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大学等における男女共同参画イベント情報

シンポジウム「写真とジェンダー~写真の未来にあるもの~」(奈良女子大学)

奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センター/奈良女子大学「令和7年度大学における芸術家等育成事業」 共同主催シンポジウム

「写真」が最新テクノロジーとして日本に登場した頃、それはほぼ男性のものであった。あらゆる「技術」は、新しく、高度なものは男性に占有され、古く、単純なものは女性に払い下げられてきた。写真技術は、より簡便なものへと展開し、この写真技術の広がりは「機械」の使用者としての女性を誕生させたと言える。
 とはいえ、「写真」は技術面だけでなく、その撮影された像もまた、基本的に「男性的」であった。撮影者としての女性たちの表現が登場すると、「写真」に通底するマチズモが揺らぎ、その表現への称賛と批判が混在した批評が繰り返された。写真のジェンダー問題は、強固な男性的磁場への抵抗であり、また男性たちが表現し得なかったものへの挑戦でもあった。
 本シンポジウムでは、「写真とジェンダー」の関係を思考し、「写真のジェンダー」秩序を問うことで、女性の写真表現の過去・現在そして未来を展望するものである。過去と現在を学ぶことで大学生たちに共に未来を展望してもらうことを願っている。
 シンポジストには、写真のジェンダー研究の第一人者である笠原美智子氏(長野県立美術館長)に基調講演で、日本の写真美術館においてジェンダーの視点で重ねられてきた研究や展示の実践についてお話しいただく。また、数多くの女性写真家の豊かな作品を批評してきた竹内万里子氏(京都芸術大学教授)には、女性写真家を取り上げることの意味やその展望について、さらに写真家でありフェミニストとして発信されてきた長島有里枝氏には、撮影者の視点から女性として、またフェミニストとして目指してきたこと、日本の写真界のジェンダー的状況についてお話しいただく。
 この三人の論者に揃って登壇していただいたら、そこで展開される「写真」と「ジェンダー」の議論が面白くないわけがない。全体ディスカッションでは、山崎明子(アジア・ジェンダー文化学研究センター長)を司会に、「写真」をめぐるジェンダー文化について議論する。「写真」を前に私たちが何を見つめればよいのか、そこに何を見いだすことができるのかを考え、誰もがスマホで写真を撮るこの時代において、私たちがそれぞれに「写真とジェンダー」の問題を捉え直すきっかけをつかみたい。

【日時】2025年12月20日(土)13:00~16:35

【会場】奈良女子大学S棟S235大講義室「ダイダンホール」

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