背景や問題意識を共有し、実際の業務での問題を事例に、アクションラーニングに基づいたディスカッションを行います。

(9)グループワーク2                         13:00~14:45
 引き続き、グループごとにアクションラーニングに基づいたディスカッションを行い、話し合ったことを発表して全員で共有します。

(10)閉会                               14:45~15:00
 アンケートの記入及び回収    
 閉会あいさつ:中澤 貴生  国立女性教育会館理事

11.申込方法等について

(1)方  法
 参加申込書に必要事項を記入または入力の上、郵送または電子メール(progdiv@nwec.jp)のいずれかの方法で、国立女性教育会館までお送りください。

(2)申込期限   平成29年10月11日(水)

(3)参加決定通知
 参加申込書記載の連絡先に、電子メールまたは文書にて発送します。連絡が無い場合は、お手数ですが事業課(Tel:0493-62-6724・6725)にお問い合わせください。

12.所要経費(金額はすべて消費税込)

(1)受講料    無料

(2)情報交換会費 3,500円(希望者のみ)
※1日目のプログラム終了後、夕食を兼ねた情報交換会を立食形式で行います。
※情報交換会終了後、無料バスで国立女性教育会館まで移動します。

(3)宿泊費    開催期間中は1泊1,200円

(4)食 事    会館レストランをご利用ください。
(朝食バイキング:870円、昼食550円~750円程度)

13.その他

 職員が撮影した写真を、事業記録や広報のために使用することがあります。あらかじめ御了承ください。

平成29年度「企業を成長に導く女性活躍促進セミナー」実施報告

組織風土、本気の変革。“女性が働きやすい”から“誰もが働きやすい”へ。

平成29年10月19日(木)~20日(金)に、企業におけるダイバーシティ(女性の活躍促進)の推進者、管理職、リーダーを対象とした「企業を成長に導く女性活躍促進セミナー」を開催し、企業関係者及び独立行政法人、地方自治体の担当者など全国から100名を超える参加者を得た。

10月19日(金) 放送大学東京文京学習センター
基調講演

「女性活躍を進めるための組織風土とは」             13:05~14:15
講師:志賀 俊之氏 日産自動車株式会社取締役、
株式会社産業革新機構代表取締役会長(CEO)

 志賀氏は、女性の活躍を推進する理由を、国・企業・個人の3つの視点からわかりやすく解説するとともに、着任間もないフランス人が会議終了後に日本の会議の不思議を志賀氏に問いかけたことから始まったディスカッションの中で目からうろこの経験があったことが自身のタイバーシティのきっかけであることなどを具体的にお話していただいた。
 講演では、初めに、日本の喫緊の問題や女性の活躍推進による経済効果について統計資料に基づいた解説を行い、次に、「企業内の粘土層とはどのようなものか」「女性が活躍する会社(女性活躍に積極的に取り組んでいる会社)はなぜ業績が高いのか」について持論を展開した。
 また、成長を目指す女性が乗り越える3つの壁として、第一に「無意識の偏見」、第二に「ライフイベント」、第三に「周囲の期待や嫉妬」がああり、これを乗り越えなければならない社会の現状があると指摘した。
 最後に、「女性が働きやすい環境は、高齢者にも働きやすい職場。」「女性が活躍するためには、男性の働き方改革をすることが必要。男性社員の在宅勤務(テレワーク)経験が、男性の意識変革に有効。」など日産自動車における具体的な取組事例からの変革と2015年から始めている新しい働き方改革「Happy8活動(1日8時間勤務を意識し、働き方を見直すことで8つの項目のハッピーを目指す)」を紹介した。

情報提供

「新入社員の意識調査から」                   14:15~14:45
講師:島 直子 国立女性教育会館研究国際室研究員

 平成27年に民間企業に入社した新規学卒者を、5年間追跡するパネル調査の第一回調査・第二回調査データを用いて、①仕事のやりがい②ビジネススキルの自己評価③管理職志向④ワーク・ライフ・バランス などの観点から分析した結果を解説。
 入社2年目では、多くの人が難しい仕事を任され、成果も求められるようになり、担当業務を遂行するための知識・技能がある程度身についたと考える人が増えつつも、自信がないという人が多数を占めている。また、将来のキャリア形成において、男性に比べ、女性の管理職志向が大幅に減少していること、男女ともに育児と仕事の両立を求めていることが明らかになった。詳しくは、以下のサイトを参照されたい。

パネルディスカッション

「女性も男性も働きやすい職場環境をつくりだす取組とは」     15:00~17:00
パネリスト:今田堅太郎 株式会社神戸製鋼所人事労政部担当部長
パネリスト:多賀 朋子 SCSK株式会社人事グループグループ長補佐兼人材開発部長
パネリスト:座間美都子 花王株式会社人財開発部門D&I推進部長
コーディネーター:土堤内昭雄 株式会社ニッセイ基礎研究所主任研究員

1)事例報告

株式会社ニッセイ基礎研究所
 冒頭で、「今、何故、女性活躍が求められているのか。政府が進めている働き方改革の一環に位置付けられているのは何故か。そして、昔に比べて今は『豊か』になった。しかし『幸せ』なのか。『豊か』が『幸せ』でない理由は何か。」を問いかけ、「日本のワーク・ライフ・バランスは実現度が低く、幸福のパラドックスに陥っており、幸せに生きていくための新しい働き方を男性も女性も真剣に考えていく必要がある。」と、パネルディスカッションにつなげた。

SCSK株式会社
 初めに「ワーク・ライフ・バランスがすべての取組の中心である」と今までの取組を総括した。衝撃を受けるほど高かった女性の離転職率を解消するために始まったプロジェクトの中で最も効果的であったのは、早期復職を後押しするための3歳まで保育料半額負担制度であったことを紹介するとともに、女性職員に対しては、復帰してからのフォローが非常に重要であると述べた。そして、そのフォローを上司・人事・本人の三位一体のコミュニケーション体制の確立により行うこと、その鍵は上司であり、上司への研修も重要であることに言及した。現在は、働く環境の抜本的な見直しを行い、ワーク・ライフ・バランスの推進(働き方改革)のもと、スマートワーク・チャレンジ20に取り組んでいる。

株式会社神戸製鋼所
 神戸製鋼所は、時代時代の流れにより、何度か働き方の見直しを行った経験をもつ。現在は様々な手法を取り入れてリバウンドしないことを目指した変革を行っている。
 これまでは、本社の効率化(要因を削減、時間外を削減など)を図り、会議やメールの効率化などルールを決めた取組や研修を行ってきた。それをさらに、部門レベルでも見直し、結論の出ない会議、目的を定めない会議を廃止するなど、改善を重ねている。就業変革ルールである『19時退社』に関する社内調査の結果、社員の7割は「支障なし」と回答しているという。長時間労働の是正、仕事の効率化により生み出された時間を、会社側が新たな事業展開に費やすのではなく、職員の年次有給休暇に充てるなど、労働環境の改善に取組んでいる。これは、日本社会の流れでもあり、企業がこれから伸びていくための基礎的条件の話ではないかと言及した。

花王株式会社
 花王は、かなり早い段階から女性の力を事業に活かす支援制度の拡充を図っている。2000年にはイコール・パートナーシップ宣言を行い、男女ともに持てる力を十分に発揮できる環境づくりに取り組んでいる。仕事と育児の両立支援について、「時間制約が大きく影響があるも事実。ただ女性が仕事に復帰・継続するだけでなく能力の発揮してもらうことが重要であり、本人の頑張る力を背中で押すことや制度が絵に描いた餅にならずに使われることが大切だ。」という。休職前、復職前の面談も実施し、パートナーと参加するセミナーも開催している。育児イコール女性ではなく、パートナーとともに行うとの考えのもと、男性の育児参加にも注力をしており、2016年度の男性の育児休業取得率は34%を超えている。2014年には人材活性化プロジェクトを発足し、改めて今後の課題を整理し、海外を含めた全グループでの推進体制や国内における取組を一層高いレベルで進めていくと抱負を述べた。

2)ディスカッション

 土堤内氏のコーディネートのもと、SCSK、神戸製鋼所、花王の3社を交え、日本の労働力人口が減少し、多くの人が育児・介護・療養など、何らかの制約を抱えながら働いている現状を踏まえ、時間と空間の制約を超えた柔軟な働き方により、誰もが「個」を活かせる職場環境や社会を作るためにはどうすればよいかを考えた。
 初めに、女性活躍を進めるうえでの苦労や工夫について、「働き方が選べることが大事。」「いろいろな制度はあっても実際はあまり使われていないことから、うまく利用してもらうには上司の理解が必要。」「商談の時間について取引先と会社を超えた連携を始めている。」など、各社の取組を踏まえた話があった。
働き方を工夫するということは、労働生産性を高める視点が必要であるとの観点のもと、事例報告の中にあった会議の削減を含め、どう労働生産性を高めているかについて、「社内のルールやマナー」「情報の共有化」のほか、「削減できた時間を就労整備に充て、一過性ではない持続可能な付加価値の高いものにしていくことが大事」「コミュニケーションの重要性」について話題が広がった。
 その後、女性管理職を増やしていくことについては、「トップがどう考えているかはもちろんだが、中間管理職の役割が重要ではないか。」「ロールデルは、自分にぴったりと合う、理想の人と会えたら幸せ。」「ロールモデルがいないなら自分がロールモデルになっていただきたい。」と激励に近い言葉も出た。
 最後に、パネリストからは、「業種が違っても課題が共通している。」ことの指摘や「統一感を持って進めることが大事。できもしないことを掲げるとどこかで破たんする。」など自身の経験を踏まえた実感ある言葉をいただいた。
 コーディネーターの土堤内氏からは、「女性の活躍にだけ焦点を当てるのではなく、働く人すべての人の問題だという当事者意識を広く共有することが前に進む推進力になる」こと、「従来の働き方の延長上に、女性が参画して同じように活躍することではなく、男性も女性も働き方を変えて、そこに新しい、幸せになる働き方をどう新しく作っていくかということを問われている。」との提言があった。

【情報交換会】

 情報交換会では、講師との交流も含め、業種を越えたネットワークの構築と情報交換が進められた。その後2日目のプログラム参加者はNWECまでバスで移動し、チェックイン後は宿泊棟ラウンジで和やかな雰囲気の中、社内の課題などについて話し合われた。

10月20日(金)国立女性教育会館
講義「アクションラーニング」及びグループワーク

「女性も男性も働きやすい環境構築のために-リーダーシップの在り方とは—」
9:00~12:00、13:00~14:45
講師:堀本麻由子氏 東海大学現代教養センター准教授

 初めに、アクションラーニングについての講義を行い、「アクションラーニング」とはどのような技法なのか、よくあるディスカッションとの違いは何かについて説明。その後、7つのグループに分かれ、自己紹介と各自の抱えている問題の共有をはさみ、アクションラーニング形式での話し合いを行い、問題の解決を図った。

 参加者からは「今後の人材育成について考える材料となるとともに、自分自身の悩みの参考になった。」「女性の活躍から男性の働き方、働き方改革にテーマを広げ、最新の情報をいただき感謝。」「いろいろな企業の取組を聞くことができ、改めて考えさせられた。地道な取り組みが大切だと思った。」「新入社員の意識調査については、5年後が大変気になる。」「新入社員の意識調査を聞き、初めが肝心であることを認識させられた。」「様々な業種の方々と問題や考え方を共有でき、とても実りが多いセミナーだった。」「アクションラーニングにより社の課題や多くの気づきがあった。」などの感想が寄せられました。今回の研修に参加された企業内担当者の方々が、ここで得られた知見やネットワークを活用して、社内の女性活躍の促進に取り組まれることを期待したい。

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